TORITENトリテン

今節の見どころ

しつこい守備を振り払いゴールを奪え。“百万石カウンター”には要注意

 

前節はファンマの2発に沈められたが、戦術的狙いもハマり内容的には悪くない手応えを得たチーム。失点につながった守備の“あと一歩”の集中力を徹底し、追加点を奪って攻撃で上回れるように、今週もトレーニングを積んで、敵地・金沢へと乗り込む。

 

金沢対策と同時にスタイル強化を目指す

 
芝の養生のため、今週のトレーニング会場はサブグラウンド。前節が土曜開催だったため今週は準備期間が1日長いが、遠方のアウェイに向けての移動日はほとんど練習できないため、実質2日間でみっちりと戦術を徹底した。
 
残り9試合となった現時点でJ1昇格も狙える位置につけているが、山岸智キャプテンが「今季1年間やってきたことをピッチで表現し、そういうプレーが出来れば結果はついてくると信じている」と話すように、チームの姿勢は堅実。「最近はちょっと忘れかけているが、J3に落ちたときの悔しさを忘れずに、一試合一試合戦っていければ」という三平和司の言葉は、2年前の経験を踏まえ、自分たちのスタイルを確立することへの強い意志を感じさせる。
 
それを反映するように、今週のトレーニングは、ボールの動かし方や数的優位の作り方について共通理解を深めたりゴール前でのアイデアを共有したりするメニューが中心となった。状況を見ながら判断し、長短のパスや速攻・遅攻を使い分ける攻撃練習は同時に、それに対応する守備練習ともなり、攻守両面での判断力に磨きをかけた。
 
明治安田J2第8節の前回対戦で、金沢はマンマークに近いほどのしつこい守備で封じに来たが、逆にこちらはそれを利用し、マークを剥がしては有利な形でチャンスを築いた。得点は1点止まりだったが、スコア以上に内容で上回った試合だった。
 
それを踏まえれば、今回の金沢がまたそこまで執拗にマークしてくるかどうかはわからない。基本的にはハイプレスを多用するスタイルだが、大分に対してまた異なる対策を練ってくる可能性もある。
 

好調なSHを多く擁する金沢

 
第3節から2試合は3-4-2-1システムでスタートしたが、それ以外は4-4-2をベースに戦っている金沢。2トップの一角にはボールを収めて起点となる佐藤洸一を据え、その相方を務める多彩な攻撃陣は、左右SHでも起用され、誰がどこに配置されるかが読みづらい。
 
最近は中美慶哉と宮崎幾笑の好調が際立つが、杉浦恭平、金子昌広も警戒しなくてはならない存在だ。SHが中に絞ってSBが攻撃参加してくる中で、今節は右SBのレギュラー・石田崚真が累積警告により出場停止。この代役に誰が入るかによって、攻守の比重が変わってくると思われる。
 
もうひとつ怖い情報は、山崎雅人の復調。J1時代の大分で破格の運動量により前線からの守備に貢献したFWは、ここ最近はなかなかコンディションが上がらず前回対戦もメンバー外だったが、ここに来て再び調子を上げているようだ。先発で出てくる可能性もある。チームの士気を高めることの出来る存在だけに、美味しいところを持っていかれないようにしたい。
 

最大の見せどころは相手との細やかな駆け引き

 
大分としては、金沢のしつこい守備をいかに賢く剥がしていくかがポイントとなる。相手が前から奪いにくれば、ひとつのミスからショートカウンターでの失点につながるリスクもある。仮に金沢がブロックを作ったとしても、要所ではまとわりつくような守備で自由を与えてくれないはずだ。
 
そういうせめぎ合いの中で、相手と駆け引きしながら上回っていくことこそが、片野坂サッカーの最大の見せどころ。前節の長崎戦で三平と後藤優介の2シャドーがクレバーに立ち回ったように、今節もカギとなるポジションの選手がどういう動きをするのかに注目したい。
 
しつこく球際に食い下がる相手に対しては、川西翔太の足技も見どころになりそうだ。本人は「よく持ちすぎと言われる」と頭をかくこともあるボールキープだが、状況判断良くパスを出せれば、相手を振り回せる最大の武器になる。
 
トレーニングで意志統一を図ったチームが、その成果をピッチで発揮できるかどうか。今節はひさびさのデーゲーム。多くのサポーターのご声援をお願いします。