今季ラストのホームで求めるのは勝利。自らJ2残留を掴み取れ

苦しかったシーズンも残り2試合。J2残留を確定できないまま臨むことになったホーム最終戦で、目指すのは勝利のみだ。
自力で残留を掴み取るチャンスが残る
いよいよ大詰めの今季J2。残り2試合というところまで来たが、昇格争いも残留争いもいまだ決着を見ず、緊迫した混戦模様が続いている。チームは代表ウィークによる中断期間に、ここ最近で失点が増えているセットプレーの守備にテコ入れし、引き続き攻撃面での連係を高めた。
ここまで8勝14分14敗の勝点38で16位。J3降格圏である18位・山口とは勝点6差で、崖っぷちの17位・熊本とは勝点3差となっている。なかなか積み上げの出来なかったシーズンながら最終盤にさしかかってようやく戦い方の定まった感があり、第30節には山口、第34節には熊本との残留争い直接対決に勝利。やや余裕を得て、ここからひとつでも順位を上げていこうと士気を高めたのだが、前々節・山形戦と前節・札幌戦で痛恨の連敗。1節でも早く残留を勝ち取るチャンスを、自滅により逃してしまった。
だが、残留への意地を見せて3戦無敗かつ2連勝と勢いを増していた山口が、前節の磐田戦では土壇場で敗戦。J1昇格プレーオフ圏を目指してデッドヒート中の磐田が85分のオウンゴールと90+6分の劇的逆転弾で勝点3を奪い、結果的にはそれが熊本、大分、藤枝へのナイスアシストとなった。
前節の結果により藤枝と大分は残り2試合で最低でも勝点1を積めばJ2残留確定に。藤枝が鳥栖と山形に、大分が千葉と水戸に連敗し、山口がいわきと大宮に連勝すると勝点が並ぶことになるが、藤枝は得失点差で山口に水をあけており、ギリギリ残留圏だ。大分は現時点で得失点差で山口を下回っているため、大逆転降格の可能性が残る。
昇格争いラストスパート中の千葉は手強い
そんなヒリヒリした状況で迎えるのは、昇格争いラストスパート中の4位・千葉だ。3位・大宮とともに勝点3差で自動昇格圏を追っており、今節は勝点1差で優勝争い中の首位・水戸と2位・長崎とが直接対決ということもあり、なんとしても勝点3を積んで2位に肉薄したいところ。大宮は勝点2差の5位・徳島との直接対決で、千葉は不調の大分との対戦。どのチームもそれぞれに勝たなくてはならない切実な事情を抱える。
サイドアタッカーを中心にタレントが居並ぶ千葉がフルスロットルで勝ちに来れば間違いなく強敵だ。特に今季の大分は、個人の駆け引きで上回られると組織でカバーできずに崩れてしまう試合が多かった。さらに今節はデルランの出場停止に加え、コンディション面の関係で複数名の戦力が入れ替わる可能性もあり、連係への影響が気掛かりだ。難しい試合になることが予想される。
自力で残留を決めるには最低限、勝点1でもOK。だが、それでいいのか、苦しんだ今季の最後までこのままでいいのか。そういう思いをチームは強く抱いている。思うように戦績の上がらない中でも応援・支援し続けてくれた人たちへの感謝をホーム最終戦での勝利というかたちで体現したい。
練習後、どの選手も勝利を目指すと誓った。竹中穣監督ももちろんそうだが、試合展開によっては、指揮官として勝点1を死守する判断を下す必要が出てくるかもしれない。前節の藤枝は千葉を相手に、これまで貫いてきた「超攻撃的エンターテイメントサッカー」を封印して、J2残留のために自陣を固めると勝点1を確保した。必勝を期す千葉との心理的駆け引きもあいまって、試合の流れを読みながら、今節のクラサスドーム大分にはどのような構図が描き出されるか。
試合に向けての監督・選手コメント
■竹中穣監督
千葉は昇格争いをしていて、個々の能力や強度がいまは最大値のチームパフォーマンスになっていると思っている。そういう相手に対しても引かずに戦いたい。千葉は当然勝たなければいけないという状況だが、僕らも勝たなければいけない。
今季ドームでプレーするのは最後。今年はカタさんから私に代わるという、クラブとしては大きな出来事があった。それでもやはり、シーズンが始まった時から多くの方にご支援、サポートいただいた。その感謝をプレーで表現する、そういう90分にしたいと思っている。本当にビッグマッチだということを選手たちとも話をしたが、そのビッグマッチにふさわしい、熱のこもったゲームをしたい。まずは千葉に勝つことだけを考えている。
■DF 2 岡本拓也
中断期間はいい練習が出来た。前節・札幌戦の敗戦からみんなが各々で何が足りないかを考えてやれていると思う。(今節はデルランが出場停止でメンツが変わるが)それぞれの良さがあると思うし、距離感や感覚をすり合わせていきたい。千葉は攻守の切り替えも早く技術の高い選手がいるので、自由にやらせてしまう時間が増えるとしんどくなる。いかに規制をかけながらやっていけるかが大事。
相手のテンポではなく自分たちのテンポでプレーすることが勝利へのカギ。相手が速い展開を望んでいるのなら自分たちはペースを落としたり、逆に相手がスローペースのときにはそれにつきあわずに自分たちからテンポを上げていくといったことが大事だと思う。相手を見てプレーできる選手が多いので、ピッチの中で都度都度で最適解を考えながらやっていきたい。


