宮崎の攻撃力を削りつつ負けじとゴールに迫れ。組織力が問われる一戦

開幕5連勝と好調の宮崎。それを支えているのは13得点の攻撃力だ。5得点でリーグ得点ランク首位に並ぶ土信田悠生を頂点に、人数をかけ迫力をもって攻めてくる。こちらも負けるわけにはいかない。
土信田を軸にバリエーション増殖中の宮崎
いよいよ公式戦での初対戦。昨季プレーオフを制してJ2昇格を果たした宮崎と、一足早くJ2・J3百年構想リーグでのマッチアップとなった。
昨季25得点を挙げてチームのJ2昇格を支えた橋本啓吾が右脛骨骨折により離脱したものの、昨季J3金沢で12得点の土信田悠生を獲得すると、その土信田がここまで5得点。昇格の勢いそのままにグループ首位を独走している。開幕の鹿児島戦で1得点、第2節・鳥取戦で2得点。第3節の鳥栖戦と第4節の琉球戦では土信田自身の得点はなかったが、前節の北九州戦では再び2ゴールをものにしている。
チームはここまで3試合で3得点、2試合で2得点と全試合で複数得点。クロスに合わせるのが得意かつ地上戦でも隙あらば強烈なシュートを放つ土信田の個のポテンシャルももちろんだが、それを存分に引き出す組織力という前提も脅威的だ。土信田の周辺にはトップ下のゲームメーカー・奥村晃司をはじめ左SHの井上怜、右の阿野真拓。左右いずれでもプレーできる坂井駿也もいる。2得点を挙げているボランチの渡邉英祐も含め、前への志向を強く打ち出して分厚い攻撃を仕掛けてくる。
何より厄介なのは、前々節の琉球戦では途中から、そして前節の北九州戦ではスタートから、武颯と土信田の2トップというオプションが増やされたことだ。その際には奥村が左SHに入り、前節は63分に武と井上が交代して4-4-2から4-2-3-1へと陣形と戦法を変化させた。今後も2トップと1トップを使い分けて行きたいと、試合後に大熊裕司監督も明言している。
エースキラー不在のなか、攻撃機会を得るには
ターゲットが2枚になり、武が土信田の周りを動き回ることで、より高い位置で起点を作れるようになった宮崎。そんな宮崎との対戦で、大分には大きな懸念点がある。ここまで3バックのセンターで対人守備の強度を生かしてグループ最少失点を牽引してきたペレイラが、今節は累積警告で出場停止。空中戦勝利数リーグ首位のエースキラーの不在が、どのように影響するかが気がかりだ。
ペレイラの代わりを誰が務めるかを含め、3バックの人選と並びは、複数の可能性が考えられる。ここまで多く出場しているのは、昨季、夏に加入して3バックの中央で組織をまとめJ2残留に貢献した岡本拓也、左右どちらでもプレーできる戸根一誓、高精度のキックで左からの攻撃やセットプレーで威力を発揮する三竿雄斗の3人だが、最初の2試合に左CBで先発した宮川歩己も、本職は中央だ。クレバーで統率力を持つ大卒2年目の宮川は、「急成長中」と四方田修平監督も期待を寄せる逸材。足りないのは経験値だけというところで、今節にも抜擢があるかもしれない。さらに、今季の大卒ルーキーの坂田陸も控える。183cm86kg、駒澤大学の勇猛なサッカーで磨いた対人守備は高強度だ。昨季期限付き移籍した富山新庄クラブの北信越リーグ1部初優勝など躍進を支えた小野俊輔もいる。組織の一体感がいつも以上に求められる今節において、不動のセンターと目されていたペレイラの想定以上に早い欠場を、誰がどのように埋めてチャンスを掴むか。5試合中4試合でクリーンシートの守護神ムン・キョンゴンの活躍も合わせ、今節の大きな見どころのひとつになる。
そんな組織的な守備から切り替え、宮崎の勢いをいかにいなしてゴールに迫るかという攻撃面も、重要なポイントだ。左SBの下川陽太の攻撃参加も宮崎の特色で、今季も積極的にクロスを送って3アシストをマークしているが、そこでマッチアップする大分の右サイドには、守備と同時に攻撃でも期待したい。前々節の熊本戦で後半から出場して負傷から復帰した𠮷田真那斗が前節は復調してダイナミックさを取り戻し、チーム最多の3本のシュートを放っていることは好材料だ。𠮷田の復帰前に出場を続けていた松尾勇佑も好調を維持しており、こちらは周囲と絡んだ細やかな攻撃で魅せるタイプ。
グループ最多得点の宮崎と、最少失点の大分ということで、矛と盾との構図で見られる向きもあるが、「堅守のチームを目指しているわけではないので」と指揮官はあくまでも得点にこだわる。とはいえ今節は特に、攻撃に繋げるための守備が重要。ときに我慢強く、意思統一して守り、攻めたい。
試合に向けての監督・選手コメント
■四方田修平監督
宮崎は非常にアグレッシブ。鹿児島同様にプレッシングの強度が高く、そこからショートカウンターでチャンスを作り出す回数も多い。クロスから得点に繋げている場面が多いチーム。いま非常に勢いがあって首位。そんな相手に対して自分たちがどう戦えるのかは楽しみにしているところでもあるし、勝つために全力を尽くしたい。
守備ではシンプルにサイドの攻防で負けないこと。どのくらい厳しく寄せられるかで相手のクロスの質も変わってくる。そこは自分たちがやれること。土信田選手も武選手もクロスに対してパワーがあり、いいポジションから入ってくるので、最後まで体をぶつけていくしかない。4試合がクリーンシートという結果は悪くはないが、そこを求めているわけではないので、そこからどう攻撃に繋げていくかというところ。宮崎は多彩な攻め手を持っているので、相手のいろいろな選択肢を消しながらハメていく組織的な守備が大事になってくる。それが出来なければ逆に相手の前線のパワーや両サイドの機動力が全て生きることになってしまうので、しっかりとチームで共有した守備を遂行し、逆にそこからチャンスを作っていきたい。
■GK 22 ムン・キョンゴン
宮崎はクロスからの得点が多いので、しっかり準備しなくてはならない。相手が2トップで来れば3人で2トップを見る形になると思うが、WGも入ってきたりして3人4人と絡んでくるので、逆に3人が4人を見なくてはならない状況も出てくる。しっかりスライドさせてカバーできるようにしておかなくてはならない。
今節はペレイラが出場停止でいないが、他のCBたちとも普段からコミュニケーションを取っているので、試合でも声を掛け合いながらカバーしあっていきたい。土信田選手は特にクロスの入り方や、嫌なところに入ってきたり、マークを外したりと動くのが上手い。自分も絶えずチェックしながら周囲に指示を出したい。
クリーンシートの試合が多くはなっているが、その試合の中でも大きなピンチや危ないシーンがたくさんあり、それがたまたま失点につながってないだけだと思っている。みんながそういうところを修正しなくてはならないと、みんなで意識を高めている。失点の要因は本当にちょっとしたところ。細かいところでも相手のレベルが上がると失点につながる。宮崎戦こそアラートにしておきたい。


