連戦ラストは前節から中4日でのアウェイ。2016年J3以来の富山に挑む

中2日で遠い敵地へと移動した前節・山形戦の敗戦から、今度は中4日。アウェイ連戦で、2016年J3以来の富山との対戦だ。
今度は中4日で北陸アウェイ
返す返す、コンディション万全で臨めていればと考えてしまう前節の山形戦。試合の入りや狙いは好感触で、いつもの状態ならばもっと戦えていたはず、という印象が、どうしても拭えない。選手たちに話を聞くと、「体もそうだがそれ以上に頭が疲労していた」とのこと。今節はまた遠方の北陸アウェイだが、中4日の準備期間を得て、コンディション回復と対富山戦術の落とし込みに努めた。
疲労に足を引っ張られた中でも、現状のチームが抱える課題は見えている。「いい守備からいい攻撃」をキーワードとする堅守からのカウンターをメインとするスタイルに関しては、ある程度の手応えを感じられるまでに完成度を高めているが、ビハインドになった展開での戦い方がまだ十分に浸透していない。前節の山形戦では後半から野村直輝をボランチに配置してポゼッションしながら攻略を図ったが、ボールがひとつ動くごとにポジションを取る意識が不足していることを、ピッチに立っていた、あるいはベンチで見ていた複数の選手たちが感じ取っていた。「構えてからのカウンター戦法ばかりやっていると、ポゼッション時の立ち回りの感覚が鈍ってしまう」と選手たちは言う。トレーニングでは毎日、ポゼッションメニューをこなしているのだが、やはり公式戦の、相手がいる場では、それだけでは補えないものがあるのだろう。
これまで先発で出場を重ねてきた11人の連係や共通理解は高まっているが、選手交代後にギアアップできなずにいた課題も、連戦中の一部ターンオーバーでさらにあらわになった。ここまで出場機会の少なかった選手たちの連係が、まだ不足している。即興でコンビネーションを築けるメンバーも多いのだが、その回数を増やすためにも、さらにイメージを擦り合わせていきたい。
11年ぶりJ2の富山。キャプテンは吉平翼
昨季J2昇格プレーオフを制して、2014年以来11年ぶりにJ2に戻ってきた富山。開幕のアウェイ愛媛戦を1-0で勝利し、第3節の甲府戦、第4節の磐田戦とホーム連戦を2連勝とまずまずのスタートを切ったかに見えたが、その後は5分5敗と10戦未勝利状態が続いている。
前節はホームに長崎を迎え、集中した守備から積極的に攻めて35分に武颯のゴールで先制。だが、長崎が後半に怪我から復帰した山口蛍とマルコス・ギリェルメを投入したことで戦況が一変し、早い時間に逆転を許すと、守備を固めた長崎を攻略できずに1-2で敗れた。
全員のハードワークと、アグレッシブで前への意識が見えるポゼッションが特長のチームだ。2022年9月に石﨑信弘監督からチームを引き継ぐかたちで小田切道治ヘッドコーチが監督となって4シーズン目。富山でプロデビューした戸根一誓が在籍した3シーズン、アシスタントコーチとヘッドコーチを務めていた小田切監督は、当時から熱い指導者だったという。
そんなチームをキャプテンとして率いるのは、大分市出身、スクールからトリニータ一筋で育ってきた吉平翼だ。昨季J2昇格プレーオフ決勝の松本戦では、2点差を追いついた90+4分の碓井聖生の2点目を、ゴールへと向かうクロスでアシストした。大分にいた頃と変わらない姿勢で気持ちの強いチームカラーを牽引しているようだ。2016年J3と2017年J2、2019年7月までのJ1をともに戦った片野坂知宏監督との再会であり、大分との初対戦でもある。
今季からは2013年に特別指定選手として大分に在籍した松田力も加入しており、タレントも揃う。連戦ということもあってかメンバーを入れ替えて戦っているため布陣予想は難しいが、可変気味の戦い方も含め、相手の状況を認知することが、今節も勝利へのカギとなりそうだ。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
富山はメンバーが読みづらい。誰が出ても戦い方は共有されていると思うが、特徴は若干変わってくる。ハードワークして組織で戦うところが徹底されている。隙がなく、攻守にわたってみんなが絡んでくる手強い相手だと思う。連敗はしたくないのでアウェイで移動もあって選手は大変かもしれないが、最悪でも勝点1を取らなくてはならない。
吉平翼はギラギラしている選手。経験を積んで、J2昇格にも貢献した。楽しみにして鼻息荒くやってくると思う。山形で古巣戦の(國分)伸太郎にやられたので今度は翼にやられないようにしないと。翼はもともとサッカーに対する熱さや情熱がすごく強いので、富山の中でチームを引っ張る姿勢などはキャプテンとして適しているのだろう。
■MF 18 野嶽惇也
連戦でそれなりに疲労感はあるが準備は出来ている。前節は僕自身のコンディションが上がりきれず迷惑をかけてしまった。体というよりも頭が動かず、認知やちょっとしたところがどうしようも出来なかった。メンバーが変わると特に守備時にいつもは人がいるところにいなかったりして、そこに注意を払わなくてはならないことも多く、少し難しさがあった。全体のバランスで、積み上げてきたものが、ちょっとしたズレなのだがいつもとは違うという感覚があった。
富山戦のポイントはハードワーク。ポゼッションしてくる相手で、相性は悪くないはず。みんな自信がついてきていると思うので、あとは精度を高め、後ろが気を引き締めて戦いたい。
■MF 25 榊原彗悟
前節は前半で交代して不完全燃焼だったので、今節はフルパワーでプレーしたい。前節は立ち上がりは自分たちの時間のほうが多かったと思うし、そこで1本取れればというところで取れずにズルズルと引いてしまった。相手も立ち位置を変えて上手く縦関係を作りながら僕たちの守備を引き出そうとしていると感じたのだが、それにハマってしまった。
上位に食い込んでいくためには絶対に連敗してはいけない。富山はポゼッションしてくると思うが、自分たちのアグレッシブなサッカーで勝ちに持っていけるよう準備したい。