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試合レポート

新戦力加入でブラジリアンパワーが蘇った今治。戦力差を見せつけられつつ勝点1は死守

 

対今治戦術を仕込んで挑み、前半は粘り強く守れていたものの、相手の素早いトランジションに阻まれて攻撃の形を作れない。後半は変化した相手に主導権を明け渡して追いつかれたが、数々のピンチを水際でしのぎ、勝点1は死守したかたちだ。

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ブラジリアンFWにブラジリアンCBをぶつける

大分はコンディション不良の選手複数名がメンバーから外れ、負傷者多発中の今治も第4GKの座に甘んじてきた植田峻佑が先発するなど、互いに懸念点を抱えてのスタート。さらにこの試合の主審は審判交流プログラムで派遣されたドイツ国籍のマルティン・ペーターセンで、ジャッジの匙加減が予想できない難しさも孕んだ。
 
5月29日に川崎Fから期限付き移籍したパトリッキ・ヴェロンの初出場が見込まれる中、まずは3-4-2-1と3-5-2を使い分ける今治がどのような戦力とシステムで臨むかを見極めなくてはならない試合だった。
 
蓋を開けてみれば3-5-2。片野坂知宏監督も対今治戦術はしっかり準備しており、マルコス・ヴィニシウスとウェズレイ・タンキの2トップにデルランとペレイラをマンマークさせ、彼らの自由を封じた。ヴィニシウスやタンキを軸とした迫力ある攻撃でシーズン序盤は快調に勝点を積み上げた今治だったが、次第にその2トップが封じられるようになるとチームはトーンダウン。大分としてもそこは必ず抑えておきたいポイントだった。
 
前半の今治はこれまでと同様、ブラジリアン2トップをターゲットにロングボールを入れてきた。そのシンプルな形であれば、デルランとペレイラが競りに行き、セカンドボールを回収することが出来る。運動量豊富な天笠泰輝と中川寛斗のダブルボランチが広範囲で仕事をしながら攻撃へと切り替えた。だが、今治の守備への素早い切り替えに阻まれて大分もミスを連発し、狙いとしていたカウンターを繰り出すことが出来ない。

 

ラッキーな先制も次第に押されはじめ…

17分、天笠のクサビを収めた伊佐耕平のクロスに有馬幸太郎が頭で合わせ、植田にキャッチされる。有馬は18分にも𠮷田真那斗と伊佐が空中戦で繋いだボールに抜け出し右足を振り抜いたが、今度はわずかに左に逸れた。21分には右サイドに抜け出した新井光のクロスを野嶽惇也がクリアし、そのこぼれ球をヴィニシウスにボレーされて枠の上。
 
セカンドボールを拾っていかに攻撃に繋げていくかというせめぎ合いの中で、23分、大分がラッキーなかたちで先制する。中川のパスに抜け出した宇津元伸弥がシュートして得た左CKを自ら蹴ると、植田の掻き出したボールは味方に当たって枠の中へ。そんなオウンゴールにより大分が一歩リードした。
 
29分にはロングボールで一気に攻め込まれヴィニシウスにシュートを許すが、ディフレクションで弾道が変わったところを濵田太郎がビッグセーブ。37分、ダニーロのボールを収めたヴェロンのヴィニシウスへのクロスは手前でデルランがクリアした。40分、ヴィニシウスのクロスに合わせたタンキのヘディングは枠の上へ。互いの攻撃を互いに潰し合い、それでも徐々に今治の外国籍選手たちのパワーが大分を圧倒しはじめながら、前半は1-0のまま終了した。

 

パトリッキ・ヴェロンに翻弄される後半

後半あたまから今治はシステム変更。新井と山田貴文のダブルボランチにヴェロンのトップ下となる。合流して日が浅いヴェロンだが、この実戦の中でヴィニシウスやタンキとの呼吸を合わせていったようで、天笠や中川が相手のダブルボランチに寄せる背後で巧みに立ち位置を取りはじめた。これにより試合の流れは大きく今治へと傾いていく。
 
