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試合レポート

伊佐のクイックリスタートから堅心決勝弾。高い守備意識と的確な修正で今季初白星

 

激しいプレスの掛け合いとピッチ上のめまぐるしい駆け引き。勝敗を分けたのは一瞬のところだった。早くもカオスな様相を呈してきた今季J2での、待望の初勝利だ。

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間もなく藤枝の勢いに押された立ち上がり

攻守両面で前へのベクトルを強く出すチーム同士のマッチアップ。今季から第2次片野坂知宏監督体制で攻守シームレスな新スタイルを構築中の大分と、須藤大輔監督が丁寧に浸透させてきたアグレッシブなスタイルに今季からはGKを加えたビルドアップ要素を加えている藤枝は、置かれた状況的にもリーグ戦2引き分けの大分と1分1敗の藤枝、ともにルヴァンカップ1stラウンド1回戦をJ3のチームと戦って敗退している点が似通っていた。
 
今季初勝利を目指して激突するにあたり、両指揮官は互いに自分たちのスタイルを全開に勝利を目指す姿勢を強調。その志向したとおり、試合はミスマッチを突いて激しく攻め合う展開になるかと思われた。大分は最前線の伊佐耕平と中川寛斗が相手と駆け引きしながら守備のスイッチを入れる。
 
だが、間もなく藤枝が攻守に前への勢いを醸し、大分を押し込むシーンを増やしてペースを握りはじめた。11分には大分の縦パスがズレたところを梶川諒太に拾われ、矢村健に渡される。そこは安藤智哉がすかさず寄せて前を向かせなかったが、即時奪還に成功した藤枝はもう一度、矢村が右足を振り抜いた。枠の左に外れたが、藤枝の前への勢いが大分を上回ったシーンのひとつだった。

粘り強く守りつつ攻め返そうとするが…

大分も積極的に相手陣へとボールを運ぶが、保田堅心や伊佐がボールを収めても相手の激しい寄せに阻まれて、その先がなかなか続かない。13分には野村直輝が粘って相手を引きつけたところからフリーになった伊佐が受けてゴール前へと送り、相手が足を滑らせてファーに流れたところへ野嶽惇也が走り込んで打ったが、枠は捉えきれなかった。
 
18分にも藤枝の速い攻撃に遭うが香川勇気のエリア内での決死のタックルで矢村に収めさせず。粘り強く守り丁寧に攻め返す大分だが、相手の守備も集中している。宇津元伸弥がシンプルに相手の背後を狙う意識も見せるが、クロスは内山圭にキャッチされた。28分には右サイドで素早く運んでゴールに迫り、相手の守備に阻まれながら最後は中川がこぼれ球に飛び込んだが、足に当てるのが精一杯。29分にはバックパスを矢村に奪われそうになるが濵田太郎が飛び出して先に触った。
 
36分にはコンビネーションで右から攻略して野嶽がクロスを送り左CKをゲット。保田のキックは密集の外にいた野村を目指したが野村のミドルシュートは相手に当たり、そのこぼれ球を香川が反転シュートしてもう一度相手に当たった。続く左CKではこぼれ球に走り込んだ野村のシュートが枠の左へ。41分には相手ゴール前でボールを失い、シマブクカズヨシにドリブルで長い距離を運ばれたが、久富良輔のクロスを収めようとした杉田真彦には弓場将輝と安藤が体を寄せた。

得点はまさかの伊佐によるクイックリスタートから

前半終了間際の相手の左CKもしのいで0-0で折り返した後半立ち上がり。ハーフウェイライン付近からの香川のスローインが相手にクリアされ、もう一度スローインをゲットした流れから47分の先制点が生まれた。テクニカルエリアにこぼれたボールを拾う片野坂監督に手を伸ばしたのは伊佐だ。まさかのセンターフォワードによるクイックリスタートは長い軌道を描きワンバウンドでエリア内の中川へと届く。ここでも藤枝の寄せは素早く中川はピッチに倒れ込んだが、こぼれたボールを野村が収め、引きつけた相手の背後でフリーになっている保田へとパス。そこへもすごい勢いで杉田が背後から突進してきたが、保田は3枚に寄せられながら狭いところを通すシュート。弾道は内山の指先に触れられながらゴールネットを揺らした。
 
後半の大分は中央の距離感を保ちながら相手のサイドも誘い、そこから空いた大外を使いながら攻めるシーンを増やす。57分に杉田のパスを受けた榎本啓吾のクロスを矢村に押し込まれ、オフサイド判定で事なきを得た以外は大分がペースを引き寄せた。
 
そんな65分、藤枝が3枚替えで反撃を期す。榎本、杉田、浅倉廉を永田貫太、河上将平、中島大嘉に代えて矢村と中島の2トップ+梶川のトップ下へと変形し、前へのパワーを増した。同時に大分も宇津元を有働夢叶にチェンジする。

パワーバランスを見ながら最後は逃げ切るかたちに

70分には相手陣で伊佐がボールを奪って持ち上がり、有働が狙ったが枠の上。この時間帯になると疲労の影響か、相手の寄せも緩くなっていた。74分には伊佐と中川を渡邉新太と薩川淳貴に代え、薩川が左SH、野村がトップ下の形となる。前節、負傷で欠場していた渡邉はそのぶんも取り返す気満々で、入って早々に2本のシュートを放って前への勢いを維持した。
 
78分には藤枝が鈴木翔太をウエンデル、梶川を中川風希に交代。190cm87kgのウエンデルも最終ラインから持ち上がり藤枝の攻撃が迫力を増す中、片野坂監督は83分、野村と弓場をベンチに下げ小酒井新大とペレイラを送り込んで、ペレイラの右に安藤、左に藤原優大の高身長3バックで相手にシステムを合わせた。そこに香川・野嶽の両SBと保田・小酒井のボランチとでしのぎながら前線3枚で追加点を狙いに行く。時間経過とパワーバランスを見極めながらのこの緻密な交代が、片野坂監督の真骨頂でもある。
 
85分には西矢の右CKからウエンデルにヘディングシュートを放たれるが枠の左。5分のアディショナルタイムも相手の猛追に遭うが、90+3分の中川風希のシュートは濵田が押さえ、その後のシマブクのクロスは藤原が掻き出した。最後は永田のドリブルからのクロスを安藤がクリアしてタイムアップ。タフなゲームを無失点に抑え、1点のリードを守ったチームは、待望の今季初白星を手にした。全員の高い守備意識と前への勢いを継続しつつ、細かい修正とその遂行が奏功して、拮抗する相手を下した好ゲームだった。

両チームのOBとして来場してくれていた鈴木惇さん

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