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今節の見どころ

目指すところを再確認して挑む九州ダービー。攻守両面で一体感がカギに

 

ここ数試合は相手の土俵に乗ってしまった感の残る不本意な内容が続いた。チームはあらためて目指すスタイルの要点を確認・共有し、次なる戦いに挑む。

 

要点の確認とイメージの共有を進める

秋田戦、千葉戦、いわき戦と、相手に主導権を握られてチームスタイルを表現できなかった試合が続いたことを受け、チームは今週のトレーニングであらためて、目指すスタイルの攻守両面における要点を整理し、確認して共有した。
 
ハイプレスからのボール奪取やセカンドボール回収、切り替えての速攻という一連を繰り返していくために、そしてそれに積極的にトライしていけるように、片野坂知宏監督以下コーチ陣は根気強くアプローチし、選手たちはそれぞれに考え、近いポジション同士でディスカッション。
 
戦術の細部を提示すると選手がそれしか出来なくなってしまうということを、指揮官はプレシーズンからずっと留意しており、現在も戦術的指示は細かくなり過ぎないように、注意深く抑えられている。守備はある程度、誰が出ても同様の戦い方となるが、攻撃に関しては、そのときピッチに立っている選手の特長を生かすかたちで戦い方に変化をつけていくため、いわゆる「型」がない。相手の変化やイレギュラーな事態も含め、めまぐるしく変わる戦況に応じて選手たちが一体感を持って戦えるまでになるには、さらなる共通理解が必要だ。
 

今季はダブルボランチになった熊本

今節対戦する熊本は、大木武監督体制5シーズン目。J3時代から築いてきた独特のスタイルを、毎年少しずつ変化させながら継続的に追求している。昨季は3-3-1-3だったフォーメーションが今季は3-4-1-2となった。守備の安定感を高めるためなのか否かダブルボランチに変えているが、大木監督ならではの密集して数的優位を作り続け細かく流動的なパスを繰り返しながらゴールに迫る戦い方であることは変わっていない。
 
ただ、昨季までは連戦でもターンオーバーしない指揮官というイメージだったが、24日に開催されたルヴァンカップ鳥栖戦では、チームマネジメントなのか戦術的意図なのか、複数名のメンバーを入れ替えていた。
 
守備はマンツーマン気味なので、まともに受けてしまえばまた組織が局面ごとに分断されてしまう。相手のプレスを逆手に取って長短のパスで近くや遠くの背後を使いながら前進できるよう、トレーニングで積み上げたものを公式戦のプレーに反映させたい。逆に熊本のスピーディーなパスワークに対しては、守備網の緩みが生じないよう、前線から最終ラインまで意思疎通して動くことが肝要だ。
 
大分も熊本も直近3試合は負け、分け、負けと白星から遠ざかっている。4試合ぶりの勝利を目指し、“大木ロアッソ”と初対決の片野坂監督がどのようなプランで臨むかも、楽しみにしたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
今週は自分たちがこれまで積み上げてきている中で、もう一度どういうふうに守備をする、攻撃をするということを、どういうメンバーになっても合わせていけるかたちでやるようにトレーニングした。やっぱり攻撃はゴールを目指し得点することが大事だし、守備はボールを奪う中でハイプレスで行くのか構えるのかがバラバラにならないよう合わせてやることが大事だと、選手にフィードバックを含め話した中で、ゲームで合わせた。
 
対熊本では特に、中途半端にならないことが大事。行くなら行くではっきりし、行かないなら行かないでやらせてはいけないところの優先順位を中で守っていくこと、合わせていくこと。中途半端に行ってスペースを空けてしまうとそういうところを使うのが上手い選手がたくさんいて、そういうフットボールをしているので、そのへんは合わせていきたい。
 
■MF 16 茂平
 
前節は復帰戦だったが、ピッチに入ってみて、自分たちがやろうとしているサッカーが、まだまだ選手全員でイメージ共有できていないと感じた。対して相手はやることがすごくはっきりしていて、距離感もよく全員が一体だった。自分たちのサッカーを理解しているのだと思う。僕らはまだまだ試合を重ねてよくなっていける。イメージの共有を、試合中にも話しながら進めていきたい。
 
いまは相手の背後を狙うことをチームとして意識しているが、前節のいわき戦などのように、それが効果的かと考えたときに、ウラ狙いの一辺倒ではなく、間や中を使っていくことも必要だと感じた。そういうところをベースにしながら、優先順位は前なので、背後へのボールを織り交ぜていければ、もっと相手を崩せていけると思う。練習からしっかりコミュニケーションを取っていく。守備では行くところと構えるところを、相手のボール保持状況を見て判断することが大事。チームで合わせていく。
 
■FW 29 宇津元伸弥
 
今週は自分たちのスタイルを確立していくための1週間だった。いまの課題は攻撃面。カウンターで誰か1人が仕掛けて2、3人で完結していく要素がいまは少ないなと感じた。紅白戦でも1人での仕掛けに少し手応えを感じた。1人剥がせばカウンターを発動できるので、そこを発揮していきたい。
 
最近はSHで出場しているが、いい感触があるので、それを熊本戦で出したい。本職のCFで出場したときにはペナ内での仕事を求められるが、WGではアシストの役割も求められる。運動量はこれまで経験してきた中でも3倍くらいで、足をつるのがあたりまえのようになっているが、セカンドボールは拾えるか拾えないかで試合の内容がまったく違ってきてしまうので、やはり拾っていきたい。