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闘う言葉

【記者会見②】片野坂知宏監督「ブーイングや罵声が普通だと思っていた」

 

——退任の発表のタイミングを昨日にしたのは、やはりホーム最終戦でファンやサポーターに挨拶したいという思いからか。

それもひとつある。そして、退任を発表するのもクラブといつ話すべきかということを話させていただいて、結果的に昨日になってしまったのだが、降格が決まって来季はカテゴリーが下がるというところで、そしてわたし自身についてもいろんな噂が取り沙汰されている中で、選手もどういうふうになるのか思っていたと思う。そういうマネジメントの部分も含めてクラブと話をさせていただき、僕の口からはっきりと示すことで、より選手が試合に集中してサッカーが出来るようにしてほしいという思いから、昨日の発表に至った。

——リリースの中に「責任を重く感じ退任の決断に至った」とあったが、退任を決めたタイミングは。

まず結論から言うと、退任を選手たちに伝えたのは、昨日の午前中のミーティングのとき。退任を決めたのは、やはり降格が決まり、わたし自身がその責任を重く感じ、クラブと話した中で退任するという方向になった。

ただ、今季、本当に勝てない試合があり、8連敗したりもした。いまだから言えることだが、自分自身がこのまま指揮を執っていていいのか、この結果の中で自分が最後までこのチームを任してもらっていいのかというところで、クラブと何度か話をさせてもらった。榎社長のコメントも出たが、そういうところでクラブにはわたしを信じていただき、最後までサポートしていただいて、本当にこの結果になったのがすごく悔しいし残念なのだが、そういう状況の中でも、クラブもサポーターも、本当にわたしを支えてくださった。

なので、なんとかJ1に残留させて今季を終えることが出来ればと思っていたのだが、こういう結果になったことで、この決断に至った。

——監督がこの6年間で残せたもの、やりきれたこと、やりきれなかったことは。

最後の6年目、J1の3年目で降格したので、やりきれない思いが強い。悔しいし、サッカーに正解はないので、終わってからはいろんなことも言えるのだが、自分としては目の前の試合に対して全力で準備し、全力で取り組んで、選手とともに戦っていたのは事実。しっかりとそこはやっていた自負があるのだが、結果がこういうことになったので、非常に残念。

残せた部分というところでは、わたしが就任して、GKからビルドアップする攻撃で、しっかりとボールを握りながら相手陣地に入ってチャンスを作るという大まかな戦術の部分は、ある程度トリニータのカラーとして残すことが出来たのではないか。もちろん来季以降の監督がどういったサッカーを志向するかということもあると思うが、わたしがJ3、J2、J1という中でチャレンジしてきたことでこういういい結果が出たことを、今後クラブが継続していくのか、また違う方向へ行くのかというところでは、継続性のあるものを残せたのではないかと思う。

——監督が経験した中で、このクラブがJ1に定着するためにもっと必要だと感じた部分は。

うーん…すごく難しい。なぜかというと、J2でもJ1に相当するものを持っていながらJ2で戦っているクラブもあるし、そういうものがなくてもわれわれのようにJ1で戦っているチームもある。そして、結果で上がったり下がったりということもあると思う。

この大分トリニータというクラブを考えれば、もちろん地方で難しさがあると思うし、いまはコロナの状況でスポンサーさんも含め大変な中でサポートしていただいていることもあると思う。やはりクラブの予算という部分は、大事にはなると思うが、わたし自身は、就任したときに、このトリニータでもJ1で戦えるのだということを示したかったし、そのための戦術を考えながら、サッカーでなんとか上がってやろう、そしてJ1にまた復帰しようという思いでやっていたので、J1に定着するためには必ずしもお金があればいいわけではなく、だからといってお金がないよりはやはりあるほうが、より定着できるチーム作りが出来る部分はあると思う。

それと、ファン、サポーターのサポートや周囲を取り込む環境、どういうサッカーを作りあげていくか、選手がどういう姿勢でこのチームのためにプレーできるか。いろんなものが噛み合うことでいい成果につながると思うし、そういうものがあるからこそ、定着できたり上に行けるチームになるのではないかと感じている。

