TORITENトリテン

勝利へのカギ

頑張ろう佐賀関。クラブを挙げて、チーム全員で、復興への力に

 

2025年11月23日、今シーズンのホーム最終戦であり、残留争い大詰めの決戦でもあったJ2第37節・千葉戦を前に、竹中穣監督以下チームスタッフ全員、そして千葉戦メンバーを含めた選手全員が、ニータンパークに整列した。

18日に大分市佐賀関で大規模火災が発生したことを受け「なにか少しでも力になりたい」と立ち上がったクラブ。大分県共同募金会と連携し、ホームゲーム会場に支援募金箱を設置すると、この日、クラサスドーム大分に試合観戦に訪れたファンやサポーターたちに、チーム全員が支援協力を呼びかけた。

残留争いの緊迫した状況が続く中でキックオフ2時間前という大事な時間帯での活動になったが、岡本拓也は言う。

「吉岡SDから『こういうことをしようと考えているんだけど、どう?』と提案されました。選手として出来ることは多くないんですが、少しでも力になれるならという思いで受けました。クラブが決めたことに対してノーという選手は1人もいなかった。僕たちは試合で結果を残すことしか出来ないので、少しでもエネルギーになってもらえるようなプレーを、これからも続けたいと思います」

出火の2時間前まで佐賀関で釣りをしていたという野村直輝にとってはショックもひとしおだったようだ。

「この大事な試合の前に出場メンバーも参加するかどうかというところに対しては、それぞれに感じ方もあると思うんですけど。個人的には2週連続で釣りに行っていて、火災の発生するつい2時間前くらいまで佐賀関にいたので信じられないというか、『さっきまでそこにいたのにな』と。他人事じゃないと感じるし、びっくりしました」

負傷中でピッチに立てない清武弘嗣も、同じくメンバー外の茂平、中川寛斗、池田廉、デルラン、屋敷優成らとコンコースに並んで支援協力を呼びかけ、地元のチームのキャプテンとして思いを明かした。

「この寒い時期に火災が起きて、被災した佐賀関の方々も苦しいはず。少しでもチームとして力になれればと思いました。今日の試合メンバーも参加するということについては、とても大事な試合なので僕自身、一瞬考えましたけど、参加したいとみんなが賛同してくれました。全員でやれてよかったです。

僕は小さい頃、家族で毎年のように佐賀関の海に行っていました。いまも大阪の家に帰るときには佐賀関から四国に渡るフェリーを使っていて、とても身近なところです。あんな火災が起きてすごく悲しい。僕たちは微力ながら、少しでも復興してくれたらうれしいです。軽々しいことは言えないですけど、厳しい状況に陥ったとき、日本人は必ずみんなで助けあって力になる。希望を捨てずにみんなで復興していけたらいいなと思います」

試合開始前からスタンドに張り巡らされた横断幕には「がんばろう佐賀関 力強い一歩を踏み出すための力に」と書かれていた。サポーターも、思いは同じだ。

対戦相手である千葉のサポーターが募金していく姿も見られ、この日だけで2,370,955円が集まった。

日頃から地域に支えてもらっているクラブが、地域のために出来ること。「こんなときにこそ」とばかりに、ピッチの外でも力を尽くした。