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試合レポート

耐えた守備陣、藤本の個人技。共通意識の下、賢い試合運びで劣勢のゲームも+3

 

明治安田J1第11節A湘南戦は、ほとんどの時間帯を劣勢で過ごすことになった。だが、内容が悪いなりにも選手たちがそれぞれに長所を生かし、決して守備一辺倒になることなく1点のリードを守り抜いて勝利した。

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湘南の圧をまともに受けて苦しい展開に

 
激しいプレスから怒涛の攻撃を仕掛けてくる湘南と、相手の勢いをいなしながらボールを運んでいく大分。それぞれのスタイルをぶつけ合い、しのぎを削る激突は、ほとんどの時間帯で湘南が上回る展開となった。
 
今節はコンディションが万全でない前田凌佑に代わり、8日のルヴァンカップ神戸戦で好感触だった大卒ルーキーの長谷川雄志が、リーグ戦初出場。島川俊郎とダブルボランチを組んだ。前から守備をしてくる湘南に対し、神戸戦で見せたような思い切りよく精度の高いサイドチェンジやフィードを繰り出して背後を突くことに期待された。
 
だが、チーム全体が相手の圧をまともに受けてしまい、なかなか狙いの形を結実させることができない。相手のシャドーのみならずダブルボランチまでがドリブルやワンツーでバイタルエリアに進入してくるのに対し、対応が後手に回って自陣深くまで押し込まれた。ファウルでかろうじて止め、ゴール正面でFKを与える場面が前半だけで3回。守護神・高木駿が丁寧に壁を設定したこともあり、いずれも相手の精度不足で命拾いしたが、24分の梅崎司のFKが枠に阻まれた場面には、思わず肝を冷やした。
 
度重なるシュートブロックとクロス対応でしのぎつつ、32分には松田天馬のシュートに山崎凌吾がさわって軌道を変える大ピンチ。だが、これも高木のファインセーブでことなきを得る。
 
押し込まれた状態でマイボールにしても、プレスをかけられ、蹴らされるように前線にフィードを送ることになった。それでも、ボールが来ない中で一人攻め残って駆け引きしていた藤本憲明に渡れば、ワンチャンスをものにできる可能性がある。だが、湘南のCBも屈強で、フィニッシュにまでは至らせてくれない。前半終了間際には小塚和季がエリア内から強烈なシュートを放つが、抑えた弾道は不運にもゴール前にいた藤本を直撃した。
 

少ないチャンスが結実。藤本の5試合ぶりゴール

 
そんな苦しい前半を、なんとか無失点でしのいだことが大きかった。チームはハーフタイムに状況を確認し、それぞれの意思をすり合わせて修正を図る。長谷川や高木からはサイドが制圧されたように見えていたが、松本怜は行けると感じていた。また、長谷川と島川の関係についても、ポジショニング修正を行った。
 
後半立ち上がり、大分はサイドから早めに前線へとボールを送る。前半から何度か藤本が相手と1対1の状況を作れていたこともあり、その個人技に期待した。すると52分、見事にその狙いが先制点へとつながる。島川が相手CBの背後へとフィードを送ると、藤本が上手く坂圭祐の前に体を入れながらそれを拾う。坂との激突で一度は体勢を崩しながらも持ちこたえ、スライディングしてきた山根視来を冷静にかわすと、落ち着いてシュート。秋元陽太の両手の上を通し、ド派手な先制弾をぶち込んだ。
 
試合を優勢に運びながらビハインドとなった湘南は立て続けのクロスで追撃するが、高木の安定したクロス対応や守備陣の頑張りで大分ゴールは堅く閉ざされる。リードしてからの時間帯、大分は攻め急ぐことなく、かといって守備意識に傾くこともなく、実に絶妙なバランスで試合を運んだ。安全なパス交換で時間を使いつつ、チャンスと見れば追加点を狙いにフィードを入れるが、相手のカウンターも警戒しつつ、決して無理はしない。
 

高木の神セーブ連発にも支えられて

 
71分に湘南が梅崎に代えて指宿洋史を投入すると、2分後に大分は高山薫を三竿雄斗にチェンジ。三竿が最終ラインに入り、高畑奎汰が左WBに一列上がった。74分には湘南が武富孝介を中川寛斗に交代。さらに76分には鈴木冬一を下げて古林将太を送り込み、追撃態勢を強めた。
 
79分には山崎のシュート、81分には松田のシュートと立て続けに被弾するが、いずれも高木が好セーブ。さらに195cmの指宿とのハイボールの競り合いにおいても、高木は落ち着いて対応し相手の仕事を阻んだ。
 
84分、片野坂知宏監督は小塚を下げて丸谷拓也をアンカーに入れ、中央の守備を固める。86分にはその丸谷の縦パスから松本がクロスを供給し、オナイウ阿道が飛び込むが、ヘディングシュートは惜しくもクロスバーに当たり跳ね返った。
 
坂を前線に上げた湘南のパワープレーに対応する形で、片野坂監督は89分には高畑に代えて岡野洵を右CBに入れ、岩田智輝を左WBに回す。アディショナルタイムまで攻め合う形になったが、ついに湘南にゴールを割らせることなく、大分はほとんどの時間を劣勢で過ごした中、ウノゼロの勝利をつかんだ。
 
体を張って泥臭くゴールを割らせなかった守備陣の頑張りと、単独で気持ちを見せた藤本の5試合ぶりのゴール。さらに賢く時間を消費しながらバランスよく試合を運んだ全員の共通意識と、それを後押しするベンチワーク。
 
内容は劣勢でも、それぞれの場所でそれぞれの長所を生かし、全員が同じ意識の下で戦ったことは、これまでのいい内容の試合と変わらない。「後ろが頑張って助けてくれたから、恩返しじゃないけど得点で貢献できてよかった」と藤本が言えば、高木も「本当に全員で頑張って頑張って掴み取った勝利。いままでとは違う味わいの勝利だった」と振り返った。
 
若手の成長も見えつつ、苦しい試合をものにしてチームの一体感はさらに増す。次節の清水は今節、川崎Fに大敗してヤン・ヨンソン監督が退任した。また読めない試合となりそうだが、臨機応変に戦える力を高めながら、シーズンは中盤へとさしかかっていく。
 

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