相手は本戦初出場のレベニロッソNC。情報の少ない相手にも柔軟に対応せよ

いよいよ開幕した天皇杯。昨季J2の16位だった大分は1回戦からの参戦となり、クラサスドーム大分で愛媛県代表・レベニロッソNCと対戦する。
相手がいかなる戦法で出るか読みづらい試合
これが初の対戦となるレベニロッソNCは、愛媛県新居浜市をホームタウンとする社会人チーム。1991年に新居浜商業高校サッカー部OBが中心となって創設された「新商(にいしょう)クラブ」を前身とし、2016年に四国リーグチャレンジチーム決定戦を勝ち抜いて昇格を果たすと、2020年に現在の名称へと変更。かつて新居浜の発展を支えた別子銅山にちなみ、フランス語で未来を意味する「ラヴェニール」とイタリア語で銅を意味する「オロロッソ」との造語が由来となっている。
現在は全8チームで戦う四国サッカーリーグの第14節までを終えて4位。上位2チームと下位2チームが離れている中、4チームで中位を競っている。天皇杯は、県予選準々決勝で聖カタリナ大学サッカー部、準決勝で松山大学体育会サッカー部、決勝で愛媛大学サッカー部と3試合連続で大学サッカー部を下して、愛媛県代表の座を勝ち取った。今回が本戦初出場ということもあり、ジャイアントキリングへの思いも強そうだ。
基本フォーメーションは4-4-2でロングボールを多用しセットプレーのチャンスを生かすスタイルのようだが、カテゴリーの異なる相手を一発勝負で上回りたい天皇杯となると、リーグ戦とは異なるメンバーで異なる戦法を採ってくる可能性もあり、その出方は非常に読みづらい。
トレーニングは自チームにフォーカス
その情報の少なさも、天皇杯ではしばしばディスアドバンテージになりがちだ。カテゴリー的に“格下”の相手だからこその難しさもある。5バック、6バック状態でガチガチにゴール前を固められ、攻略に手こずるうちにワンチャンスを決められてジャイキリされるケースも、決して珍しいものとは言えない。
そんな相手との対戦を前に、今週のチームは、相手を意識するのではなく自分たちのスタイルに磨きをかけることに励んだ。2日目には長崎戦で出た課題の修正のために、攻撃練習を徹底。どこでどのように数的優位を作り、どこでどのようにボールを受けて目的であるゴールへと繋げていくのかを、ミーティング後にグラウンドで実際にプレーしながら共有した。スペースがあるときと異なり、相手を押し込んだ状況での攻略は、より密な選手間の連係が必要となる。選手たちは片野坂知宏監督に授けられたアイデアをもとに対話を重ね、ビルドアップ時の意識を擦り合わせたようだ。
通常のリーグ戦前々日には対相手戦術の確認を行うが、今回は相手の陣形や守備の仕方などが予想しづらい中で、基礎練習とコンディション回復に集中した。「相手を甘く見ているというのではなく、どう出てくるかわからない相手にも柔軟に対応していけるよう、情報過多にならないようにした」というのが指揮官の意図だ。出場メンバーも前日まで伝えず、競争を促した。
そういった取り組みが、この1回戦に生きる展開となるかどうか。リーグ戦同様に隙なく堅守を維持しながら、好機を逃さず得点して2回戦へと駒を進めたい。
試合に向けての監督コメント
■片野坂知宏監督
相手はカテゴリー的に格下なので「勝ってあたりまえ」というマッチアップになるが、その「あたりまえ」をちゃんと出来る、そしてしっかり勝ち切ることが大事。出来るだけ早く先制することで選手も落ち着いてプレーできると思う。どういう点の取り方にしても点を取って勝つ。それをこういう相手に対して出来ないと、リーグ戦でも出来るわけがないと思うので、そのへんも思い切ってトライできるようにしたい。
相手を分析したとしてもリーグ戦や県予選の戦いとはまた違って本戦ではわれわれに対してメンバーや戦い方をどういうふうにしてくるかわからないので、あまり情報過多になってもいけない。相手どうこうではなく自分たちがしっかり戦うことでいいゲームが出来ると思う。メンタルを含めしっかりと集中し、90分で勝ち切りたい。勝ち切るゲームをしてリーグ戦に繋げていきたい。