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俺のパンツ

野村直輝、自称「田舎の雑草育ち」だからこそわかること

オンラインでも続ける社会貢献活動

コロナ禍による中断期間、長期にわたる自粛生活を強いられた選手たちだが、その日々の過ごし方や発信の仕方によって、思いがけずそれぞれの思考や人生観が浮き彫りになってもいる。
 
野村直輝もその一人だ。東京V所属のMF小池純輝が代表理事を務め「フットボールで繋げる、フットボールが繋げる」をコンセプトに社会貢献活動を繰り広げる『F-connect』に所属。今季からチームメイトとなった町田也真人も含む有志6人で児童養護施設の訪問などを行ってきた。コロナ禍により外出が制限されてからは、TV会議システムを使ったオンライン施設訪問で活動を続けている。
 
「僕はもともとプロの世界に近い存在ではなかったというか、かなり遠回りしてこの中に入っているので、エリート街道を歩んできた人たちよりも、プロから遠い人たちの気持ちがわかる気がして。だからそういったところをつなぎたいと思っているんです」
 
山口県下関市出身の野村は、5歳のとき地元のクラブ「セイザンFC」でボールを蹴りはじめた。県立下関中央工業高を経て日本経済大へと進学し、九州大学選抜にもメンバー入りしたが、全国的に見て決して注目度は高くなく、自称「田舎の雑草育ち」。だが、大卒後の2014年に加入した横浜FCでの活躍は、多くのJリーグファンの記憶に鮮やかなのではないだろうか。めまぐるしく監督が交代する状況下で主力として出場を重ね、2列目で攻撃のアクセントとなり続けた。2019年に徳島に移籍すると、リカルド・ロドリゲス監督のサッカーにおける高い要求にも見事にフィットし、キャリアハイの7得点12アシストを記録した。最後はJ1参入プレーオフ決定戦で湘南と引き分け、惜しくも昇格は逃したが、その試合で発揮した存在感も含め実力を評価されて、今季は大分で自身初となるJ1の舞台に挑んでいる。
 

アスリートであると同時に一人の人として

話をするときにも野村は、サッカーに対するまっすぐな情熱を隠さない。ピッチ外の活動についても同様であることが、コロナ禍による“不自由さ”の中で見えてきた。この中断期間、読書などで知識を増やすだけでなく、積極的に人とつながり、見識を深めているという。
 
そうやって紹介してもらい、画面越しに対面を果たしたうちの一人が、元徳島のDFで現在はクリアソン新宿所属の井筒陸也だ。クリアソンは東京都新宿区を本拠地に、現在、関東サッカーリーグ1部に参戦中の社会人チーム。サッカーにとどまらず地域貢献や人材育成を通じて2022年のJリーグ参入、世界一のサッカークラブを目指しており、かつて大分でプレーしたファン・ソンスや伊藤大介も所属している。他にも質の高いプレーヤーを多く擁しているが、カテゴリーとしては5部に相当することになる。井筒は2019年、徳島から契約延長オファーを受けながらプロサッカー選手を引退し、敢えて社会人として働きながらクリアソンでプレーする道を選択した。
 
「彼はプロとしての世界を断ち切り『世の中を豊かにする』と言って新しい世界へと出ていった人なんです。そのことを噂で聞いていたので、以前から実際にどういう人なのかなと思っていて。その価値観や新しい考え方を聞いたりして、すごく面白かった」
 
井筒との対面を、野村は生き生きと振り返った。その内容からは、アスリートとしての日々と同時に、一人の人間としての日々も深めていきたいという思いが読み取れる。前述の『F-connect』が掲げるもうひとつの理念である「デュアルキャリア」の概念にも沿う姿勢だ。
 

応援しあってエネルギーをやりとりしている

下関のサッカー少年だった頃、当時いちばん近いプロチームだったアビスパ福岡のファンクラブに入り、博多の森球技場に通ってピッチで戦うJリーガーたちに声援を送っていた。その頃の感覚がいまだに少し残っていて、普段からスタジアムでサポーターたちが歌うチャントを聞くのが好きだという。チームは問わずアップテンポのものを好み、「なんとなくやる気が出ない日も、イヤホンをして爆音でチャントを流していたらスイッチが入るんです」と笑った。
 
「いろんな人と関わる中で、新しい考え方をもらったりサッカー選手としての話をしたりして情報交換しながら、お互いのことを知っていき、応援しあってエネルギーをやりとりしている。そこでサッカーのモチベーションへのプラスアルファとして、さらに気持ちが高まるんですね。応援してくれる人と面と向かってコミュニケーションを取ることでもう一段階パワーも出てきますし、自分の出来ることがあれば自分も一緒に楽しみながら、どんどんやっていけたらいいなと。それが自分の役割だと思っています」
 

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