TORITENトリテン

今節の見どころ

変則的なGW連戦は破壊的攻撃力を誇る強豪との2戦。まずは甲府に立ち向かう

 

ピーター・ウタカやアダイウトンら華やかな攻撃陣も脅威だが、巧みにゲームをコントロールし彼らを操る“元大分組”の2人が非常に厄介な甲府。守備陣に負傷者が続出しているようだが、その攻撃力にはさほど影響がないようだ。

 

チームスタイルのベースアップを進める

4試合ぶりの勝利に沸いた前節、熊本との九州ダービー。お互いのスタイルを出して攻め合った一進一退のゲームで最後に勝利を引き寄せたのは、果敢にゴールを目指し続ける姿勢だった。
 
白星から遠ざかっていたここ3試合のうち特に秋田戦といわき戦は、今季からチャレンジするスタイルのベースが十分に浸透しきれていなかったこともあってか、特徴的な相手を迎えるにあたって、対相手戦術のほうが色濃く前面に出てしまった印象だ。自分たちの目指すスタイルをなかなか押し出せなかったことが相手のストロングを引き出すことに繋がり、上手く攻撃の形を作れず相手ペースで進んでしまった。
 
その反省を踏まえ、あらためて今季のスタイルを整理し共有したことで、熊本戦ではチームの目指すものの輪郭が、再びピッチに描き出されたようだった。とはいえ精度や強度、スピードはまだまだ高めるべき余地が大きく、今週のトレーニングでも、コーチ陣の工夫が凝らされたトレーニングメニューを通じて、近くと奥行きを同時に見たり味方との関係性を瞬時に築いたりといった、チームスタイルのベースとなる部分の強化が進められた。
 

守備陣はスクランブルも攻撃力満点の甲府

甲府は現在、5勝3分4敗の勝点18で7位。20得点15失点となっているが、DFに負傷離脱者が多く、井上樹、小林岩魚、エドゥアルド・マンシャと立て続けに診断結果がリリースされている。GKも渋谷飛翔が左第2・3中手骨骨折、河田晃兵が左半腱様筋損傷とスクランブル状態に陥り、4月25日には鳥栖からコ・ボンジョを期限付きで緊急補強。前節はアカデミー出身で日大OBの山内康太がピッチに立ち、コ・ボンジョがベンチに入った。
 
とは言ってもピーター・ウタカやアダイウトン、ファビアン・ゴンザレスら強力な外国籍選手らはさほど影響なく躍動しており、その攻撃力は間違いなく脅威だ。そのパワフルな攻撃陣を操っているのは、ボランチの佐藤和弘とトップ下の三平和司という2人の“元大分組”。巧みなゲームコントロールと攻撃のスイッチには手を焼くことになるだろう。
 
迫力あるカウンターの餌食にならないよう、不用意なロストは避けたいところ。熊本戦では多くの場面で組織的な守備により相手の攻撃を遮断できていた。失点場面を含め数回、縦に速く運ばれたシーンもあったが、渡邉新太は「もちろん中をやらせないことが最優先だが、試合の状況や選手の配置などすべてのシチュエーションでしっかり構えることも出来ないし、めまぐるしく状況が変わる中で誰かがちょっとズレていたりすることもあって、90分の中では縦に通されるシーンもいくつかは出てくる。通されてしまったときはマックスでゴール前にみんなで戻ってプロテクトすることが大事」と話す。
 
前節、甲府と対戦した愛媛は、強力な甲府に対し粘り強く戦って逆転勝利している。今節のわれわれも苦しい局面を乗り越えて相手を上回りたい。今節のあとは中2日で次節・長崎戦。移動も含めてかなりタイトな日程で強豪との連戦になるが、リズムよく勝点を積んでいけるよう、今節も一体感と積極性を持って挑んでいく。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
今後も強度のあるフットボールをしてくるチームに対して自分たちがどう上回って勝点3に繋げられるかというところはトライの部分になる。今節の甲府戦、そこから中2日での長崎戦と、相手には強度があり質や個人の能力の高い選手がいるので、そういう相手に対してまた新たなチャレンジになる。自分たちらしく戦えるゲームにしたい。そういう中で勝点3を取れればベスト。
 
甲府は守備はある程度しっかりとゾーンを組んでくるところと前から来るところを合わせている。攻撃は個で打開できる外国籍選手が前線にいて、速い攻撃やサイド攻撃が特長。SHとSBの関係性もよく、SBの選手も推進力があるので、しっかりと対応しながら管理して、守るべきところをしっかり守り、奪うべきところはしっかり奪っていきたい。
 
■FW 11 渡邉新太
 
前々節のいわき戦からは自分たちの得られるものがなかった。自分たちのチャレンジもそうだし、勇気を持ってボールを動かすことも、プレッシャーに対してビビっていたので、また自分たちのやりたいサッカーをしようとずっと話していた。前節は入りもよく先制点も取れたし、そこは修正できたと思うが、もっともっとチャンスを作らなくてはならないし、もっと相手を圧倒しないと目標に到達するのは難しい。