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本日の名場面

新加入選手とアカデミーコーチ陣、ライフキネティックを体験

 

2月5日の午後練習は、新加入選手を対象に、昨季からトレーニングに取り入れているライフキネティックの体験会。アカデミーコーチ陣も参加し、ライフキネティック日本支部のマスタートレーナー・中川慎司さんの指導の下、楽しみながらさまざまなメニューに取り組んだ。大分トリニータからはライフキネティック導入のきっかけとなった安田好隆コーチと、講師資格を取得した倉光勇弥スクールコーチも指導に加わった。

 

脳領域の伸びしろを活性化させるエクササイズ

 
最初は座学。ライフキネティックの概要説明にはじまり、座ったままで行えるメニューを交えながらその目的や成果を紹介した。ドイツの運動指導者ホルスト・ルッツ氏が独自に開発したライフキネティックは、運動と脳トレを組み合わせたエクササイズ。身体能力には限界があるが、脳の領域での伸びしろを活用できるように訓練し、認知と判断のスピードと正確性を向上させることによって、運動性能を上げることが目的だ。
 
現在ではヨーロッパ各国やアメリカ、日本で、多彩な年齢や体力レベルでのトレーニングに採用され、特にヨーロッパでは導入しているサッカーチームも多い。Jリーグでは最近、愛媛FCや京都サンガなどもコーチングスタッフが講習会に参加しており、注目度を高めつつあるようだ。トップチームで取り入れているのは、J1ではまだトリニータだけだという。
 
講師の合図によって前後左右に体を倒すメニューでは、最初は講師の真似、次に番号での指示、さらに色での指示と次第に難易度を上げながら、即座に判断し反応する。人が得る情報の8割は視覚からということで、フェイントにつられるのもそういう仕組み。他に、ランダムに散乱させた1から30までの数字を順番に目で追ったり、紐状にうねりながら細かく連なる物体を正確に数えたりするメニューも行われ、その“やってみると意外に難しい”トレーニングに、高山薫やオナイウ阿道ら、選手たちからも時折笑いが沸き起こった。
 

「出来ないこと」をやることで脳に刺激を与える

 
1時間におよぶ座学の後は、場所を移しての実技。まずは円陣になり、それぞれが任意に自分の国名を定め、それを名乗りながらボールを投げあう。次に違う色のボールを増やし、それを投げるときには受け取る相手の国名を言う。さらにもうひとつ別の色のボールを加え、受け取る相手が次に投げる相手の国名を言いながら投げる、といった具合に、こちらも難易度を高めていく。足元でボールをパスしながらという条件も課せられると、さすがに円陣はカオス状態だ。
 
2人1組でのお手玉の投げ合いでは、投げた側のランダムな「右」「左」の指示によって、右手で受け取りながら左足を前に出す、あるいは左手で受け取りながら右足を前に出す。これが左右ではなく番号での指示になり、さらに足を後ろに出す選択肢が加わり、足でサッカーボールをパス交換したりリフティングしたりしながらお手玉も投げ合うという具合に、こちらも難易度を上げていった。
 
「出来なくてもいいんです。出来ないことをやることで、脳を活性化させるのが目的なので」と中川さん。今季トリニータに指導者として帰ってきた浮氣哲郎アカデミーヘッドオブコーチングや山崎雅人U-15コーチも、笑いを弾けさせながら興味深そうにチャレンジしていた。
 
選手たちの中で反応がよさそうに見えたのは三竿雄斗。体の動きが自然な感じだったのは高山薫やオナイウ阿道。島川俊郎はひとつひとつの動作を確認するように丁寧に取り組んでいた。選手たち個々の性格や特徴も浮き彫りになってくるようだ。
 

山崎雅人U-15コーチも楽しそうに取り組む

リラックス状態をもたらすのも大きな効果のひとつ

 
ライフキネティックは、即効性のあるトレーニングではなく、さらにその成果もデータに関連づけて特定しづらい種類であるため、効果のほどを断言するのは難しい。現在、ドイツではケルン大学やドイツ連邦軍大学などと提携して、反応速度やバランス、目と手足との協調性といった研究データを収集しているが、その数値の向上がライフキネティックだけによるものであるという証明は、厳密には不可能に近い。今後も研究は進められていくようだ。
 
昨季、大分トリニータで年間通じてライフキネティックを行なった中では、興味深いデータが取れている。「ただし、これは単純にデータとして採取しただけで、ライフキネティックによる効果だとは断定できないものですが」と前置きした上で、安田コーチが示すのが以下のデータだ。
 
昨季、1週間のトレーニングの中でライフキネティックを実施して臨んだのは24試合。13勝6分5敗で敗率は20.8%。一方で、次の試合まで中3日の週や連戦の場合などスケジュールの都合でライフキネティックを実施せずに臨んだ19試合の内訳は10勝1分8敗で、敗率42.1%となっている。
 
1シーズンのみのデータではライフキネティックとの因果関係は一概には決定づけられないが、それ以外にも指導する立場での体感として、ファジーな効果が生まれていたようだと安田コーチは話す。
 
「いちばんありがたいのはフィジカル的な負担がかからないことです。毎週の立ち上げに脳を活性化してトレーニングを始められる。それに、リーグ戦の続く中で勝敗へのプレッシャーがかかっている状況でも、このトレーニングの間だけは楽しくワイワイやれるのが大事。大きなリラックス効果につながっているのかなと思います」
 
昨夏の勝てない時期にも片野坂監督の指示の下でライフキネティックを続けたことが、良好な人間関係の維持やチームの雰囲気向上にも役立ったようだという。
 
「非常に楽しんでもらってよかったです。失敗しても楽しみながら、前向きに取り組んでいただけたと感じています。もうすぐ開幕という忙しい時期にもかかわらず、呼んでいただけて感謝しています」と中川さん。4日に行われた一般の方々向けの体験会にも、平日開催ながら大人・子供あわせて約60名ほどの参加があり好評だった。体験会は来年も行いたいとのことだ。
 

終始笑顔だったポープ・ウィリアム
反応のよさが際立っていた三竿雄斗
ティティパンも元気に参加

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