終始圧倒して勝ち上がることは出来たが未熟さも。課題克服への道は続く

3つ下のカテゴリーにあたる地域リーグ所属チームとの真っ向勝負。ほとんどの時間帯でボールを握って相手の築く牙城を攻略し2-0で勝利したが、試合後、指揮官の表情は厳しかった。
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人数をかけてゴールを守るレベニロッソ
リーグ戦の間に1週間間隔で挟まれた日程ということもあり、この試合にもチームはリーグ戦の主力をベースとしたメンバーで臨んだ。リーグ前節・長崎戦で負傷した𠮷田真那斗と榊原彗悟が外れ、負傷から復帰した茂平と中川寛斗が入ったほか、長崎戦で途中出場した藤原優大が3バックのセンターで先発し、ペレイラがベンチスタートとなる。
まずは情報の少ないレベニロッソがどのように試合に入るかが注目された。立ち上がりは4-4-2の並びだったが、間もなく中盤3枚のような様相へと変化した。試合後に源代真民監督に確認すると、まずは前から守備に行く姿勢を見せるために4-4-2で入ることを、レベニロッソでは徹底しているようだ。その後は相手の状況やパワーバランス、展開によって普段からさまざまに変化させているそうで、この試合では4-1-4-1の形を取ろうとしたのだが、大分のシャドーに押されて3ボランチのような立ち位置になってしまったという。
前から奪いに行っても剥がされるため、とにかくゴール前に人数をかけて守るレベニロッソ。アンカーの越智大樹が最終ラインに吸収されて5バックを形成したり、大分がサイドから押し込んで行けばシンプルにSHが下がって6バック状態になることもあった。攻撃に切り替わると中盤から180cmの佐伯雄斗が上がってターゲットを務め、周囲の選手がセカンドボールを拾う狙いも見えたが、多くのシーンで大分に回収され攻め返された。

決定機を量産し中川のクロスから2得点
そんなふうに一方的に大分が攻め込む展開となった前半。8分には宇津元伸弥のFKに有馬幸太郎が合わせて枠の右。11分、スルーパスに抜け出した茂のクロスは有馬にわずかに合わず。16分にはエリア内で有馬がボールを収めるが、人数をかける相手の守備に潰された。そして17分、伊佐耕平のパスを受けた中川のクロスから、有馬がヘディングで先制弾を仕留める。
21分には天笠泰輝のクロスに合わせた有馬のヘディングシュートが枠外。22分には中川のシュートがクロスバーに嫌われる。23分には野嶽惇也が運んでクロスを送り野村直輝がシュートしたが相手にブロックされた。24分にも宇津元のクロスに有馬が合わせてわずかに枠の右へ。29分、直接ゴールを狙った野村のFKは枠を捉えきれず。30分、野村の横パスに走り込んだ茂のシュートは相手守護神に処理された。
とにかく人数をかけてゴール前を固める相手を崩すのは難しい。ボランチの中川が縦横無尽に動きながら数的優位を作りながら攻略を図り、多くの決定機を築く中で、36分、またも中川のクロスに、今度は伊佐が頭で合わせて2点目を挙げた。

退場者を出した相手はさらに守備を固める
40分、伊藤良彰にイエローカード。この試合に向けて気合いを入れていたレベニロッソのキャプテンは、28分に続く2度目の警告で退場となる。10人で戦うことになったレベニロッソはアンカーだった越智大が鴻上雅也とダブルボランチを組む4-4-1のフォーメーションで対応したが、もとより人数をかけてゴール前を固める戦術だったため、レベニロッソにとっても大分にとっても、展開的にあまり大きな変化はなかった。
前半アディショナルタイム、中川のクロスからの伊佐のダイビングヘッドもわずかに枠の右で、2-0で折り返すと、大分は後半あたまから、メンバーはそのままでシステムを4-4-2に変更。最終ラインは右から茂、藤原、デルラン、宇津元となり、野嶽は天笠とダブルボランチ。中川が右SH、野村が左SHで伊佐と有馬の2トップの形となった。ほぼ相手を押し込みっぱなしの状態で、野嶽がボールを散らしつつゲームを組み立てていくプランだった。
だが、退場者を出してさらに中を固める意識を強めたレベニロッソは、なかなかゴールを割らせてくれない。屈強な2トップを目掛けてクロスを送っても、人数をかけて体を張る相手はほころびなかった。

選手交代で新たな魅力に期待するが…
攻め疲れも見えはじめる60分、大分は宇津元と茂の両SBを佐藤丈晟と松尾勇佑に2枚替え。同時にレベニロッソは越智大を一色俊介に交代した。
なかなか崩れない相手の牙城に対し、71分には伊佐がミドルシュートを放つが岡宗立にキャッチされる。72分にはその伊佐を鮎川峻に、野嶽を木許太賀に代えて木許が右SH、中川がボランチの形に。フレッシュな選手たちが変化をもたらすことに期待したが、ここからは徐々にレベニロッソに攻撃を許す場面が増えてくる。
75分には鴻上の右CKの流れから越智康貴にシュートされて枠の左。77分、レベニロッソは桂太希を伊藤翼にチェンジ。
大分も佐藤の仕掛けなどを起点にチャンスは作るのだが、その後のクロスやシュート精度、選手間の連係に不足があり、単発で雑なプレーが多くなる。78分、佐藤の左CKのこぼれ球から放った木許のミドルシュートは枠の左。81分の松尾のクロスは誰にも合わず。85分、佐藤のクロスが流れたところからの松尾のシュートは枠上へ。引いて守る相手を崩すための細やかなアイデアは見られず、ただ時間が過ぎていく。

途中出場組には指揮官から苦言も
88分にはレベニロッソが3枚替え。繁本剛功、鴻上、三好凱斗をベンチに下げて近藤伸宏、山下善輝、枡田大河を投入した。大分も90+1分に藤原を小酒井新大に代えて時間を使いつつ、最後は小酒井の左CKをゴール前の密集に送ったがボールは枠上へと飛んで、試合は2-0のまま終了。
無失点で2回戦へと駒を進めることは出来たものの、試合後の片野坂知宏監督の表情は非常に厳しかった。前半、13本のシュートを放ちながら2得点のみという結果については不満も残るものの、相手を圧倒しながらあの手この手で攻略を続けた内容は「決して悪い前半ではなかった」と評価したが、1人少ない相手に対して無得点だった後半に関しては、不本意さをあらわにした。特に交代で入った選手たちのプレーぶりに対しては、プロとしての姿勢レベルから苦言を呈した。
先週のトレーニングで構えた相手を攻略するために攻撃面のトレーニングを行い、共有事項も確認しあった中での、選手交代後の攻撃に関しては、やはり物足りなさを拭えなかったようだ。今後のリーグ戦において、ここまで相手を押し込み続ける展開もなかなか訪れないとは思うが、ワンプレーごとの精度や周囲との連係など、基本レベルの不足が目立った。個々のレベルアップを図りつつ、いま主力となっているメンバーたちがサブ組をどう組み込んでいくかといった作業も進めていかなくてはならない。
