最下位相手の難しいシチュエーション。やるべきことを確実に勝利を目指す

前節の山口戦に勝利して13試合ぶりの白星を挙げたチームは、今節も前節に続きホームで、今度は20位の愛媛を迎える。
前節の勝利にも緩まず臨みたい
前節の勝利により、J3降格圏との勝点差を8へと広げることが出来た。リーグ戦は残り8試合。今節勝利して勝点を36へと伸ばせれば、残留争いの緊迫感はかなり和らぐと考えられる。
選手たちは前節の勝利で幾分、肩の荷が下りた感もあるだろうが、それが逆に緩みを生まないよう、竹中穣監督は今週も注意深く手綱を握った。選手へのアプローチに関して「足し引き」していると表現する。前節が監督としての初白星だった指揮官自身が「どの試合でも変わらず勝利を目指す」と言い、伊佐耕平や岡本拓也、三竿雄斗、野嶽惇也ら経験豊富な選手たちも、「また緩むことのないようにしっかり引き締めたい」「勝った負けたといった結果で日々の取り組みが左右されてはいけない」「何も決まっておらず危機感を持ってやらないと」と表情を引き締めた。
今週は芝の養生の関係でグラウンドを移動。いつもとは異なる環境でのトレーニングになった。竹中監督体制では対相手戦術の割合が低く、ベース部分の強化・深化に多く力を注ぐ。「われわれの守備とわれわれの攻撃をぶつけ合って、そこに感性を合わせることであるとか中を覗くことであるといった個人戦術がもっと膨らめば」と、今週も自チームに矢印を向けての積み上げを進めた。
質の高い新戦力が躍動している愛媛
最下位の愛媛は現在2勝11分17敗の勝点17、目下10戦未勝利と苦しい状況にある。5月20日には石丸清隆監督から青野慎也監督へと体制をシフトしたが、思うように勝点を積めないままシーズン最終盤になだれ込み、J2残留のためにはもう後がないというところまで来てしまった。
とはいえ、試合を見れば決して悲壮感の漂う内容ではない。残留争いで生き残るために今夏には積極補強を敢行し、地元出身で2018年夏から2021年までプレーした藤本佳希と2014年に在籍した堀米勇輝を呼び戻したほか、前田椋介、杉森考起と実績豊富な実力派を獲得。彼らが早速、主力としてそれぞれのストロングポイントを発揮しており、石丸監督時代から積み上げてきたポゼッションスタイルを強化しながらゲームを支配する時間も増やしている。
ただ、勝点3に届かないことが最重要課題だ。前節も千葉のハイプレスに苦しみ、先制を許したあとは相手の堅守を崩せずに0-1で敗れた。J2残留圏との勝点16差を埋めるには、奇跡的な急ピッチで勝ち続けていくしかない。
そんな土俵際のチームが底力を出し、緩みの見える相手を上回る展開も、サッカーではしばしば見られるものだ。だからこそ今節は大分にとっても非常に重要な一戦となる。真摯に、そして堅実に勝利を目指し、掴むべきものを確実に掴み取りたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■竹中穣監督
愛媛は特徴的な戦い方をしてくるチームだが、ピッチ上は11対11なので、相手を理解しながら、自分たちの必要な距離感などを徹底するようにという話を、選手たちにした。
今日(24日)のトレーニングでは自分たちの繋がる部分、感性の濃度をより上げたいと考え、対愛媛のことよりも自分たちのことにフォーカスした。前節の山口戦は6ポイントマッチと言われたらそうなのだが、あまり気にせず勝点3を取ることに集中した。相手は関係なく、自分たちのポイントを積んでいくということだけを考えたときに、自分たちがどういう姿であるべきかというところがいちばん重要だということを、あらためて思っている。
■DF 2 岡本拓也
相手がどういう動かし方をするにしろ、自分たちの距離感がいちばん大事だと思っている。相手に合わせて自分たちが広がってしまったり人基準のポジションを取り出すと相手のペースになっていくと思うので、どんなときでも味方の息遣いが感じられる距離感が大事。相手が出てきたとしてもボールサイドを埋めるという作業は変わらないので、相手が可変したからどうこうというよりかは、可変した分そこに人数を合わせてスライドするという基本的なところが大事になる。
相手がいまどういう状況だとかは関係なく、当たり前のことを当たり前にやるというか、自分たちがやれることをやり続けるというのがいちばん大事だと思うし、こういう下位のチームと戦うのは難しいと思うが、やれることをやるだけ。あまり欲を出さず、自分たちに出来ることにフォーカスして、最終的に勝てればと思う。