12本のCKも実らず、ただ相手のペースにも持ち込ませずに0-0で+1。最低限の結果

攻守両面で狙いを遂行できたことで、相手のペースに飲まれることなく戦えた試合ではあった。ただ、12本のCKを含め好機を得点に結実できなかった現実も残る。この勝点1が今後にどう繋がるか。
試合情報はこちら

立ち上がりから互いのスタイルで激突
ともにボール保持率の低いチーム同士のマッチアップ。セカンドボールの奪い合いからマイボールになった瞬間に速攻の精度を競い合う展開が予想された中、立ち上がりからそれぞれに狙いを表現して引き締まったゲームとなった。
シンプルに相手陣へとボールを送ってセカンドボールを収め、すかさずシュートへと持ち込みたい秋田は早速4分、鈴木翔大が足を振り、ムン・キョンゴンの正面。4バックシステムの相手に対して幅を使いたい3バックシステムの大分は9分、ペレイラが奪ったボールを天笠泰輝が繋いで茂平がクロスを送り相手にクリアされる。12分には天笠が高い位置でボールを奪い自らシュートに持ち込んだが、弾道はディフレクションあって山田元気にキャッチされた。14分にはセカンドボールの奪い合いの連続からじわじわと前に運ばれたが吉岡雅和のシュートは弱く、ムンが危なげなく処理する。

複数の好機築くも秋田の守備も堅い
前半は大分が好機を多く築いた。池田廉が幅広くライン間を動いてあちこちに顔を出し、中盤の選手たちを中心に落ち着いて攻撃を組み立てる。古巣相手にその特徴を把握している茂は積極的に高い位置を取り周囲と連係しながらサイドで起点を作った。
秋田の守備も堅いが大分も素早く帰陣して、互いに譲らない戦いぶり。それぞれのやり方で相手の堅牢な牙城に迫る両軍は貪欲にセットプレーでの得点も視野に入れる。ボールを動かしてゴールに迫る大分はCKのチャンスを多く築き、秋田はFKやロングスローからチャンスを窺った。
39分には才藤龍治のスローインから諸岡裕人がクロスを送り梶谷政仁にシュートされるが枠の上。40分には池田がゴール間際まで迫って水際で相手に掻き出された。42分には右サイドのコンビネーションからペレイラのクロスがわずかにグレイソンに合わず。前半アディショナルタイムの秋田のロングスローも跳ね返して、試合は0-0で折り返した。

ギアアップする秋田に割らせない大分
ひとつのトラップやパスのミスが即座に大きなピンチに繋がりそうな展開は後半も続く。球際の局面が多くなり、トランジションが活発に繰り返されて、両軍は集中して試合を運んだ。
後半はより強度を高めている印象の秋田。47分の鈴木と48分の土井紅貴の立て続けのシュートをブロックしたデルランは、49分には自らが起点となってクサビを配球した。57分には佐藤大樹のクロスに梶谷が反応するが大分守備陣はシュートを許さない。
58分、竹中穣監督は野嶽惇也を伊佐耕平にチェンジ。池田がボランチに落ち、伊佐が左シャドーに入った。モビリティーと献身性を維持しつつ、伊佐のボールを収める強度もプラスして流れを引き寄せたい大分。59分には池田からグレイソンに当て茂が連続でクロスを入れるが、岡﨑亮平と才藤にブロックされた。

守備的修正により秋田が好機を増やすが
61分には榊原彗悟のクロスとペレイラの折り返しがクリアされる。62分にはペナルティーエリアに進入していたペレイラからのパスを受けデルランがシュートして枠を捉えきれない。
63分からは立て続けの秋田のCKを掻き出す大分。吉田謙監督は65分に3枚替えに動く。吉岡を石田凌太郎、佐藤を大石竜平、鈴木を佐川洸介と、両SHと2トップの一角をフレッシュにした。大分は前半の展開を踏まえてWBがやや低い位置で構える守備に切り替えたため、秋田が両サイドでローテーションして起点を作る回数を増やす。
71分には三竿雄斗のFKのこぼれ球を榊原が狙って岡崎にブロックされた。その直後の伊佐のシュートは梶谷に、73分の茂のクロスから放ったグレイソンのバイシクルシュートは土井に掻き出される。
74分、秋田は梶谷に代えて梅木翼。78分には大分が池田とグレイソンを野村直輝と屋敷優成に代え、伊佐がトップ、屋敷が左シャドーに入った。82分には秋田が土井を水谷拓磨に代えて、ベンチワークも白熱する。

最後まで集中を切らさず、だが得点も奪えず
終盤になると秋田はロングボールやアーリークロスをゴール前に送る回数を増やした。86分には諸岡のクロスから梅木がヘディングシュートして枠の左。88分には石田のクロスから佐川がシュートしてムンにキャッチされる。跳ね返したりしのいだりしながらチャンスを窺う大分も89分に天笠がシュートして山田に阻まれた。
90分、雨傘を落合陸、三竿を宇津元伸弥に代えて勝点3を取りに行く大分。3分のアディショナルタイムは秋田が攻勢に出た。佐川のドリブルからのシュートはムンが防ぎ、村松航太のクロスはペレイラがクリアする。最後は相手も精度を欠いて、ギリギリまでどちらに転ぶかもしれないハラハラ感のままに、試合は0-0でタイムアップ。勝点1を分け合う結果となった。
ともに狙いを表現しただけに、勝ちたい一戦だったと思う。大分としても流れから得点できず、12本のCKのチャンスも得点に結びつかなかったことが悔やまれる。ただ、落ち着いて狙いを遂行できたことで相手のペースに飲まれず敵地で勝点1を得たとも言えた。最低限の結果だ。大分は勝点と得失点差で熊本と並び、降格圏では藤枝に勝利した富山が鳥栖に追いつけなかった山口と順位を入れ替え、残留圏まで勝点7差に迫った。ヒリヒリする残留争いはまだまだ続く。
