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今節の見どころ

これまで以上の難敵へと化して好調な愛媛。柔軟な試合運びで粘り強く戦え

 

猛暑の続く中での3連戦2戦目。明治安田J2第25節、チームは大分銀行ドームに愛媛を迎える。ホーム連戦のアドバンテージを生かしたいが、いまの愛媛はこれまで以上に厄介な相手になっている。

 

得点力の停滞を打開したい

 
前節、栃木と引き分けたことで連敗は3でストップしたが、4戦白星なしと失速感は否めない。引いた相手にボールを持たされながら、リスクマネジメントも抜かりなく無失点に抑えたことはよかったが、それ以上に、片野坂知宏監督は2戦連続無得点であったことを問題視しているようだ。
 
アタッキングサードまで運べていたりペナルティーエリア内に進入したりはできているのだが、フィニッシュの精度を欠く試合が続いた。決定機で落ち着いてプレーできなかったのか、判断やプレーのミスでチャンスを逸している。
 
「シュートを打つ選手だけの問題ではなく、クロスを供給する自分も含め、その前の段階での精度にも課題がある」と松本怜。チームはこの状態を解消すべく、今節に向けても、短い準備期間ながら地道なトレーニングを積み重ねた。
 

戦い方に幅を持ちはじめた愛媛

 
愛媛との前回対戦は第18節。硬く緊迫したミラーゲームは、守る愛媛と攻めあぐねる大分の構図となった。PKによる1失点が決勝点となり、5月15日からチームを率いて4試合目だった川井健太監督体制での初勝利を献上。愛媛にとっては今季ホーム戦初勝利でもあった。
 
従来の愛媛のスタイルからポゼッション率を高めて戦う川井監督の戦術が浸透してきた愛媛は現在、徳島、岐阜、岡山と次々に難敵を下して3連勝中。戦い方の幅も広がり、前節の岡山戦では意表を突く4-3-3
システムでスタートし、ミスマッチを生かして2-0で快勝している。
 
その愛媛が今節、大分に対してどう出てくるかの予想が難しい。ミラーゲームに苦戦する傾向のある大分に対してはいつもどおりの3-4-2-1で臨むのか、あるいはまた異なるフォーメーションをぶつけてくるのか。大分としては愛媛の出方に柔軟に対応しなくてはならない。トレーニングではさまざまな状況を想定し、ポジショニングやタイミングを合わせ緻密な戦術確認を行った。
 
組織の中で呼吸がずれればたちまちボールを奪われて相手のカウンターにさらされることになる。それでも、この停滞から抜け出すためには辛抱強く選手たちにトライさせることがいちばんだと指揮官は考えている。采配合戦になることも予想される今節。選手たちの戦術理解度が問われる一戦となりそうだ。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
愛媛は選手たちが戦術理解した中で粘り強く意思統一して90分戦ってくる。簡単に崩すことは難しいと思うが、これをこじ開ける強さがないと上には行けないし、こういう戦いで勝ちきれないと目標達成できないので、チャレンジさせたい。連戦の中で調子のいい選手、アグレッシブな選手を見極めて、一体となって戦えるベストなメンバーを選びたい。
 
まずは点を取らせたい。90分の戦いなので切らさず合わせてやること、暑い中での連戦ではそういうところが大事。愛媛もそうやって勝点を積んできている。
 
また、若手の選手が失敗を恐れずにチャレンジする姿勢は、チームに勢いを与えてくれる。そうやって若手から突き上げて主力を脅かす存在になってくれることで競争も生まれる。そういう姿勢の選手がいることがプロとしての集団だと思うので、そこを評価していろんな組み合わせを考えていきたい。
 
■MF 7 松本怜
 
練習では対愛媛での狙いを確認したが、愛媛がどう来るか読めないので難しい。細かいところだが、いつもやっているように相手の変化を見ながらプレーを選択していく。連係が上手くいけばいいが、いかなければロストして愛媛のショートカウンターにさらされることになる。コミュニケーションを取りながら意思統一してやりたい。
 
今節は泥臭く勝点を取りにいく。4戦勝ちなしなのでそろそろ1勝したい。前節は無失点に抑えたので2戦連続無失点にできればいいが、それ以上に点を取って勝ちたい。
 
■MF 33 丸谷拓也
 
最近は立ち上がりに相手のプレスにやられて失点するパターンが続いているので、解決していかなくてはならない。最初と終わりの10分15分は大事な時間帯で、失点してはいけないし、逆に得点すれば楽になる。監督の考えを理解して自分のプレーを出すことが大事だと最近は特に思う。戦術オプションも増えていて、試合ごとに臨機応変に対応しなくてはならないが、それができれば力になる。
 
これまではチームのことというより個人的に苦しい時期を迎えることが多かったが、チームにしても個人にしても、我慢と積極性を忘れないことが大事だと思う。試合展開が苦しくても我慢していれば最後に点を取って勝つ可能性も出てくる。苦しい時期を抜ければまた新しい何かが見えてくると思うので、我慢しつつ積極性を忘れずにいたい。