積み上げてきたものに磨きをかけて、九州ダービー3勝目を期す

ホーム連戦だった第12節・鳥栖戦、第13節・熊本戦に続き、アウェイ2戦を挟んで第16節のホームゲームは長崎戦と、3連続九州ダービー。最初の2戦をいずれも1-0でものにしたチームが、ダービー3連勝に挑む。
富山戦の課題を受けボールの運び方を整理
変則日程のGW連戦が終わった。第11節のアウェイ磐田戦から3連勝を遂げたあと、中2日でのアウェイ山形戦、中4日での富山戦では蓄積疲労がありありと見えて苦戦したが、この連戦中にも毎試合それぞれに対相手戦術を共有していろいろな戦いぶりを見せたチームは、着実に経験値を積み上げているように見える。
3試合ぶりにホームに戻ってくる今節は、長崎を迎える。いずれも1-0で勝利した第12節・鳥栖戦と第13節・熊本戦に続く3連続ホーム九州ダービーで、ここはダービー3勝目にしてホーム3連勝で盛り上がりたいシチュエーションだ。敵将が前指揮官の下平隆宏監督とあれば、なおさら士気が高まる。
1週間の準備期間を得て、チームはまず、富山戦前半の課題を修正。ボールを運ぶ意思はありながら、前の選手が受けに下りてくることで重心が低くなってなかなか前進できなかったことを改善しようと、まずはミーティングでポジショニングを整理し、グラウンドでそれを確認した。片野坂知宏監督は「ボールを持つ目的はあくまでもゴールを取るため」と、後ろの選手が前に関わりながら前進していけるようにと意識づけを徹底していた。その翌日には対長崎戦術を確認。強烈な攻撃陣を多く擁する長崎に対し、「ボールを持つことで相手の攻撃機会を削ることも必要になるかもしれない。今週のトレーニングが生きればいい」と指揮官は話した。
フアンマ不在も蛍復帰で復調傾向の長崎
現在、長崎は5勝6分4敗の勝点21。5勝7分3敗の大分とは勝点1差だが、大分の14得点12失点に対し、長崎は26得点25失点と攻守に派手な数値を叩き出している。
今季も積極補強を行い戦力を整えて、開幕から6戦無敗と好調なスタートを切っていたが、その補強の目玉でありチームの精神的支柱であった山口蛍が負傷離脱した第7節からは3連敗を含む7戦白星なし。山口が途中出場で復帰した第13節・愛媛戦を1-1で分け、これも途中出場の第14節・富山戦を2-1で8戦ぶり勝利して、インテリオールで先発した前節の山形戦は1-1でドロー。徐々にチームとしての調子を取り戻しつつある状況だ。
特筆すべきは前節・山形戦で退場し3試合出場停止となったフアンマ・デルガドの不在。『進撃の巨人』の“地ならし”ばりに、すべてを無にして個のパワーで捩じ伏せるストライカーが欠場することは、ひとつの大きな要素ではある。ただ、ピーススタジアムの柿落としだった昨季J2第34節、フアンマがまさかのメンバー外で1トップにマテウス・ジェズスを配置するという想定外の布陣の長崎に1-4で敗れた過去もあり、よりどりみどりなタレントの誰がどこに配置されるかは予想しづらい。前節、足を痛めたようだった高畑奎汰の出場はあるのか、また、今季はWGで起用され絶好調の増山朝陽が左なのか右なのかと、元大分組の動向も気になるところ。
大分がボールを持つことを選択するのであれば、自陣で不用意にロストすることは即失点のピンチに繋がる。それでも勇敢にチャレンジしなくては、むしろこのタレント軍団に太刀打ちすることは出来ないだろう。守勢に回っても粘り強い対応で主導権を明け渡さず、力強く勝利を目指したい。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
フアンマ選手が今節出場停止なのは大きいと思うが、マテウス・ジェズス選手をはじめ他の選手たちも1人で剥がせるし、クオリティーで差をつけられる選手がサイドにも中にもいるので、彼らをどう管理するかという中で、対峙する選手が粘り強くやることが大事。自分たちがボールを持って相手に渡さず、相手の攻撃の時間を削ることも必要なのかなと思う。
やはり長崎はボールを動かすのが上手いしGKも上手いし、前線に個の能力の高い選手が多いので、そこにいい形で出させないようにしないと良さが出てしまう。われわれはしっかりと試合の入りから集中して切らさず隙を与えず、長崎さんの戦い方を想定した中で対応できれば、勝機が見出せるのではないか。先制して相手が焦れて出てきたところを、カウンターで追加点というかたちになるのが理想。
■FW 29 宇津元伸弥
長崎さんは前線の3人が迫力があり攻撃力が高い。すさまじい攻撃力を持った選手がたくさんいて、特にWGのサイド攻撃が長崎さんの持ち味だと思うが、そこを潰せれば自ずと失点の確率も減る。そこは自分たちサイドの選手の頑張りに懸かってくると思っている。(吉田)真那斗とも「毎試合、攻撃力で上回りたい」と話しているし、守備のほうは5バックで守れている。ちらも守備に成長の手応えを感じているので、そこに関しては見せどころ。チャンスはこちらにも絶対あると思うので、そこでしっかりものにしたい。
今季は選手間でコミュニケーションをとることが昨季までよりも増えていて、ピッチの中で具体的にたくさんのことを話し合えている。ノムくん(野村直輝)や(野嶽)惇也くんたち、スペースを理解した中で気を利かせることが出来る選手が助けてくれている。