10人になった堅守の甲府から狙いどおりの2得点。今季初の逆転勝利

立ち上がりから攻めながら先制されて難しい展開になったが、粘り強く狙いを遂行。ポジションチェンジも奏功して今季初の逆転勝利を収めた。
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序盤からチャンス量産も先制点を奪われる
ともに堅守をベースとしたスタイルのチーム同士による3-4-2-1のミラーゲーム。堅い試合になることも予想されたが、大分は立ち上がりから積極的に攻めた。サイドに人数をかけてコンビネーションで攻略し、クロスを供給。ただ、甲府の屈強な3CBを中心としたゴール前の守備はやはり堅く、ことごとく跳ね返されてしまう。
4分、中川寛斗のスルーパスに抜け出した茂平の折り返しが掻き出される。5分には天笠泰輝の右CKから厚みのある攻撃を繰り出したがここでもゴールは割れず。15分にも右サイドのコンビネーションから攻略して最後はデルランのクロスのこぼれ球を中川が狙ったが枠上へ。17分、野村直輝のスルーパスから宇津元伸弥の折り返しも甲府がクリア。20分には宇津元が浮き球に抜け出したがシュートは枠を捉えきれなかった。
25分にはネーミアスの折り返しを濵田太郎が横っ跳びで掻き出したシーンもあったが、ピンチらしいピンチは序盤はそれくらいだった。だが、26分、ヴァウ・ソアレスのロングスローの流れからエドゥアルド・マンシャにシュートを許し、弾道はゴール右隅へ。痛恨の先制点を奪われた。

奏功した野村と有馬のポジションチェンジ
リードした甲府の守備はさらに堅さを増す。プレスに来ずブロックを構える割合が増え、大分の追撃を跳ね返しながらカウンターを狙う展開となった。中川があちこちに顔を出して選手間の繋がりを作り出し、ピッチのあちこちからコンビネーションで攻略を狙うが、33分、セットプレーの流れで右サイドにいた宇津元のクロスに合わせた有馬幸太郎のヘディングシュートは河田晃兵にキャッチされる。41分には野嶽惇也がセカンドボールを大きく前に送ったところから有馬が持ち上がってシュートし、そのこぼれ球に伊佐耕平が詰めたのだが、これも河田に処理されてしまった。
後半スタートと同時に、片野坂知宏監督は野村と有馬のシャドーの左右を入れ替える。野嶽、茂、中川が絡んでしばしばサイドを攻略していた右に野村を入れてコンビネーションを強化し、有馬がフィニッシャーとなるよう「右からの崩し、左の仕留め」の図式を作ったかたちだ。
野村が細かい動きを加えたことが、結果的にヴァウ・ソアレスのラフプレーに繋がり、すでに3分に有馬を倒してイエローカードを提示されていたソアレスは50分に退場となる。大塚真司監督は54分にネーミアスと鳥海芳樹を大島康樹と遠藤光に代え、5-3-1のブロックでしのぎながら攻撃時は5-2-2となる可変システムで対応するよう、10人での布陣を整えた。

アリ同点弾に続き真那斗クロスで逆転へ
数的不利になった相手に対し、大分も中盤を3枚に変更すると、有馬と伊佐の2トップで圧をかけて追撃する。相手の中盤3枚の脇を有効に使いながら、狙いどおりに「右からの崩し、左の仕留め」が早速結実したのが57分。中川のクロスに有馬が相手2枚と競りながら放ったヘディングシュートは、回転しながら河田の手元をすり抜けてゴールへと吸い込まれた。
片野坂監督は59分、茂を𠮷田真那斗、伊佐を鮎川峻に代えてさらに攻め続ける。64分、𠮷田のクロスに合わせた有馬のヘディングシュートは枠上へ。大塚監督も68分、田中雄大をマテウス・レイリアに代えてもう一度リードを狙いに行く。74分には片野坂監督が再び動き、デルランを戸根一誓に、宇津元を佐藤丈晟にチェンジ。相手守備網を戸根の持ち出しで動かしつつ、佐藤の仕掛けからチャンスの演出を狙った。さらに82分には疲労の見える中川に代えて小酒井新大を投入し、長短のパスからの展開で揺さぶりをかける。
すると85分、その小酒井のクサビをスペースで受けた野村がサンドしてくる相手の背後へと技ありヒールで落とし、そこに走り込んできた𠮷田がエリア内に持ち込んで電光石火の折り返し。これが相手のオウンゴールを誘い、大分が逆転に成功した。

交代選手も特長を生かし落ち着いてクローズ
リードしたあとは再び1トップに戻し、落ち着いてボールを動かしながら機を見て攻める大分。89分には野村のスルーパスから鮎川にチャンスが訪れるが、甲府の守備陣に素早く寄せられてシュートには至らない。90分、大塚監督は林田滉也と宮崎純真を中山陸と村上千歩に代えて最後まで追撃態勢を取ったが、佐藤が自陣で相手からボールを奪って全体を押し上げるなど、攻め急がずに甲府を押し込めにいく大分はアディショナルタイム6分をしっかりと使い切り、今季初の逆転勝利を収めた。
4試合ぶりの白星。相手が1人少なくなったアドバンテージもあったものの、これまで課題となってきた攻撃のバリエーションや選手交代後の試合運びが大きく改善された手応えが感じられ、意義深い1勝となった。天皇杯1回戦・レベニロッソ戦と合わせて3アシストという結果も残す中川の活躍や、茂と野嶽のコンビネーション、佐藤の成長、デルランから戸根へのシフトによる戦い方の変化など、挙げられる収穫も多い。相手に守備を固められた中でも粘り強く攻略を続けた姿勢が、うれしい結果へと繋がった。
シーズン折り返しまであと2試合。次節はアウェイで今治との公式戦初対戦となる。

