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試合レポート

入れ替えたメンバーも躍動し3得点。無敗の水戸に土をつけて今季ホーム戦初勝利

 

3連戦の2戦目となった、明治安田J2第5節H水戸戦。首位を突っ走る好調の相手を、狙いの形で制圧した。後半は相手の修正に苦しみもしたが、最後は体を張って、今季ホームゲーム初勝利をつかんだ。

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スピーディーなパスワークで主導権を握った

 
連戦ということもあって前節から前線のメンバーを入れ替え、今季初先発の林容平が頂点に、シャドーの右には今季初出場の馬場賢治が入った。対する水戸も、3得点と結果を出しているジェフェルソン・バイアーノをベンチスタートとし、岸本武流とコンビを組んだのは宮本拓弥。立ち上がりこそ前線へロングボールを入れ押し込んできたが、まもなくボールをつなぎながら攻めてきた。
 
だが、まもなくシステムのミスマッチを突いてペースを握ったのは大分。相手のハイプレスをかいくぐりながらスペースを使ってテンポ良くスピーディーにパスを回し、ゴール前へと迫った。「雨で濡れてスリッピーなピッチが、われわれのやりたいサッカーの体現に味方してくれた」と、試合後に片野坂知宏監督も喜んだ。
 
その展開から、先制は10分。その前にも何度かボランチからの展開を受けて仕掛け、クロスを入れていた松本怜が、相手SHとSBのどちらも寄せきれない絶妙な地点からアーリークロス。後藤優介がトラップしてこぼれたところへ猛然と馬場がスライディングして相手を阻むと、ふたたび後藤がボールを拾って、落ち着いてコースを見極めゴールへと流し込んだ。
 
14分、水戸は田向泰輝が負傷するアクシデントにより、ゲームプランの変更を余儀なくされる。佐藤祥を右SBへ、小島幹敏をボランチへとそれぞれ移し、左SHに平野佑一を入れて対応した。
 
24分には大分が追加点。後方からシンプルにつないだところから馬場が斜めのクサビを入れ、後藤が落とし林が星雄次に出す。星は相手をかわしながら中央へと切れ込んでシュートし、2点目を奪った。だが、29分には水戸も、セカンドボールを拾った黒川淳史が持ち上がってスルーパスを出し、宮本が決めて1点を返す。
 

水戸の変則的な修正に遭うもカウンターで試合を決める

 
後半に入ると水戸は、5-3-2のブロックを作るシステム変更で枚数を合わせ、大分の攻撃に対応してきた。攻撃時には白井永地が変則的なポジショニングを取って中盤の枚数が増える形になり、大分のマークを混乱させた。この修正により、次第に水戸が大分を押し込むようになる。大分の選手たちのホームで勝ちたい気持ちも、やや守備意識へと傾いていった。
 
黒川や平野の仕掛けを中心に水戸がチャンスを増やす中、次の得点が勝敗を左右すると片野坂監督は考えていた。そんな中で63分、スコアを動かしたのは大分だった。後藤が中盤で奪ったボールを松本に展開すると、松本は敵陣深くまで仕掛けて速いマイナスのクロスを送る。これに電光石火で合わせたのが林だった。直前には相手と接触して倒れていたのだが、素晴らしいスピードで起き上がって相手の背後からニアに入り、ゴールへの執着心をむき出しにして足を出した。
 
点差が開き、水戸は追撃の手を強めようと70分、黒川に代えてジェフェルソン・バイアーノを投入する。79分には疲労した宮本を下げて伊藤涼太郎を入れ、前線の圧を増した。だが、大分も譲らずにゴール前を固めて相手に体を当て、シュートブロック。度重なるジエゴのロングスローという脅威にもさらされる中、最後まで体を張ってゴールを守りきった。
 
流れが相手へと傾きそうな中、64分に馬場を清本拓己に、68分に林を伊佐耕平にとカウンター狙いの選手交代に切り替え、88分には後藤を小手川宏基に代えて攻守両面での効果を狙った指揮官の采配も見事だった。
 

層の厚さを感じさせた今節の戦い方

 
連戦の中で、これまで出場機会のなかったメンバーがピッチに立ち活躍したことは、今季のチームの層の厚さを裏付けて余りあった。
 
特に今節出場した林と馬場は、テクニカルでオシャレなプレーヤーが多い前線のメンツの中では、比較的泥臭く前面に闘志をむき出しにするタイプ。「容平は良い意味でプレーの幅が広くないので合わせやすい。僕と容平が入ると少しテイストが変わる」と馬場が言うとおり、チームコンセプトの中でもやや異色のオプションと言えるかもしれない。
 
このように選手を入れ替えることで、チーム戦術の器に変化をつけていくのが今季の“片野坂流”だ。まだ満足に出場機会を得られていない戦力にも、期待が高まる。
 
チームはまた中3日で、第6節A讃岐戦に向かう。相手は今節、千葉に大敗しており難しい試合になりそうだが、3連戦の最後を勝利で締めくくりたい。
 

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