ヒョンウ復帰で守備再生。ウノゼロで断ち切った3連敗

5試合ぶりに復帰したキム・ヒョンウが攻守に存在感を発揮した。ここ最近のフラストレーションを吹き飛ばすような迷いなき戦いの中で、選手個々の特長も全開に。決勝弾はニア打ち抜きの強気の一閃だった。
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再構築した守備が生んだ好循環
3月は長いトンネルだった。第4節・熊本戦の途中で負傷したキム・ヒョンウに続き、パトリッキ・ヴェロンと清武弘嗣も離脱。好調を牽引してきたキーマンを一気に失ったチームは、若手起用も含めて積み上げてきたが、経験は得ても勝点には繋がらず。第7節と第8節は2戦連続3失点で3連敗という苦境に陥っていた。
そのフラストレーションを吹き飛ばしたような、今節の勝利。アウェイで挙げた今季初白星で、スコアは0-1と最少ではあったが、内容的にも終始相手を圧倒して進めた一戦だった。
第5節からシステム変更した鳥栖との3-4-2-1でのミラーゲーム。今週のトレーニングではそれに向けての守備戦術も準備していたのだが、実際の試合ではそれは用いず、より状況を見ながら柔軟に前線からハメていくかたちを採用していた。5試合ぶりの出場となったキムを含め前節から前線3人を入れ替え、ボランチの一角には山口卓己、左CBには三竿雄斗が復帰してのスタートとなる。
キムが適切なタイミングで守備のスイッチを入れシャドーがそれに続いて相手に制限をかけることで、ボランチの行きどころも明確になり、榊原彗悟と山口の本来の躍動感が生きた。最終ラインも呼吸の合った上下動で布陣がコンパクトに保たれ、攻守に好循環を生むことが出来るようになった。

迷いの消えたチームは高い強度を発揮
6分、ムン・キョンゴンのフィードを宇津元伸弥がヘディングで前に送ったところから、木本真翔がスペースに送って宇津元が折り返しキムがゴールへと流し込んだが、宇津元のクロスのところでわずかにゴールラインを割っており得点は認められず。10分には相手のゴールキックを前に出てマイボールにしたペレイラが自ら左サイドを持ち上がりスルーパスを送るシーンも。それは繋がらず相手の速攻を受けることになり、ペレイラは帰陣できていなかったが、榊原がカバーに走る中、西澤健太と弓場堅真の2人に三竿雄斗が1人で対応するなど、組織のみならず個々の強度も醸す立ち上がりとなった。
16分にはペレイラの鈴木大馳への対応がファウル判定となりFKを与えるが、西澤のキックからの磯谷駿のヘディングシュートはムンが危なげなくキャッチ。18分には相手のミスを逃さずボールを収めた木許が攻め上がり、サンドしてくる相手の間隙を突いて𠮷田真那斗に落とすと右CKを獲得した。そのデザインCKは得点には繋がらなかったが、榊原が2度シュートを放つなど、迫力を持ってゴールに迫るシーンとなる。
23分には三竿のフィードをキムが競り、セカンドボールを収めた木本がドリブルで持ち前の推進力を発揮。木本はこの試合で、対峙する長澤シヴァタファリに負けない強度を披露し続けた。26分には自陣で鈴木にボールを奪われ、豊田歩が繋いで西澤にエリア内にまで進入されたが、クロスは枠上へ。

ヒョン、強気のゴールで復活を宣言
31分、山口のタックルから奪ったボールを木許が運んでキムへと託す。エリア内へと進入したところで後ろから追ってきた長澤に押され、出てきた松原颯汰との間に挟まれるようなかたちになって押さえられた。だが、上原直人主審の笛は鳴らず。PKではないかと抗議した四方田修平監督にイエローカードが提示されることになった。
鳥栖は40分、豊田の右CKのこぼれ球からの松本凪生のミドルシュートが枠の右。ほとんどのセカンドボールを拾う大分がペースを握って進める前半、鳥栖のシュートはセットプレーからの2本のみだった。
そして42分。木許が磯谷のパスをカットしたのを見て走り出したキム。相手を見て動き直し、エリア内の角度のないところからワンタッチでニア上へと打ち抜いた。中には山口と木本も走り込んでいたが、ストライカーらしい強気の選択が、豪快にして爽快な先制点へと結実する。チームに守備の一体感を回復させたキムの、本懐を遂げるといった趣の復活弾だった。

追加点のチャンスもあったのだが…
鳥栖は玄理吾を城定幹大に代えて後半をスタート。鳥栖がボールを握る時間を増やすが、大分も集中した戦いぶりを継続し、危ないシーンは作らせない。51分、西澤のショートCKからの松本のミドルシュートは枠の上に逸れた。
54分にはムンが、直前のFKの流れから前線にいたペレイラへとフィードを送り、そのこぼれを木本が収めたタイミングで三竿がエリア内に進入。相手の間を通した木本のパスを受けるとゴール前を一瞥してクロスを入れ、キムがニアで合わせたが、シュートは惜しくも枠の右へ。
鳥栖は59分、坂本亘基に代えて、前節も途中出場で目覚ましい存在感を放った特別指定選手の芳野凱斗を右WBに投入し、弓場が左WBに移る。
62分には右サイドでボールを奪ったペレイラがそのまま持ち上がり、山口がエリア内で折り返してキムが詰める決定機も築いたが、体を張った松原に阻止された。

選手交代で追撃する鳥栖にも集中して対応
大分は65分、復帰したばかりのキムに代えて伊佐耕平。68分には鳥栖が鈴木を酒井宣福に、磯谷を神山京右に2枚替え。69分には芳野のドリブルを止めきれずゴール前にまで運ばれるが、食い下がった宇津元とペレイラが体を張ってなんとか掻き出す。芳野は71分にも積極的な仕掛けからシュートを放ったが、今度はムンが処理した。
74分には榊原のクロスに𠮷田が飛び込むが、松原のファインセーブに阻まれる。四方田監督は75分、木本を有働夢叶に、山口を野嶽惇也に2枚替えした。79分には小菊昭雄監督が豊田を田中雄大にチェンジして、追う鳥栖と逃げ切りたい大分のせめぎ合いは最終盤へと突入する。83分には足を攣らせた木許に代えて小酒井新大。小酒井がボランチに入り榊原が右シャドーへと移った。
1点を追ってゴール前にクロスを送り続ける鳥栖だが、大分の集中した守備は跳ね返し続ける。89分には野嶽がドリブルで持ち上がり、伊佐と協力してラインを上げながら相手の時間帯をしのいだ。アディショナルタイムは4分。下がり過ぎずミドルブロックで相手の攻撃を牽制し続け、90+1分には城定が酒井とのワンツーから放ったシュートも枠外へ。最後までコンパクトさと集中力を保って時間を使い切ると、4試合ぶりのクリーンシートで連敗を3でストップ。90分では5試合ぶりの白星を掴み、いい流れを作って百年構想リーグを折り返した。



