TORITENトリテン

今節の見どころ

天敵・河原を擁する愛媛との2年ぶりの“豊予ダービー”。ミラーゲームを制し今季初の連勝へ

 

1日は2年ぶりの“豊予ダービー”。海を挟んで隣県のチームとの対戦に、士気は高まるばかりだ。

 

「やり続ける自信」を深めている

 
前節・アウェイ熊本戦で、未成熟な場面も見せながら徹底的にGKからのビルドアップにトライし、その姿勢を貫いて勝利という結果を手にしたことで、チームは「やり続ける自信」を深めている。
 
初先発の岸田翔平、初出場の黒木恭平ともに、実戦を通じて計算できる戦力であるアピールが出来た。途中出場を重ねている國分伸太郎も、着々とそのストロングポイントを試合の中で発揮しつつある。
 
現在はコンディション不良のメンバーが多数出ているが、層が薄くなっているというよりは、それがポジション争いの激化につながっている傾向も見えた。トレーニングでは、これまでも出場経験を積んできた岩田智輝や姫野宥弥をはじめ、大津耀誠や野上拓哉ら、まだ試合に絡めていない若手の顔つきも変わってきた様子がうかがえる。
 
今節も選手たちのコンディションを見ながら、指揮官はぎりぎりまでメンバー選考に悩みそうだ。「42試合すべてをベストメンバーで戦えるとは思っていない。誰が出ても戦えるように準備しているつもり」と、万全の態勢を整える。
 
前節が日曜開催で今節は土曜のため、時間をかけて相手対策を施せた前節に比べると、今節は準備期間が2日間短い。いつも非公開となっている試合前日に加え、今週は前々日のトレーニングも一部非公開として、片野坂知宏監督は選手たちを戦いへと集中させた。
 

またやってくる“大分キラー”河原

 
前節の熊本とは異なり、今節の相手・愛媛とは同じ3-4-2-1同士でのマッチアップとなる。ミラーゲームにおいても、ミスマッチの生じる噛み合わせと同じように、相手の変化を見ながらスペースを突いていけるかが最大のカギになりそうだ。
 
今季から愛媛を率いる間瀬秀一監督とは、昨季、秋田の指揮官としてホームとアウェイで2度対戦している。バランスが取れ手堅くハードワークするチームを作る監督で、大分が2勝したものの、決して楽な試合ではなかった。長年3-4-2-1システムを採用して独自のスタイルを築いてきた愛媛に、その手堅さが加わり、今季はどうなるか。
 
開幕戦で金沢に1-0で勝利したあとは2分2敗と結果が出ていないが、いずれも良い時間帯を作っており、今季の戦いへの手応えも感じていそうだ。敗れた試合に関しても、組織だった守備で硬い展開をものにしている。
 
さらに、愛媛と言えば“大分キラー”河原和寿。負傷していた模様で第1節の後は姿を消していたが、古巣・大分との戦いに合わせてコンディションを上げているはず。大分を出たあと移籍した栃木ではなかなか結果を残せずにいたが、愛媛に移籍してから見事に戦術にフィットし、大分戦では2014年、2015年とホーム・アウェイで1点ずつ奪っている。クロスに飛び込んでくる丸刈り頭にゴールを割られて悔しがった記憶ばかりだ。
 
河原が左シャドーに復帰すれば白井康介は左WBに回ると考えられ、右WBの小池純輝とともに、さらに攻撃の勢いが増しそうだ。個人技の選択肢が多くスピードにも長けた右シャドーの近藤貴司、強く起点となる1トップの西田剛をはじめ、攻撃陣の組み合わせのバリエーションも増えるため、それぞれの特長を押さえ、準備しておかなくてはならない。
 
その河原に加え、第3節以降は試合に絡んでいなかった守備の要の林堂眞も、復帰してくる見通し。堅守をどう崩すか、大分の攻撃陣の腕の見せどころだ。
 

連動して相手を剥がし数的優位を作れ

 
これまでの試合では、相手の出方を見極めるまでに勢いにのまれ、そのまま前半を劣勢で過ごすことが多かった。今節の愛媛も守備方法にバリエーションがあり、それに対応していくまでに隙を見せて失点しないことが肝要だ。
 
「後半になればシャドーのところが空いてきたりもするので、前半は我慢が必要かもしれない。個人的にはボールが入ってこなくても焦れずにやり続けることが大事」と三平和司。理想的な形でボールを奪えた瞬間を見逃さずに攻めたい。
 
相手を上回り、マークを剥がして局面で数的優位を作ったほうが有利になるミラーゲーム。特にWB同士のマッチアップは重要になるが、隙を見てボランチも攻撃に絡めば押し込んで崩す場面も増えそうだ。
 
今節もコンセプトを粘り強く貫き、チームを成熟させながら結果を求めていく。東京V戦、徳島戦とミラーゲームで戦った経験を生かし、賢く、したたかに勝ち点3を掴み取りたい。