前半戦ラストゲームはタフな3連戦の初戦。明確なスタイルの秋田を迎え撃つ

梅雨を迎えて一気に蒸し暑くなった。天候が不安定なグラウンドも高温多湿となり、息苦しさに見舞われる。選手たちの汗の量もどっと増えた。
　
今節をもってシーズンは折り返しを迎える。ここまで6勝8分4敗で勝点26を積んで10位。チーム始動時に目標としたプレーオフ圏内進出の目安である勝点50に照らし合わせると、決して悪いペースではない。ただ、その際に掲げた「50得点以上、40失点以下」に対して現在は18得点16失点と、得点数に関しては物足りなさがある。堅守をベースに堅実な戦いが出来ているとも言えるが、粘り強く守って勝点を得た試合がある反面、得点できずに取りこぼした勝点もあり、チームは今週も、攻撃戦術の浸透に多くの力を割いた。
　
前節の今治戦は相手の外国籍選手たちのパワーに押され、ボールを取っても意図的に前進することが出来ずにただ前へと蹴っては再び攻め込まれる繰り返しになってしまった。野嶽惇也はその点を強く反省し、「甲府戦で出来はじめていたことにチャレンジし続けることが大事」と引き締まった表情で話す。
　
今節は第15節・富山戦以来の4バックシステムの相手。状況によって可変する秋田に対し、柔軟にボールを動かしてゴールへと迫りたい。
　

吉田謙監督体制6シーズン目の秋田は、J3時代から積み上げてきた哲学が徹底され、長いボールを駆使した独特のスタイルでJ2をタフに戦ってきたが、今季はここまで5勝2分11敗の勝点17で17位と、現在は苦戦中だ。今季は失点が嵩み、18試合を終えてクリーンシートはわずか2試合と、昨季までの堅守が影を潜める。明快なスタイルが研究されはじめたことを受けて今季はそれをブラッシュアップしようとトライしているため、その副作用が表れているのかもしれない。
　
とはいえ第16節までで連敗を止め、第17節・熊本戦で7試合ぶりの勝利を収めると第18節・富山戦は2-2のドロー。小松蓮はここまで9得点でリーグ得点ランク首位タイ、空中戦勝率でもトップを誇っており、その数値が秋田のスタイルを象徴しているようだ。11日にはハワイアンズスタジアムで天皇杯2回戦・いわき戦に2-1で勝利し、佐川洸介が2得点を挙げて存在感を示した。そこから中3日で長距離移動して蒸し暑い大分の地へ。今節は村松航太が出場停止の中、どのようなメンバーで臨んでくるか。
　
強度の高い秋田のスタイルに対しては、まずは球際や切り替えで上回り、セカンドボールを自分たちのものにしてしっかり攻め切る力が問われる。おそらく湿度が上昇するクラサスドーム大分では消耗戦になると思われるが、今節から中2日で天皇杯2回戦・札幌戦、さらに中2日で次節・徳島戦と遠隔地でのアウェイゲームが続く3連戦。そのタフな日程を乗り切るために、またシーズン後半戦に抜けても、秋田に勝利して勢いをつけたい。
　

■片野坂知宏監督
　
秋田は小松くんにゴール前で自由を与えると危険になる。秋田戦はおそらく50:50のボールや中途半端なボールが多くなる中で、どっちに転ぶかわからないボールをいかにマイボールにできるか、相手にやらせないかといった際のところが大事になると思う。
　
秋田は天皇杯2回戦・いわき戦でも佐川くんが2得点して、秋田らしい戦いだったようだ。われわれも自分たちがやりたいことをできるようにしたい。やはり得点しないと勝てないので得点するためにボールをどう運んでいくかとかどこを狙っていくかとかにトライしていく。
　
■FW 29 宇津元伸弥
　
今治戦は後ろ重心になりすぎて僕自身も1本ぐらいしか前に行けなかった。あとは奪ったあとのカウンターが、1本2本と繋いでもそこでずれたりして相手ボールになってしまうので、僕たちもそれで怖くなって高い位置を取れなくなったのが反省点。
　
秋田はポケットに蹴ってセカンドボールを拾い、またサイドに展開してクロスという明確な攻撃を仕掛けてくる。秋田さんが蹴ったときのセカンドボールをどれだけ自分たちのポールにできるか。重心が低くなるとセカンドボールを拾えなくなってしまうので気をつけたい。ボールはある程度持てると思うが、攻撃のクオリティーを高めていかなくてはならない。