竹中監督初陣。新たな刺激を得て敵地でいわきに挑む

8月18日に片野坂知宏前監督からバトンを渡された竹中穣監督の、今節は初陣となる。新たな刺激を得たチームはどのような戦いぶりを見せるのか。
勝てていない状況を踏まえニュートラルに戻す
前節・甲府戦に敗れて16位へと順位を落としたことを受け、指揮官交代という苦渋の決断に踏み切ったクラブ。20日にスタートした竹中穣監督新体制が、前節から中5日のアウェイ連戦というタフな状況で初陣を迎える。
竹中監督は昨季からヘッドコーチとして前指揮官の右腕を務めており、選手やスタッフの特長はすでに把握している。これからは監督としてすべてを主導し責任を負う中で、チームの現状をこのように分析する。
「このチームはいままで、すごく振り幅強くフットボールをしてきました。そこは僕もこのチームにいたのでよく知っていて、それが必要だからやっていたということです。でも、それでいま、勝てていない現状がある。だったらもう一度、ニュートラルにちょっと戻そうと」
目指していたものがなかなか上手く行かなくなると、当初の青写真に徐々に歪みが生まれてくる。指揮官の交代はその格好のタイミングでもあり、新指揮官がヘッドコーチからの内部昇格でここまでの事情を熟知していることも強みにしていきたい状況だ。
竹中監督による「ニュートラルに戻す」とは、原理原則の再徹底を意味するようだ。選手起用を含めて戦い方も整理し、それにより選手間の距離を、本来あるべきものに戻す。新体制始動からの準備期間は短いが、だからこそチームが「ニュートラル」に立ち返ることに焦点を絞ることも出来るのかもしれない。
13位・いわきとの勝点差は「2」
いわきは現在、7勝9分10敗の勝点30で13位。大分は16位だが、6勝10分10敗で勝点28と、その勝点差はわずか2で、ここで大分が勝利すれば順位を転覆することが出来る。9戦白星なしと勝利に飢えている大分が、底力を発揮して這い上がっていくきっかけにしたい一戦だ。
好調を維持していたいわきだが、前節は山形に0-1で敗戦。ただ、強度の高いマンツーマンディフェンスと直線的に素早くゴールを目指す攻撃とで前への矢印を強く出す勢いあふれるスタイルは、時期を重ねるごとに完成度を高めている。決定力の課題はあるが、積極的にゴールを狙う姿勢は対戦相手にとって脅威的だ。
大分から期限付き移籍中で主力として活躍しているキム・ヒョンウは契約上出場できないため、2トップの顔ぶれは気になるところ。その最前線からスタートするアグレッシブなマンツーマンプレスを、いかにかわして前進するかも、新体制・大分の戦いの見どころだ。古巣戦となる有馬幸太郎の恩返し弾にも期待したい。
ここからの巻き返しのためにも、非常に大事な一戦。結果を出して自信を回復し、力強く浮上を目指していく。
試合に向けての監督・選手コメント
■竹中穣監督
短い準備期間であまり多くのことは出来ないが、対いわきということよりも、自分たちがどういう姿になれるかということにフォーカスした。選手はすごくポジティブに取り組んでくれている。みんなでいいものを作ったということを感じられたらいいなと思っている。
いわきはタフだし技術的にも高く、戦術的な部分も高水準で強いチーム。マンツーマンの守備も洗練されているので相当に厄介。ただ、これはいわきに限らずだが、サッカーの本質的な部分、個人のソロで負けないこととか、そこが大きなキーになると思う。
■MF 8 落合陸
僕自身、あんまり良くないことだとは思うが、プロに入ってからも監督交代の経験はあるので、そこに対して不安や動揺というのはない。ただ、とにかく本当に大分を勝利に導きたいという気持ちを強く持っている。竹中監督に代わってからも、しっかり自分の特長を把握してもらえていて、相手ありきのサッカーの中で、そういう戦術的なことも少し話した。
いわきは90分通して全員が走る、ベンチ含めて同じ色を描けている。それがここ数年のいわきの戦い方で、前から来るし、人に強く来る。新潟でも練習試合をしていて多く対戦しているので、僕的にはいろいろと頭に入っている。いろんなことをイメージしながら試合に向けてやっていきたい。