優勝争い中の水戸に、敵地で挑む。今季ラストゲームで得るものは

J2残留を決めて臨む今季のラストゲームはアウェイ。相手はクラブ初のJ2優勝・J1昇格を懸けて最終決戦に挑む水戸だ。
竹中トリニータのラストゲーム
前節の千葉戦には0-1で敗れたものの、18位・山口がいわき戦で勝点1を積むにとどまったため、大分のJ2残留が確定した。最後は他チームに助けられる結果にもなったが、苦しみながら少しずつでも積み上げてきた勝点が、最低限の目標へと届いた。
25日には第27節からチームを率いた竹中穣監督の、今季かぎりでの退任が発表に。吉岡宗重SDの胸中では、今季の戦績次第では続投という選択肢もあったようだが、新人指揮官が誠実かつ丁寧に立て直しに努める中でも劇的に戦績を上向けるには至らず、この決断に至ったということだった。
竹中監督も「大きな変化を生めなかった。結果もそうだし内容的にも変化を生み出せなかったのは、わたしの力が至らなかったと率直に思っている」とその評価を受け入れる。
「今週もいままでと変わらない熱をもって最終節に向けてのトレーニングに集中してくれている」と吉岡SD。その言葉どおりチームは、ミーティングでは前節の修正点を共有し、それをグラウンドで確認して、最後まで積み上げる姿勢を貫いた。
幸之介は出停、新太は復帰へ。古巣組がもたらす影響
残留が決まったことでほっとした思いもありながら、優勝・昇格争い大詰めの水戸に、アウェイでどう挑むか。約800人の大分サポーターの来場も見込まれているが、おそらくケーズデンキスタジアム水戸はクラブ初のJ1昇格を見届けようとする熱気で、これまでにない雰囲気が予想される。
今季はずっと好調を維持してきた水戸だが、前節、2位・長崎との直接対決に敗れ2連敗となって、首位の座を明け渡した。だが、長崎との勝点差は2なので、今節、水戸が大分を下せば、長崎がアウェイで徳島に敗れた場合、水戸が再逆転優勝。長崎が引き分けなら現在19で並んでいる得失点差の勝負となる。徳島も自動昇格の可能性を残してラストスパートの勢いを増しているだけに、長崎も油断は出来ない。さらには前節、大分から勝点3を奪った3位・千葉も2位の水戸に勝点1差で肉迫しており、追撃を振り切って自動昇格を決めるためにも、今節の水戸は絶対勝利しか見ていないはずだ。
そんな最終節に、ここまで水戸の攻撃を支えてきた守護神・西川幸之介が前節の退場により出場停止。おそらく松原修平がゴールマウスを守ると思われるが、その交代が水戸の戦術にどのように影響するか。さらには第20節・いわき戦で右膝内側側副靱帯を損傷していた渡邉新太が、この最終節で戦線復帰予定。昨季キャプテンを務めた古巣を相手に、並々ならぬ思いをぶつけてくるに違いない。
現在3連敗中の大分としては、4連敗フィニッシュは避けたいところ。目の前で他クラブの優勝や昇格を見せつけられる屈辱も味わいたくない。複数の負傷者も出て決して万全とは言えないチーム状態ではあるが、どのようにラストゲームを戦い、何を得て今季を終えるか。
選手やスタッフにとっても複雑な思いが交錯する時期、いわゆる消化試合とも解釈できる最終節に向けて、心をひとつにして戦うには何が必要なのか。それを訊ねると竹中監督は言った。
「それは正直、僕の試合前の何か言葉とかいったものが作るのではなく、これまでの時間がもたらすものだというふうに思っています。そこが出るかどうか。出るように、僕が選手たちと時間を過ごしてきたか。それがゲームの中で表れるのかなと思います」
試合に向けての監督・スタッフ・選手コメント
■竹中穣監督
もう最後の1試合なので、今季やってきたものを選手が迷いなく出せる状況だけを作る。相手の状況的にもなかなか難しい雰囲気になると思うので、あとは選手が直感力が出るように。準備してきたものや、相手のことを分析して準備するものも重要ではあるものの、それを引き出せないぐらいのメンタリティーになってしまう空気感になることも予想される。ではあとは何を信じるのかと言ったら、自軍の選手が直感力を信じたり、自分のスキルを信じること。もう本当に最後は、理屈と理屈ではない部分だと思うので、それが出るようにと準備した。
水戸戦でもわれわれの戦い方の大枠は変わらない。水戸が非常によく整理されているチームだという理解はしている。そんな相手に合わせるというか、それがそもそもわれわれの今季のやり方だったので、それを継続しながら、フェーズをより明確にしてピッチの11人が共有できるよう整理してゲームに向かいたい。
■馬場賢治コーチ
(初昇格を目前にした古巣との最終節になったが)経験上、相手がどこであろうとも目の前で昇格や優勝は見たくない。水戸の昇格に対する思いやいままでの歩みは自分なりに理解しているつもりだし、森監督とも一緒にやっていて、本間幸司さんもいる。僕としても古巣を大事にしてきた中で、水戸への思いもあるので、やっと掴めそうなところを僕らが阻止する可能性があるということが、すごく苦しい。でも、僕らにとっても、いま僕らが置かれているクラブの現状、今節の結果は今後のわれわれにとって大きく影響すると思うので、やはり勝たなくてはならない。
この難しいシチュエーションを僕も重々理解して、僕なりにいろいろ考えた結果、やはり自分たちが目の前の試合に勝つ。プラス、相手が喜んでいる姿はそれがどこであろうと見たくないという境地に、僕の中では至っているつもり。それに、タケさんを勝たせたい。コーチとして一緒に仕事したからには監督を勝たせたい。タケさんにはもっといい状態で指揮を執らせてあげたかったと思っているので、最後に勝つためにサポートする。
■DF 27 松尾勇佑
水戸はずっと西川が出ていた中で、交代で出る選手にとっては昇格が懸かった試合でいきなりスタメンというのも難しいシチュエーションなので、そこはひとつチャンスになるかと思う。でも(渡邉)新太くんが復帰しそうだし、齋藤俊輔くんも脅威。そういうところをいかに抑えるかがカギになる。
今節はタケさんもラストだし、チームとしてもラストゲーム。自分も今季は全く出ていなかった中で、最後なのだが、そういう思いを前面に出し、勝ってみんなで笑顔で終わりたい。


