残留争い中のダービー。定まってきたスタイルで熊本に挑む

16位・熊本と17位・大分。今季ラストの九州ダービーはともに残留争い中というシチュエーションで迎えることになった。絶対に譲れない戦いだ。
戦い方が定まってきた感触を得ながら
ともに勝点35の得失点差-12で並んで、熊本は16位、大分は17位。リーグ戦残り5試合にして、J3降格圏である18位の富山と勝点8差で迎える今季ラストの九州ダービーだ。
前々節の秋田戦、前節の仙台戦とスコアレスドローが続き、得点力不足の課題はいまだ継続中だが、スタイルの異なる相手と対戦したこの2試合で、ここに来てようやくではあるが、ぐっと今季の戦い方が定まってきた感触がある。
5-4-1のブロックを構えたところから、奪って攻め返すスタイル。今季スタートからその構築を目指してきた中で、ずっと課題として抱えてきた守備の連動に改善が見えた。特に前節の仙台戦では、これまでの大分の弱点を狙っていた相手に隙を与えることなく対応。岡本拓也を中心とした組織的守備が、徐々に完成度を高めてきたようだ。
熊本戦は好感触の真価を確かめる機会
攻撃面に関しても、守備の改善からいいサイクルが生まれている。岡本のラインコントロールに加え、中盤の選手たちが運動量豊富に判断よく動くことで布陣がコンパクトに保たれ、連係して複数の選択肢を作りながら攻めることが出来るようになってきた。
そんな矢先に今節から2試合、1トップで起点を務めてきたグレイソンが出場停止で不在。代わりにここまでもコンスタントに出場を続けてきた伊佐耕平が入るのか、あるいは調子を上げてきた鮎川峻や屋敷優成、有働夢叶ら若い力が台頭してくるか。グレイソンとは異なるタイプのFWを周囲がどう生かすかも見どころのひとつとなる。
中断期間を境にシステムを変えて戦っている熊本だが、大木武監督のサッカー哲学の根本は変わらない。巧みにショートパスを繋いで崩してくる熊本との対戦は、まさに改善してきた守備の真価が問われる時。アラートさを維持して繋がり続けることが肝要だ。逆に熊本のマンツーマンディフェンスに対しては、ときには1人で、またときにはグループで剥がしていきたい。互いのスタイルがぶつかり合えば、見てもプレーしても楽しいゲームになりそうだ。J2残留を懸けて勝点を奪取するために、これが自分たちの戦い方だというものを、存分にピッチに描き出したい。
試合に向けての監督・選手コメント
■竹中穣監督
熊本はちょっと特殊なチームなので、少しではあるが、特殊なものにどう自分たちが態勢を持っていくかということ、またそれを上回る局面であるとかゲームであるとかを確認した。自分たちがいかに繋がりをなくさずに戦えるかが大事。
大分のサポーターはダービーに限らずいつも熱い。その熱さを現地まで届けてくれる。僕はまだ大分で2年目なのだが、本当に素晴らしく期待され愛されているクラブだと感じる。この歴史を踏まえて大分がJ2で、そしてまた這い上がって上のリーグでプレーできるように、いま出来ることを精一杯やって、勝つ試合を届けたい。
■MF 25 榊原彗悟
前節は途中から1人少なくなってしまったが、1試合通してみればしっかりと我慢強く戦えたことはよかったと思う。チャンスもあった中で仕留めきれなかったのは引き続き課題。勝ちきれるようなチームにならないといけない。チャンスの数は少しずつ増えてきているが、そこで決めきれないと意味がない。それは今年1年を通しての課題なので、しっかりと取り組んでいかなくてはならない。
熊本とはお互いが残留争いをしている中で、いつもとは違うような硬いゲームになるかもしれないが、よりアグレッシブに戦いたい。熊本もボールを持ちたいチームだと思うので、自分たちはその良さを消しつつ、引っ掛けてカウンターを狙うところなどでしっかりと取り切れれば、自分たちの試合にできると思う。


