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今節の見どころ

対するは自動昇格圏内を狙う東京V。賢く駆け引きして勝点を掴め

 

リーグ最少失点の安定した戦いぶりで現在4位につけ、自動昇格を狙う東京V。だが、プレーオフ圏再浮上を目論むこちらとしても勝点は譲れない。攻守にクオリティーがありバランスよく戦う相手に対して、賢く対峙できるか。

 

好調の新太が帰ってくる

60分過ぎまで優勢に進めながら得点機で仕留めきれず、相手の選手交代で流れを持っていかれた末に90+2分に相手の劇的決勝弾に沈んだ前節・大宮戦から1週間。立て直した守備の手応えを感じつつ進めていた試合だっただけに軽いミスからの失点による敗戦のショックは大きく、今週はそこからリバウンドする力が問われる準備期間となった。
 
大宮戦の結果を受けて開催した選手ミーティングでは、キャプテンの梅崎司が「交代選手のパワーが出せなかった」と厳しく指摘。相手の強力なFWの個の力に押し下げられ、そこからの打開策を見出せなかったこと、最後に軽い失点を喫したことを反省材料として挙げた。グラウンドでは選手やスタッフたちの集中した様子が見られ、前節出た課題に対する修正が施された。
 
野村直輝の負傷離脱、そしてまた新たなメンバーの負傷は痛いが、今節は渡邉新太が累積警告による出場停止から戻ってくる。前々節の水戸戦で復帰後初となる今季初ゴールを挙げた渡邉は、その前から好調さを垣間見せていたが、自らが得点したことでもう一段階メンタルが上がっている模様だ。勢いに乗りたいタイミングでの出場停止も、先週から今週にかけて好調さは維持しており、今節の活躍に期待がかかる。
 

安定した戦いで自動昇格を狙う東京V

東京Vは現在、17勝11分9敗の勝点62で4位。自動昇格圏の2位・磐田を勝点2差で追う。直接対決も残しており、自動昇格を目指して勝点3が欲しい状況だ。第33節・金沢戦と第34節・山口戦で連勝したあと、第35節からは甲府、藤枝、群馬と対戦して3戦連続ドロー。じりじりと勝点を積んでいるが、残り試合も少なくなり、早い段階で足場を固めておきたいところだろう。
 
ここまでリーグ最少の28失点。この崩れなさで安定した戦いを続けてきたが、攻撃面においても技術のある選手が多く、ポゼッションのクオリティーが高い。
 
そんな相手に対して、こちらもJ1昇格プレーオフ圏内再浮上を狙う中、やはり前々節から安定感を増した守備は継続したいところ。ただ、守備に意識の軸足を置くがゆえに重心が低くなりがちで攻撃のテンションが落ちていることもあり、今節は攻守に巧みに戦う相手と駆け引きしながら、試合の流れを読みつつ攻守のバランスをコントロールしていく賢さが問われる展開にもなりそうだ。
 
苦しんできた後半戦を受け「このままでは終われない」と下平隆宏監督。前節終了後にスタンドから降り注いだブーイングを力に変え、もう一度サポーターに期待を持たせるゲームを披露したい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
前節の負け方がああいう感じだったので、今週は選手たちの自信回復に努めた。東京Vはボールを持つのが上手いチームなので、守備はハメに行くところとブロックを作るところのメリハリをつけたい。攻撃に関しては、相手は堅守だが、突ける部分はある。
 
なかなか波に乗れていないので、現実的なところで負けないことを考えなくてはならず、やはり守備ベースの戦い方になると思う。いま、守備の感触はすごくいい。
 
■DF 49 羽田健人
 
前節は負けてしまったが、チーム状態や雰囲気は間違いなくよくなっている。球際にもみんな積極的に強く行くようになっている。今日の紅白戦でも積極的なディフェンスが出来ていた。東京Vも技術の高い選手が多く、ボールを持たせると上手いので、中盤に入れさせないとか、ゴールキックで簡単に持たせないところが大事になってくる。
 
前節は途中交代で入ってきた選手のストロングポイントを生かせずに終わってしまったので、そこの改善が必要。(長沢)駿くんが入ってきたら外から攻めてクロスを上げることが有効になるので、ボランチからしっかり散らしてサイドにいいボールを入れられるようにしていきたい。
 
■DF 2 香川勇気
 
自分が東京Vに所属したのは半年間だけだったがすごく濃い、学べた時期だった。ロティーナのサッカーもそうだが、周囲に上手い選手がいたり、プレーオフで戦ったテンションとかの経験をさせてもらったクラブなので感謝もある。そこと対戦できるというのは毎回、すごく楽しみ。
 
得点しないと勝てないので、守備の意識を高くすることも大事だが、やはり攻撃の回数をもう少し増やしていきたい。守備では前節のような失点を絶対になくすこと。全体で無失点で抑えて、しっかりと点を取ってもらえるように、自分としては攻守両面で仕事をしていきたい。相手もつないでくるので、簡単に行くと剥がされてしまう。そして慌てて行かないようにというところ。ある程度相手にボールを持たれても、最後にやられなければ大丈夫だというイメージが出来ている。