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今節の見どころ

中断期間を挟んで積み上げたものを、得点と勝点に結びつけに行く

 

竹中穣監督体制になって2戦を終えたあと、リーグは代表ウィークによる中断期間を挟んだ。その間にもチームは新体制での戦術浸透を進め、3戦目の今節、アウェイで藤枝に挑む。

 

チームの前進を勝点に結実させたい

竹中監督体制初陣の前々節・いわき戦は、ベースの強度で上回る相手に真っ向勝負を挑んでセットプレーで失点を重ね大敗という結果になったが、続く前節の磐田戦ではよくオーガナイズされた守備から攻撃へと切り替え、これまでの積み上げも生かしながらチームの前進が感じられる戦いぶりを見せた。ただ、チャンスビルディング回数は増え、その内容も向上してはいるものの、無得点で勝点1を積むに止まっており、さらなる攻撃面での改善が必要とされた。
 
磐田戦で最終ラインを統率しながら果敢な配球で攻撃参加した藤原優大が、その試合を最後に育成型期限付き移籍期間を終了して浦和へと帰還。その穴を埋めるようにクラブは早急に、三竿雄斗とともにパース・グローリーでプレーしたあとフリーになっていた岡本拓也を獲得した。湘南時代には3バックの右で積極的に攻め上がっていたイメージの岡本だが、中断期間に行ったトレーニングマッチ鳥栖戦ではほぼぶっつけ本番で3バックのセンターを務め、仲間の特徴を見極めながら指示。竹中監督も「彼の特性は右サイド」と認識しながらも、クレバーな岡本の統率力を高く評価した。今後、これまで3バックのセンターに配置されてきたペレイラや戸根一誓らとともに、誰をどうチョイスしていくかが興味深いポイントとなる。
 
磐田戦で加入後初先発した落合陸も、その試合ではあまり長所を出せずに終わったが、鳥栖とのトレーニングマッチでは周囲とのコンビネーションの成熟ぶりを披露。着々とフィットしている感触を、自他共に得ているようだ。
 

矢村復帰で勢いに乗りたい藤枝

藤枝は現在、8勝8分12敗で14位。13位の山形、15位の秋田とともに勝点32で並んでおり、17位の大分とは勝点3差だ。藤枝としてはまだ残留争い安全圏とは言えない立ち位置で、早く勝点を積んで足場を固め、さらなる上位を目指したいところ。大分にとっては今節の藤枝を終えると次節は19位・山口(勝点22)、さらに20位・愛媛(勝点17)と現在降格圏のチームとの対戦が続くため、ここで取りこぼさずに降格ラインから遠ざかりたいシチュエーションだ。
 
J3時代から藤枝を率い指揮5年目を迎えている須藤大輔監督がコツコツと積み上げてきた「超攻撃的エンターテイメントサッカー」のスタイルは完成度を高めながらバージョンアップを続けており、しっかりとボールを繋ぎながら素早くゴールに迫るアグレッシブさが持ち味。今季はそのスタイルに新たな要素として前線で起点となることを期待しディアマンカ・センゴールを獲得したが、チームスタイルと上手くフィットしなかったのか徐々に出場時間を減らすと夏には栃木SCへと期限付き移籍。入れ替わりで昨季まで2シーズン期限付き移籍で在籍した矢村健を新潟から完全移籍で獲得し、よりチームにフィットした即戦力の活躍に期待を懸けている。
 
ここ最近、須藤藤枝と片野坂大分との対戦では、巧みにボールを動かして前進してくる藤枝に対し5枚のブロックを構える大分が引っ掛けてカウンターを繰り出す展開が続いている。そのかたちを踏襲するならば、大分は今節も前節のようにオーガナイズされたミドルブロックから攻撃への転換を狙いたい。トレーニングマッチ鳥栖戦ではその攻撃面に課題が出ており、今節はその克服が求められる。
 
藤枝戦に向けての準備2日目となる10日は朝から雷雨に見舞われ、ほとんど何も出来ないままトレーニングを中断せざるを得なくなった。選手たちのコンディション調整や対藤枝戦術の落とし込みなど予定どおりに進まなかったであろう今週だが、そんなイレギュラーな事態も乗り越える懐の深さを見せ、万全の状態で敵地へと乗り込みたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■竹中穣監督
いま進めているのは、全体の積み上げを継続して完成度をより高めていく作業。あとはちょっとWBのボールを受けるタイミングについて話をした。中断期間のトレーニングはポジティブに進んでいると思う。
 
藤枝には藤枝のスタイルがはっきりある。そのスタイルとわれわれがいま積み重ねているものを噛み合わせたときにどうなるか。基本的な立ち位置は同じような感じだが、藤枝のほうが須藤さんが監督として長い期間をかけてチーム作りされてきているので、そのへんが熟しており、戦いは簡単ではないと思う。ただ、われわれもポジティブに選手が前に進んでくれているので、いい準備をして臨みたい。藤枝は中でゲーム作りをしながらランニングやクロスからの攻撃が特長的なチームなので、その特長を出させないようわれわれもオーガナイズすることが大事。攻撃時はわれわれが目指しているものと、実際にゲームの中で起こっているリアリティーを選手がどれくらい判断して対応していけるかがカギになる。
 
■MF 8 落合陸
磐田戦ではチームのひとりひとりが主張して、この試合を勝ちたいという思いが、しっかりピッチで伝わった。そのへんの部分では最低限の試合を出来たのではないか。もちろん、やらなくてはならないことは多い。カウンターの部分で迫力を持ってみんながスプリントして、最後に決めるところだけという部分まではしっかり表現できたのは、課題は残るがよかったのではないかと思っている。
 
僕としてはチームはいい方向に進んでいると思っている。ここで1点取るか取らないか、1点守るかどうかで本当に変わってくると感じる。練習の中でもやっぱ監督が、この状況を変えるには得点や勝利だと話しているので、僕たちがしっかり表現しなくてはいけないと思っている。勝つための準備を全力でやりたい。