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本日の名場面

【ピッチサイド小話】今節、スタッフの思いが200発超の花火へと結実する

 

2021年10月3日に開催される明治安田J1第31節・大分対C大阪の試合終了後、昭和電工ドーム大分の上空を、200発を超える花火が彩る。「スポーツを通じて地域のみなさまに元気をお届けしたい」というクラブによる「打上花火プロジェクト」だ。

 

発端は「明野の親父」というもうひとつの顔

企画の発端は渡辺博・広報部長のプライベートな活動だった。渡辺は自身の息子が通う地元小学校の保護者および保護者OBによる「親父の会」に所属している。
 
「僕らは普段、ホームゲームでボランティアしていただく立場なんですけど。逆にこちらがボランティアする側に回る機会はなかなかないので、こういうのはいいなと思って」
 
だが、折角参加した「親父の会」も、新型コロナウイルス禍により昨年からほとんど活動できない状態に陥った。何か出来ることはないかと模索した末に、今年7月、明野東小学校の校庭で花火大会を開催した。
 
「市民のみなさんが毎年楽しみにしている大分合同新聞の花火大会もコロナで中止でしょう。あまりにも子供たちの楽しみがないからと、自治会長さんにも寄付をいただいたりして実現したんです」
 

ヴィジョンに流す映像と連動させて

その話を聞いて「ホームゲームでもやりましょう」と口火を切ったのが、渡辺の部下にあたる中禮(ちゅうれい)健史、北九州生まれで昨春入社した最年少営業マンだ。
 
チームが降格圏に沈んでいる時期に花火はどうなのかという逡巡もあったが、それとは別に、地域貢献への思いも強かった。来場するファンやサポーターだけでなく、近隣住民にも楽しんでもらえれば。そして、相次ぐイベント中止により腕の見せどころを失っている花火師たちにも、活躍の場を提供できれば。
 
クリアしなくてはならない課題にも、ひとつひとつ対応した。以前、ホームゲームのとき開催された「大分合同新聞サンクスデー」でも花火が打ち上げられており、その際に使用した場所からであれば、大分スポーツ公園内でも打ち上げが認められる。ドーム型スタジアムゆえに死角となる座席もあるのだが、そんな席の人たちにも少しでも楽しんでもらえるよう、オーロラヴィジョンに映し出す動画と連動するかたちにした。その動画も社内での手作りだ。社員たちは手分けして、それぞれの役割を進めていった。
 

チームに励まされ、チームを後押しして

そんなクラブの思いに共感した多くの企業から協賛もいただき、「打上花火プロジェクト」は実現へと進む。犬飼町に工場を持つ「生島花火」の花火師たちとも、綿密な打ち合わせを重ねた。
 
いよいよ今週末、それらが、200発超の花火のかたちで結実する。近隣の方々にも喜んでいただけるか、動画とのタイミングは合うのか。
 
懸念される台風16号は現在のところ伊豆諸島をかすめて週末には過ぎ去っている予報だ。今季ホームゲーム残り4試合のうち、16時キックオフのC大阪戦は、試合後に花火を打ち上げるにはここしかないというタイミング。雨など気象条件により実施がかなわなかった場合は、第32節の仙台戦の日へと延期になるが、14時キックオフでは折角の花火がよく見えない可能性が高い。てるてる坊主を作らんばかりの思いがつのる。
 
いろいろと乗り越えなくてはならない案件も多かったが、チームの頑張りがクラブスタッフの心を支えてくれたと渡辺は言う。
 
「前節のアウェイ名古屋戦の終盤に(小林)成豪が怪我したでしょう。DAZNを見ながら『もう動くな!』って言いたいくらいだったけど、痛みを堪えて走る姿から、なんとしても勝ちたい気持ちが伝わってきて涙が出そうになりました。チームがこんなに頑張っているんだから、僕たちも頑張らないと。そして僕たちの頑張りでチームを勝利へと後押ししたい」
 
修羅場上等、崖っぷち。このクラブは過去に何度も苦境を乗り越えてきた。ピッチで戦う選手たちとともに、フロントスタッフもまた、人々に力をもたらせる存在でありたいと、渡辺は力強く言った。
 

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