——セレモニーでスピーチしたときには6年間のいろいろなことへの万感の思いがあったかと思うが、心境は。

もちろん、6年間でいいこともあったし、J3からJ2、J2からJ1へと昇格を同一チームですることも出来た。わたしをサポートするクラブ、スタッフ、選手のおかげでJ2、J1の優秀監督賞を取らせていただいたり、本当に素晴らしい思い出ばかり。

ただ、今季はJ2に落としてしまったというところで、どちらかというとそのことに対する悔し涙だったのが強いかと思う。僕が就任して6年やらせてもらって、トリニータをJ1に上げ、J1で定着させるチーム作りを目標として、自分の中で、そのために何が必要か、何をしなければならないかを考えながら指揮してきたので、J2降格は自分でも不甲斐ないし、応援し支えていただいている方々に申し訳ない気持ちがあって、その涙になった。

セレモニーが終わって、また僕ひとりでグラウンドに出させていただいて、スタジアムをまわるとき、温かい拍手とありがとうという感謝を伝えていただき、僕の中ではやはり降格させてしまったことに対してすごく申し訳ない気持ちが強かったし、本来ならという言い方があっているかどうかわからないが、やはりブーイングや罵声が浴びせられるのが普通だと思っていた。なのに、トリニータのファン、サポーターの温かさ。わたしのことを信じてくれて、応援してくれている、その思いを、すごく感じた。

なので、本当にこの6年間は、すごく素晴らしいシーズンだったし、本当にしあわせで忘れられない6年間。この6年間を誇りに持って、今後も自分も指導者として前進していけるように。そして、わたしは大分トリニータが大好きだし、大分県も大好き。またJ1に1年で復帰して、J1で躍動するチームになってほしい。ずっとJ1に定着するチームとして、いろんな大変さはあると思うが、そういうところを目標にしながら、今後、トリニータが発展し活躍してほしいと、心から思っている。

——最後にピッチに深々と頭を下げていた。どういう思いだったのか。

6年間、この昭和電工ドーム大分で指揮を執らせていただいたことへの感謝を込め、グラウンドにも頭を下げさせていただいた。ドームの芝師の方々も僕のリクエストに応えてくれたりして、水を撒いてくれたり芝をしっかりと補修してくれたり、本当に大変な仕事をされている中で、素晴らしい準備をしてくださった。そういったものも含めて、一礼で感謝を伝えるような形で、させていただいた。

——サポーターの方々へメッセージを。

本当に6年間、ファン、サポーターの方々の応援や支えがあって、わたしは指揮を執ることが出来たと思っている。苦しいときも、コロナ禍で大変な状況でも、スタジアムに足を運んでくださるトリニータのサポーターの存在は本当に心強かったし、本当に大分トリニータを愛しているサポーターが多いのだなと感じた。どういう結果になったとしても、最後まであきらめずに応援し続ける姿勢を、そういうところで示してくれた。その姿勢をわたし自身もすごく感じていたし、なんとか応えられるゲームをしなくてはならないという使命感の中でやらせていただいた。

本当に感謝しているし、今後もそういう姿勢でトリニータをサポートしていただきたい。来季はJ2での戦いになるが、1年でJ1に復帰して、またJ1で躍動するチームになってほしいと心から願っている。

——あらためて、大分トリニータとは片野坂監督にとってどんなものだったか。

うーん…そうですね…わたしの存在価値を示してくれる場所。そして、本当にいろんな方々と一緒に喜び合える場所。それが大分トリニータだったし大分県だったと思う。サポーターと一緒にここまで戦えたことが、本当にうれしい。

——天皇杯が残っていて、まだ歴史を変えるチャンスがある。どういったものを残していきたいか。

天皇杯はトーナメントだし、準決勝の相手が川崎Fさん。リーグチャンピオンで前回チャンピオン。本当に強いチームなので、とにかくここまで来れたことはいい成果だが、最後にそういうチャンピオンチームと準決勝を戦えるということで、なにかしらの策を練りながら、選手もすごくやりがいを感じてチャレンジになると思うが、あわよくばジャイアントキリングを起こし、このトリニータの存在意義をまた天皇杯でも示し、決勝にコマを進めることが出来れば、本当に素晴らしい成果につながるのではないかというところで、まずは準決勝・川崎F戦に向け、思い切って準備してきたことを躍動できるように、選手とともに戦いたい。

 

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