第18節以来の複数得点で逆転も3点目に至らず勝点1止まり

意図した攻撃の形が見え、グレイソンの加入後初ゴールにCKからの逆転弾。ただ、勢いを出した背後を突かれて、結果は勝点1止まり。新たなチャレンジでの収穫も見えたが課題も残る試合となった。
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8分に富山、16分に大分
大分は7日に獲得が発表された落合陸が、8日のトレーニングに合流したのみでいきなりメンバー入り。富山のほうはやはり7日に獲得した小川慶治朗をメンバーには入れず、負傷から復帰したキャプテン・吉平翼が、初めてのドームでの古巣戦にサブスタートした。
攻撃面に課題を抱える両軍のマッチアップながら、早い時間帯に両ゴールネットが揺れた。先制は8分、富山。大分から完全移籍したばかりの香川勇気がスローインからの流れでクロスを送ると、松岡大智が飛び込んでヘディングシュートをゴール右隅へと突き刺した。だが、16分には大分が同点弾。宇津元伸弥の縦パスを鮎川峻が収めて粘り、ヒールで流したところで竹中元汰と競り合いになった宇津元がセカンドボールをすかさずゴール前へ。ニアに飛び込みコースを変えるようなヘディングシュートでグレイソンが移籍後初ゴールを挙げた。

前半アディショナルタイムに逆転に成功
互いにミドルブロックで相手のポゼッションに対し網を張りながら、ボールを奪うとミスマッチを突いて攻めたり背後を狙ったりするせめぎ合い。大分は濵田太郎がビルドアップに加わって左サイドを上げる攻撃的な立ち位置。戸根一誓が果敢なチャレンジでラインを上げながらボールを奪ってボランチを前へと押し出し、戸根やボランチからのサイドチェンジで好機を演出したりも出来ていた。
27分にも戸根のサイドチェンジからビッグチャンス。戸根によると実はミスキックだったそうだが、それが上手く相手を裏返したところで宇津元がダイナミックにクロスを送り、有馬幸太郎が飛び込んでヘディングシュートは枠の上へ。前半アディショナルタイムにはデルランのフィードを鮎川が繋ぎ、宇津元がスピードに乗ってエリア内に進入してからマイナスの折り返し。走り込んだ榊原彗悟のシュートは惜しくも今瀬淳也に掻き出されたが、ダイナミックでスピードを生かした攻撃で絶好機を築く大分は、1万2000人超を集めたスタジアムを何度も沸かせた。
その榊原のシュートで得た45+3分の右CK。宇津元はショートでボックスの外にいた榊原に出し、榊原のファーへのクロスをデルランが折り返して、ゴール前密集の中で最後は戸根が押し込み大分が逆転に成功する。

3点目を狙っていた時間帯、微妙な判定に泣く
リードした状態で迎えた後半立ち上がり、勢いに乗る大分。47分には濵田のフィードを𠮷田真那斗が収め、スピードに乗ってクロスを送ると、相手のクリアが小さくなったところに有馬が飛び込んで田川知樹のファインセーブに阻まれた。
だが53分、そうやって3点目を狙う大分の背後へと今瀬がロングフィード。反応した古川真人が明らかにオフサイドの位置に見えたため、大分の最終ラインは特に対応しなかったのだが、副審の旗は上がらず。濵田の頭上を越えるループシュートが得点と認められ、スコアは2-2となった。
なんとなくモヤモヤした空気感に戦意を削られたような大分に対し、その後は富山が勢いづく。57分には髙橋馨希とのワンツーで仕掛けた伊藤拓巳の折り返しを濱田が辛くも掻き出した。

湿度84%、疲労との戦いも
59分には安達亮監督が3枚替え。古川を浦十藏、松岡大智を吉平、竹中を椎名伸志にチェンジして、浦と吉平の2トップに変更する。片野坂知宏監督は66分、グレイソンを伊佐耕平、鮎川を移籍後初出場の落合陸に2枚替え。さらに71分に足を痛めた榊原に代えて野嶽惇也、戸根に代えて藤原優大を送り込むと、藤原が最終ライン中央、ペレイラが右CBに移った。72分には富山が植田啓太を瀬良俊太に交代。
72分には吉平のクロスが浦にわずかに合わず。77分には天笠泰輝のサイドチェンジを受けた宇津元がカットインから右足で狙って枠の上。湿度84%という過酷なピッチでは両軍の選手たちが足を攣らせ、徐々に疲労があらわになりながら、激しい攻防が続けられた。

最後まで攻め合ってどちらも勝ちきれず
78分には富山が末木裕也を濱託巳に、85分には大分が宇津元を三竿雄斗に代えて、ともに交代カードを使い切る。最後までどちらに転ぶかわからないせめぎ合いが続く中、88分にはポゼッションする富山に押し込まれて自陣でボールを動かされ、最後は伊藤にゴール正面まで運ばれて許したシュートが枠の左へ。89分には濵田のフィードに対する今瀬のクリアが後ろに流れたところへ有馬が詰めるが、一瞬早く田川に掻き出されてシュートには至らず。
3連敗中で7戦未勝利の大分と、2連敗中でJ3降格圏を脱出したい富山、その勝点差は5。どちらも勝利への強い思いがほとばしりながら、5分に設定されたアディショナルタイムは蒸し暑さに削られる体力を振り絞ってのオープンな死闘となる。
90+5分の濵のクロスを濵田が必死で掻き出して、天笠が浮き球を前に送ったところから最後のカウンターが発動。有馬、𠮷田、落合が攻め上がり、対応する相手は2枚。だが、落合のシュートは今瀬に当たり右CKに。そのCKもクリアされて長いホイッスルが鳴り、両軍はともに連敗を止めはしたが勝点1ずつを積む痛み分けで試合を終えた。
