TORITENトリテン

今節の見どころ

整理された堅守とダイナミックな攻撃。無敗の名古屋をホームで打破せよ

 

フィッカデンティ監督の哲学が個々の能力の高い戦力にフィットして、組織的堅守と躍動感あふれる攻撃で今季無敗の名古屋。前節のG大阪とはまた一味違うタイプの強豪だが、今節はホームだ。アグレッシブに戦って勝点を積み上げたい。

 

課題は明確。攻守両面での粘り強さは継続したい

前節はアウェイでG大阪に悔しい逆転負けを喫した。タレント揃いの強豪を相手にパワーとスピードで上回られ続けた感の否めない内容だったが、押し込まれながらも守備の粘り強さは見えたし、狙いの形から先制にも成功している。選手たちは試合後、守備・攻撃の両面で、具体的な課題を挙げた。
 
ここのところビルドアップ時の判断やプレーの精度が響き、ミスからの失点が続いている。連戦による疲労やそれをカバーするためにメンバーを入れ替えることによる意思疎通不足など、要因は様々考えられるが、J2やJ3時代にも、特にチームが成熟する過程で同様のミスはあった。ただ、同じミスでもJ1では相手がそれを逃さずに仕留めてくるため、ひとつのミスの重みもクローズアップされることになる。
 
前節は狙いの形がシンプルで明確だったこともあり、攻撃がやや単調に終始してしまった印象も否めない。狙いを遂行しようとするあまりそれ一辺倒になっては相手も対策しやすくなるので、どこでそれを繰り出すかについてもチームとしての意識を高めておきたい。
 
前節は羽田健人や高畑奎汰、特別指定選手の藤本一輝と井上健太と、若いメンバーがピッチに立った。今節はどういうプランでどういうメンバーが選ばれるのか。試合日の予報では天気は下り坂で、屋根を閉めればドームはかなり蒸し暑くなると予想される。夏場の連戦という厳しい日程ゆえ、まだ試合に絡めていない戦力にも是非ともアピールしてもらいたい。

 

前節は契約上出場できなかった金崎がやる気らしい

昨季9月から名古屋を率いるマッシモ・フィッカデンティ監督は今季から4-2-3-1システムを採用。丸山祐市や吉田豊、米本拓司らはFC東京や鳥栖ですでにフィッカデンティ・サッカーを経験しており、その堅守体現に貢献中だ。今季は前線に新たに強力なメンツが加わり、ダイナミックな攻撃を繰り広げて、今季無敗で4位に浮上している。
 
2列目のサイドには左に鹿島から復帰した相馬勇気、右に横浜FMから移籍してきたマテウスが並ぶ。スピードと勢いにあふれるサイドアタッカーの突破は強力だ。トップ下で彼らを操りながら自らも積極的にゴールを狙ってくるのは、川崎Fから加入の阿部浩之か、ガブリエル・シャビエルか。第4節、無敗同士でぶつかったC大阪を2-0で沈めたゴラッソも鮮やかだった阿部には、昨季の川崎F戦で痛い思いをさせられた記憶がある。元チームメイトの知念慶と競い、高木にも止めてもらいたい。
 
1トップには、前節は契約上出場できなかった金崎夢生が帰ってくる可能性が高い。プロとしてのスタートを切った古巣相手に燃えているという。中断期間中にはコロナウイルスに感染したが、復帰後はわずか数日の準備でリーグ再開初戦から元気に出場。第3節以後は先発して存在感を示してきた。ただ、前節先発した山崎凌吾も献身的なプレーを見せ、途中出場の前田直輝も決勝ゴールという結果を残している。いずれも躍動させたくない面々だ。
 
今節は今回の3連戦のうち唯一のホームゲーム。前回のホームゲームから上限5000人という制限付きながらスタジアムに観客も戻ってきた。新型コロナウイルス感染者が再び増加傾向にあることを受け、Jリーグは入場者数規制緩和の延期を余儀なくされたが、であればなおさら、サポーターの力を借り、スタジアムに来れなかったファンやサポーターのためにも、いい試合、いい結果で応えたい。前節終了後、G大阪サポーターしかいなかったパナソニックスタジアム吹田での試合について高木駿は「あの雰囲気が嫌でした。相手選手ひとりひとりの勢いが無音の中でより反映していた」と振り返った。大分は大分のやり方で、試合会場をプロデュースするクラブスタッフや観客が、乗り込んでくる名古屋にアウェイ感を感じさせてくれるはずだ。

 

練習後の監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
名古屋さんはしっかりとオーガナイズされて隙のない守備をしてくるし、攻撃もタレントがいるチームなので、自分たちの狙いを合わせていかなくては簡単にはいかないと思う。特に阿部くんはG大阪の宇佐美くんのようなことも出来るし、高い決定力があり、どこからでも点を決める。コントロールできて、起点にもなれるいやらしい選手。警戒しなくてはならない。
 
ホームなので勝ちたいし、またお客さんも5000人ほど来られると思うので、いいゲームをして励みになれるように頑張りたい。
 
■DF 5 鈴木義宜
 
G大阪戦では立ち上がりからシュートを多く打たれた。あそこでは入らなかったからよかったもののあの位置でも決めてくるクオリティーがある選手ばかりなので、もうちょっとディフェンスのスタート位置を高めたほうがよかった。前からプレッシングに行って相手に蹴らせる守備をやりたかった。
 
名古屋は好調。攻撃力があり守備も堅くて隙を与えてくれにくいチーム。だから先に失点しないようにしなくてはならない。ホームなので守備でも攻撃でもアグレッシブにやらなくては前節のようになってしまう。隙はどのチームにもあるのでそういうところを突きつつ、対峙する相手を上回れるように自分たちもレベルを上げていくことが大事。試合をこなしつつ、練習のときからそういうところを求めて成長していきたい。
 
連戦だし、いつ自分にチャンスが巡ってくるかという意識はチーム全員が持てていると思う。試合に絡めていないメンバーは少なからず悔しい思いをしていると思うので、試合に出ている選手は歯を食いしばってもやらなくてはならない。