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今節の見どころ

好調・広島との対峙。その堅守を駆け引きとアイデアでこじ開けよ

 

チームは24日、アウェイ・エディオンスタジアムで明治安田J1第24節・広島戦に臨む。広島の好調を支える堅守を攻略し、漂う閉塞感を打破したい一戦だ。

 

チームは新たな可能性を探っている

 
ここ最近は特徴的な戦術を研究され、いい形でゴール前にボールを入れることが難しくなっていたチーム。ポジショニングやボールの経路を変化させたり、序盤から得点を量産していた藤本憲明をベンチスタートにしてオナイウ阿道の得点をお膳立てさせたりするなど工夫を凝らしながら辛抱強く勝点を積み上げてきたが、藤本が神戸へと電撃移籍したほか、こちらの組織力を相手の個に凌駕される場面もしばしば見られ、苦しい戦いが続いている。
 
その中で、毎年この時期から調子を上げてくる三平和司が今季もいい動きを見せているのが明るい材料だ。相手との駆け引きに長け、賢くゴール前に入っていくことを得意とするストライカー。チーム屈指の献身性を誇る三平の活躍は全体のムードをも上げてくれるだろう。また、負傷離脱していたメンバーが実戦復帰に向けて着々とトレーニングしていることも喜ばしい。
 
新加入の嶋田慎太郎と小林裕紀が早々に戦力として試合に絡んでいることも心強い。従来のシャドーやボランチのメンバーにこの2人の選択肢が加わったことで、新たなオプションも生み出せそうだ。片野坂知宏監督も「得点源だった藤本がいなくなったのは痛いところもあるが、また代わりに得点を挙げられるような仕組みを作っていく。その過程で競争が生じてくればいい。なんとか得点しないと勝点3は取れないので狙っていきたい」と期待を寄せる。
 

広島を皮切りに続く正念場。ここで風穴を開けたい

 
広島は第15節以降9戦無敗と好調だ。川崎FやFC東京から勝点3を挙げるなど、上位陣との直接対決をものにしながら4位にまで浮上してきた。
 
何よりもその好調を支えるのは堅守だ。現在ここまでで18失点。首位・FC東京の17失点に次ぐ2番目の少なさを誇っている。
 
前回対戦の第5節も、第2節の松本戦と同様、ミラーゲームでその堅い守備に苦しめられ、0-1で敗れた。好調だったシーズン序盤に黒星を喫した相手と今節、次節はアウェイ連戦。さらに9月のホーム2戦はラグビーW杯開催の影響で、大分市営陸上競技場に新監督を迎えた磐田と監督人事に揺れる湘南を迎えることになっている。正念場だが、「脱・藤本」を逆に新たな刺激に変えられるチャンスとも言える。ここで広島から勝点を奪えれば、閉塞感打破のきっかけにもなりそうだ。
 
広島も前回対戦から若干名の出場メンバーが変わっており、層の厚さを感じさせる。7得点と爆発中の柏好文とマッチアップするのは今節も、同い年で関東大学リーグでも対戦を重ねてきた松本怜の予想だ。J1やA代表で経験を積んで成長した岩田智輝も“柏封じ”に意欲を見せる。19時キックオフ。心昂らせるゲームを期待したい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
広島はバランスが崩れない。後ろ3枚が攻め上がらずつねにリスク管理して、攻撃で無理をしない。やることはシンプルで、自分たちがやろうとすることをちゃんと出来ている。切り替えやリスク管理のバランスが90分間通して全くブレない。そういうところが堅さにつながっていると思う。
 
われわれはボールを保持してGKを使ってつなぐ。それに対して広島が前から来るか構えてくるか。多分メリハリをつけてくると思う。その状況によっても正しいポジションからつながり、マイボールの時間を増やして攻撃を構築したい。
 
粘り強く戦うことがポイントになる。点が取れないからといって前がかりになったり焦ってしまうと逆に相手のペースになる。広島も簡単には崩れないチームなので、どちらが我慢強く粘り強く自分たちのやり方で90分通して出来るかだと思う。
 
■MF 37 嶋田慎太郎
 
コンディションは悪くなく、チームとしてどうボールを前に運んでいくかも理解できている。そこに自分の良さを上手く組み合わせていきたい。(加入後2試合途中出場して)間で浮いていればフリーでボールを受けることが出来た。そこでターンするのかもう一度やり直すのか運んでいくのかの状況判断が大事。
 
(初のJ1で)人に対してのプレッシャーが強いので、いかにそれを受けずにボールを受けるか。自分は体が大きくなく背負って受けるタイプではないので、いい位置に立ってターンするような場面をもっと増やしたい。スピードやドリブルの部分ではJ1でも手応えを感じた。チーム戦術の中で細かいところをどれだけやれるかが大事になる。怠らずにやりたい。
 
■MF 50 田中達也
 
前節の失点シーンで、自分で戻り切るところなどをもっとやっていかなくてはならないと感じた。相馬選手に追いつくのは無理でも小泉選手に追いついていれば(三竿)雄斗くんがより相馬選手との1対1に集中できていたと思う。WBは長い距離のスプリントを連続して求められることがあるので、短い時間で攻守の切り替えがあったときなど、個人的にもっとやれるようにしたい。
 
1対1の局面では負けたくない。そこは自分がやっていかなくてはならないところ。熊本時代も人数をかけてケアされたことがあるが、ああいう状況になったとき何が出来るかを自分なりにいろいろ考えている。相手の抑えたいという狙いを空振りさせるようなプレーや仕掛けのフェイントなど工夫して、相手を上回りたい。