TORITENトリテン

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介
試合レポート

「勝ち切れるチーム」への変貌。攻守両面でゴール前にかけた磨きが劇的勝利を呼ぶ

 

苦しい展開を強いられたゲームは、最終局面で劇的な展開を迎えた。今季初めて迎えた1万人超の観客が作り出すホームの雰囲気にも押され、勝利への強い希求が結実したようだった。

試合情報はこちら

 

今節に向けての要点は両ゴール前

試合後に井上健太が明かしたところによると、今節に向けてのトレーニングは両ゴール前のクオリティー向上に重点を置いたそうだ。
 
「自分たちはペナルティーエリア以外のところでのプレーを、大宮戦でも金沢戦でも出来ていたけど、結局最後にサッカーを決めるのはペナルティーエリアの部分。そこが自分たちには足りていなかったので、今週はその部分の練習を、監督から強く求められてずっとやっていた」
 
同じくポゼッションスタイルを標榜する甲府は、毎試合のようにボールを握って好ゲームをものにしながら、4引き分け後の4連敗中と結果が出ていない。大分もシーズン前半にはそうやって勝点を取りこぼしがちだったが、そこを突くように、今節は甲府にボールを持たれることを想定しながら、下平隆宏監督はトレーニングの要点を決めていた。「だから相手に持たれてもあまり気にしないというか、最後のところは絶対にやらせない。逆に攻撃の最後のところは絶対に決め切ると、みんなで共通意識を持っていた」と井上は証言する。

 

ペレイラ3戦連続弾でリードして折り返す

試合は実際、立ち上がりから甲府が主導権を握る展開となる。甲府は大分が想定していたのとは異なるプレスの掛け方でボールを奪うと、巧みなポジショニングで動かして前へと運んだ。攻撃時には2トップ気味になり、ウィリアン・リラが収めて長谷川元希や2列目の荒木翔、石川俊輝が絡む。それでも互いに好機は築きつつ、ともに守備陣の集中した対応もあり得点へは結びつかない。
 
どちらかというと甲府優勢の中、先制は大分。下田北斗の右CKはニアで長谷川に頭で触られたが、軌道が変わったことをものともせずペレイラがヘディングで押し込む。第2節の甲府戦でもラストに劇的同点弾を押し込んだブラジレイロが、自身3試合連続得点となる冴えた仕事を遂げた。
 
その後も梅崎司のシュートがサイドネットだったり、エドゥアルド・マンシャが足を延ばしてわずかに枠の左だったりと攻め合いが続く。前半アディショナルタイムには長谷川のミドルシュートが枠を捉えきれず、試合は1-0で折り返した。

 

関口からのリラ、2本目を防ぎきれず同点に

後半も両軍がゴールを目指す展開は変わらず。53分には関口正大のクロスからリラにヘディングシュートを放たれ、吉田舜が横っ跳びで掻き出した。57分には右スローインの流れから弓場将輝が決定機を迎えたが枠の上。
 
流れが甲府へと傾きかけていた59分、下平監督は梅崎とサムエルを金崎夢生と長沢駿に交代。長沢は7月10日の第26節・岡山戦以来の出場となる。金崎と長沢が2トップ気味に前線に張り、2人は守備にも献身的に走った。吉田達磨監督も63分に動き、鳥海を三平和司にチェンジする。直前までベンチに下げるのはリラの予定だったが、過去に鳥海が足をつらせたことなどを踏まえ、交代直前に変更したようだった。
 
すると64分、またも関口のクロスにリラが頭で合わせる決定機。交代直後でマークの確認が遅れたこともあったのか、今度は吉田も防げず、見事にネットを揺らされて1-1となる。

 

ピッチ内外でテンション高まる激しい攻防

勢いづく甲府へと流れが傾くのを踏みとどまるべく、大分は73分、町田也真人を野村直輝に、高畑奎汰を増山朝陽に代えた。74分には早速、増山が魅せる。長沢、金崎と浮き球のパスワークでカウンターを仕掛けて独走態勢に入り、追走する長沢と金崎が追いつかないほどのものすごい勢いで攻め上がったが、勢い余ってボールを持ったままラインを越えた。少し笑えたが迫力満点で、チームに活力をもたらした一連のプレーだった。
 
交代で入った選手たちが前へのベクトルを強めたことにより展開はオープンに。それぞれに好機を迎え、それぞれに好守でそれを阻みながら試合は終盤へと突入した。甲府は83分、荒木を飯島陸に、リラを宮崎純真に代えて9試合ぶりの勝利を狙いにかかる。大分も同時に、疲労した弓場をエドゥアルド・ネットに代えて強度を保つとともに攻撃起点の強化を図った。旧知の仲である下平監督と吉田監督の采配による駆け引きもテンションを増す。

 

小出の好カバー、そして長沢の復活弾

87分、宮崎に放たれたループシュートが吉田の頭上を越えたときにはあわや一巻の終わりかと思われたが、そこに猛然と突っ込んできたのが小出悠太だった。自らがポストに激突することも厭わず、スライディングでボールを掻き出す。先発出場は3月19日の第5節・山口戦以来。長らく出場機会に恵まれず苦しい時期を過ごしてきたDFが、古巣戦でのひさびさの出場で大仕事を果たした。
 
こういうプレーはチームの闘志を掻き立てる。一段と激しさを増したせめぎ合いの中、両ゴールネットが揺れないまま突入したアディショナルタイム。ドローで終わるかに思われた90+5分に、劇的展開が訪れた。井上のクロスは一度はクリアされたが、マイボールにしたところでもう一度下田が井上へと託す。井上は最後のスプリントで相手を振り切ると、深い位置から弓なりのクロスを送った。弾道が長沢の頭を越えたところに詰めていたのは増山。どうやってでも収めるという気持ちの見える胸トラップでの折り返しを、長沢が長い足で懐深く我がものにしながらシュートすると、ボールは密集の間隙を縫ってゴールへと転がり込んだ。それがほぼラストプレーとなり、大分は3試合ぶりの白星を挙げる。
 
長沢の復活弾に、小出のファインプレー。前節・金沢戦の前半で悔しい思いをしていたであろう増山の渾身の折り返しと、選手たちの強い気持ちが勝利を引き寄せた。今季初の1万人超え、今季最多の1万726人の観客を集めたスタンドが作り出したホームの雰囲気が、それを後押ししたことは間違いない。苦しい展開をしのぎながら執念でもぎ取った勝点3を積んで、大分は今節、5位に浮上。勢いを増してJ1昇格を目指し突き進む。

司、渾身のガッツポーズ
アップ時から人気だったぺーさん。試合後はスタンドのサポーターとこまめに会話していた

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介