50分、ヴェロンのFKに合わせたヴィニシウスのヘディングシュートは枠の左。58分、こぼれ球に反応したヴェロンのシュートは枠の上。59分、弓場堅真のクロスにヴィニシウスが合わせて枠の右、64分のヴィニシウスは濵田がキャッチ。
 
65分、片野坂監督は疲労の極まった中川に代えて榊原彗悟を投入。池田廉が天笠とボランチを組み、榊原は左シャドーに入って攻守両面での機動力に期待された。71分には倉石圭二監督が2枚替え。山田と近藤高虎を日野友貴と市原亮太に代え、右から日野、タンキ、ヴィニシウスの3トップに変更。ヴェロンが新井とダブルボランチを組む形になるとヴェロンの自由度はさらに高まり、大分が5-4-1ブロックを構える中でもヴィニシウスやタンキとの自在なコンビネーションを披露するようになった。右に展開すれば日野がドリブルで仕掛けてクロスを送る。

 

大ピンチを水際でしのぎ続ける

今治の攻撃を受けて重心が下がり前に出ていけない大分は見る見る劣勢に。自陣でなんとか跳ね返していた73分、セカンドボールの球際でことごとく上回られる中、デルランのクリアがヴィニシウスに渡り、新井が縦に差してタンキが落としたところをヴィニシウスに沈められて同点とされた。
 
押し込まれっぱなしの状況をなんとか改善すべく76分、片野坂監督は伊佐を屋敷優成、宇津元を茂平に交代。屋敷のスピードを生かして背後へのカウンターを狙ったのだが、その裏へのボールがなかなか通らない。
 
77分にはヴェロンの左CKからヴィニシウスのヘディングシュートがゴールラインを割るかに見えたがギリギリで榊原が掻き出すファインプレー。87分にも攻め込まれて分厚い攻撃を受け、ここでも水際で体を張ってなんとかクリアに成功した。88分、弓場を阿部稜汰、ヴェロンを西袋裕太に代えてパワープレーで勝点3を目指す今治。大分は勝点1でよしと割り切るのか3を狙うのかの難しい岐路に立たされながら、90分にはタンキの縦パスからのヴィニシウスの折り返しを濵田が手を伸ばしかろうじて処理する。

 

最後の力を振り絞って死守した勝点1

アディショナルタイムは6分。戦況から見て勝点1でも上々という内容で、片野坂監督は90+2分に池田を小酒井新大、𠮷田を薩川淳貴に代えて茂を右に回し薩川を左WBに配置。選択肢として藤原優大と戸根一誓の投入で守備を強化する案もあったが、守りながらもなんとかチャンスを作れればというニュアンスのカードだったと指揮官は試合後に明かした。
 
それでもほぼ押し込まれっぱなしの状況は変わらず、跳ね返すのが精一杯という90+5分、こぼれ球を拾ったペレイラがラストの力を振り絞ってスピードに乗ったカウンターを発動した。追いすがったダニーロに倒されたがラインを上げて時間を使えただけで大きかった。最後には榊原もカウンターを仕掛けCKのチャンスも獲得しながら、時間が尽きて試合は1-1のまま終了。最終的には大分が勝点1を死守したというかたちになった。
 
戦況を読みながらボールを収める野村直輝の不在により、周囲の選手の負荷が高まることは試合前から予想できたが、今治の守備への切り替えの早さに阻まれて攻撃の形を作れなかったことは重い課題となった。同時にブロックを構えているにもかかわらず中央を崩された守備の課題も出た一戦。攻守両面での修正が求められる。
 
おそらく今治はヴェロンの加入によりヴィニシウスとタンキの威力が再び息を吹き返すはずだ。内容的には完敗だったが、集中して体を張った守備により、同じ勝敗数で同じ勝点、順位の近い今治に勝点3を与えなかったことが今後に繋がるように持っていきたい。

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