まずはシンプルに勝利を目指せば、そのさきにひとつの目標達成が見えてくる

前節の勝利で降格圏との勝点差を9に伸ばし、J2残留確定まであと一歩というところまで来た。勝利すれば他会場の結果次第では今節にも決まるシチュエーションだ。そんな状況で迎えるのは…。
若干名の先発変更がある可能性
我慢強く実直に戦いのベースを整えてきたチームは、シーズン最終盤に差し掛かって戦い方が定まり、徐々に最適解に近づきながら手応えを感じはじめている。第30節の山口戦で竹中監督体制初の白星にして13試合ぶりの勝利を挙げたものの、続く第31節・愛媛戦では最下位の相手に0-3で敗れるなど不安定な要素も残していたが、第32節の秋田戦以降はそれぞれスタイルの異なる相手に対しても同様のベースで戦えている。
特に岡本拓也のオーガナイズを中心に、中盤の選手たちの運動量とバランス感覚、両WBやGKの経験値などがそのベースを支えているが、今節は前節に続いてグレイソンが出場停止であるのに加え、前節、脳震盪疑いで途中交代した榊原彗悟と足を痛めたペレイラの出場可否が気になるところだ。メンバーや配置が代わっても、いま定まってきたチームとしての戦いを継続できるかどうかが問われることになる。前節、途中出場して得点機を築いた鮎川峻や有働夢叶らにも期待が集まる。
前節、熊本に勝利したことで降格圏である18位・山口との勝点差は9へと開いた。リーグ戦は残り4試合。今節大分が勝利し山口が熊本との直接対決に引き分け以下、あるいは大分が引き分け以上で山口が敗れれば、大分のJ2残留が確定することになる。
早くも消化試合に突入している山形
そんなシチュエーションで乗り込んでくる山形は、前節の大宮戦で引き分け、J2残留が確定したと同時にJ1昇格の可能性も断たれた。いわゆる消化試合となった残る4節をどのようなモチベーションで戦うかが問われる立ち位置にある。
今季ようやく軌道に乗りはじめた手応えを全力でぶつけたい大分だが、実は山形に最後に勝利したのは2014年5月。その後は12回対戦して5分7敗という戦績で、2022年5月にペレイラが得点して以来、無得点継続中。日程の問題などさまざまな要因が絡んでの結果でもあるが、0-3を3回、0-5を1回と大敗も多く、なんとも渋い相性となっている。だからこそ、チームが上昇気流に乗りつつある今節は、その流れを断ち切りたいところ。今季残りのホームゲームである今節・山形戦と次々節・千葉戦を好結果で終え、苦しかった今季を上向きで締めくくりたい。
ポテンシャルの高いアタッカー陣が並ぶ山形だが、大分の生え抜き國分伸太郎は累積警告により出場停止。野嶽惇也の弟・野嶽寛也とは昨季J2第5節・鹿児島戦以来の兄弟対決が実現しそうなので、兄には貫禄を示してもらいたい。順位をひとつでも上げるためにも、最終節までいい流れを生み出し続けていく。
試合に向けての監督・選手コメント
■竹中穣監督
山形はディサロ、中村亮太朗、土居聖真の中心ラインが攻撃を担っていて、氣田亮真くんがインサイドに入ってきたり仕掛けたりと多彩なので、前線の選手たちには当然気をつけながら、われわれがなくしてはいけないものは変わらずに選手たちに実行してもらう。
(山形戦でだけ大敗の試合が多いのは)結局、ピッチに立っている時のメンタリティーなのかなと。ボールを扱うことをどれだけ怖がらずにやれるか。相手選手たちが自信を持ってボールを扱い、少しずつ相手にゲームの波が傾いていくと、ホーム富山戦やアウェイ甲府戦もそうだったが、大分の選手たちが急にサッカーを怖がってしまうような姿が見受けられてきた。そういう部分が山形との前回対戦の0-3という数字にも繋がったのかと思う。そういうものを改善するためにボールゲームという言葉を使ったり、ミニゲーム、スモールコートのゲームを多く取り入れたりしてきたので、そういったところの変化を見たい。楽しみにしている。
■MF 18 野嶽惇也
ある程度チームとしての戦い方が定まってきた中でタクさん(岡本拓也)と自分とで真ん中をちゃんと締めることが自分の役割の一つ。それを出来ていれば相手にカウンターを食らうこともないしボールもある程度は持てる絵が見えてくる。そういうところ真ん中にいることを意識している。
山形は個々がしっかりしていて特にアタッカーには1人で打開できる選手がいるので、そこを管理したい。それを怠らずにやれば、向こうも攻撃が得意なチームだからこそ自分たちもカウンターが出せると思うので、ここ数試合で出来ていることを愚直にやり続けるのが大事だと思っている。マッチアップする土居聖真は違いが出せるというか、そこに出してくるのかというプレーが出来る選手だと思うので、抜かりなく時間を与えないようにしたい。


