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試合レポート

立ち上がりは狙いを表現するも、徐々に地力の差で圧され王者の前に屈する

 

台風の影響で非常に蒸し暑かった、明治安田J1第20節A川崎F戦。チームは立ち上がりから準備してきたものを表現したが、次第にJリーグ王者との地力の差が見えはじめ、最終的に1-3で敗れた。

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初出場の田中達也が何度も見せ場を作る

 
立ち上がりは上々だった。川崎Fが前節のFC東京戦のように前から奪いにくることを想定して2週間準備したとおりに、上手く相手のプレスを剥がしながらボールを運び、幾度となくゴールに迫った。
 
特に左WBで先発した新加入の田中達也は、得意とする個での突破から好機を量産。左CB三竿雄斗との連係もよく、クロスやシュートで相手ゴールを脅かした。だが、5分のミドルシュートはサイドネット。25分には持ち上がった松本怜のクロスが流れたところから田中達也のシュート。これはチョン・ソンリョンの好セーブに阻まれた。
 
川崎Fにも攻め込まれ、ピンチも何度もあったのだが、相手の精度不足や高木駿のビッグセーブに助けられ、ポストが弾いてくれるというラッキーにも救われた。7分、右WBウラを突かれた阿部浩之のシュートはサイドネット。10分にはゴール前でこぼれ球を拾った小林悠に鋭いシュートを放たれたがポストが弾いてくれた。
 
転機となったのは25分すぎの給水タイム。ハイプレスをかわされる川崎Fは守備のやり方を話し合って変更し、矛を収めてブロックを組んだ。以後、大分はそれまでのようにチャンスを作れなくなる。
 
37分には小林の反転シュートを高木が右手で掻き出してなんとかしのぐ。前半アディショナルタイムにはゴール前から中村のFKというピンチ。これは駆け引きの末に、高木がさわってクロスバーに当て難を逃れた。
 

力量差による疲弊が組織を蝕んでいった

 
前半を0-0で折り返したことは大きかったが、攻守に粘り強く戦っていたチームは、徐々に疲弊していく。まず、トップ下に入った中村をケアしながらその周辺でボールを受けては献身的に攻めていた前田凌佑に疲労が見えはじめた。ポジショニングと技術に長けた経験豊富なファンタジスタとのマッチアップはハードだ。台風6号の影響による息苦しいまでの蒸し暑さも、敵地で戦う選手たちに重くのしかかった。
 
相手とのクオリティーの差が、じわじわと疲労度の差へとつながっていく。パスやトラップの精度や判断の良さにより、よりイメージどおり動ける川崎Fのほうが、圧倒的に疲労度は少ない。相手の攻撃時間を削るためにポゼッション率を高めようとする大分は、それを遂行するために相手以上の労力を強いられた。
 
51分、下田北斗の縦パスを齋藤学に決められて失点。中盤でボールを動かされ、数的優位を作られて対応が後手に回り、見事に崩された。
 
失点前から準備していた藤本憲明が52分、小手川宏基に代わってピッチに入る。藤本が頂点に入り、オナイウ阿道がシャドーにスライドした。54分、早速その藤本がひと仕事を遂げる。長谷川雄志からのフィードを相手の背後に抜け出して収め、最も深いところまで持ち上がって時間を作るとマイナスの折り返し。走り込んできたオナイウがジェジエウより一瞬早く到達して右足を振り抜き、同点弾を奪った。
 

攻撃的フォーメーションで追撃したが…

 
60分には小林のシュートをまたも高木がストップ。だが、直後にオナイウの前田へのパスがずれたところを中村に拾われて小林に送られる。エリア内で見事な切り返しを披露した小林に振り切られ、62分、再びリードを許した。一瞬の隙を許してくれない川崎Fの王者たるところを見せつけられた場面だった。
 
66分、川崎Fは田中碧を守田英正に交代。同時に大分も中盤をリフレッシュ。前田に代えてティティパンを左シャドーに入れ、小塚和季をボランチに下げて、擬似4バックの攻撃的な立ち位置を取って追撃態勢に入った。
 
川崎Fは72分、小林に代えてレアンドロ・ダミアン。大分は77分、長谷川に代えて星雄次を投入し、ティティパンをボランチに下げ星を左シャドーに配置する。いつものWBより一列中のゾーンで、星は運動量豊富に動き、攻撃時には5トップ状態で好機を狙った。81分、川崎Fは中村を家長昭博に交代。
 
その中で85分、チョン・ソンリョンからのロングキックをレアンドロ・ダミアンに収められ、そこからのパスを受けた阿部に3点目を奪われる。守備の枚数はいたのだが、疲弊していた組織は強力な2人にやられてしまった。
 
川崎Fは落ち着いて試合を運び、そのまま勝利。地力の差を見せつけられる、悔しい敗戦となった。
 
狙いがハマってもそこからの相手の変化に対応できなかったり、狙いを遂行するための負荷に90分間耐えきれなかったりという課題が浮き彫りになった一戦。片野坂知宏監督は試合後、「決して選手が戦っていないわけではないと思う。選手の持っているものを出してやってくれた。ただ、われわれとしての、もう少し戦えた部分が、90分を通して最後まで出来なかったことが、やはりこの差になったのかなと感じる」と無念さを滲ませた。
 
古巣の力を身をもって知る高木は「今日に関しては体力的な問題も大きかったと思うし、ブロックを組んでいてもこれだけ守備で動かされることはそうそうない。うちはしっかりブロックを作って間を狭めているのだが、それでも縦パスを入れてくるので、中に外にと追わなくてはならない。多分、他のチームとの対戦の倍は疲労したと思う」と自分たちの力不足を認めつつ、「また来季も等々力に戻ってこれるよう、次にフロンターレと戦うときのことを考えながら、しっかり頑張りたい」と、ここからの成長を誓った。
 

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