TORITENトリテン

試合レポート

またも前半の優勢を維持できず。課題を残したまま痛恨の逆転負け

 

断続的な雨と蒸し暑さにも苛まれた前半戦のラストゲーム。対相手戦術が機能して先制するも、後半はまたも押し込まれ、不甲斐ない逆転負けを喫した。

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雨に苛まれつつも優位に進めた前半

朝は晴れていたが、次第に曇って蒸し暑さが増すと、予報どおり試合の約1時間前から雨になった。調整中につき屋根の閉まらないクラサスドーム大分のハイブリッド芝は濡れ、両軍の選手たちが頻繁に足を滑らせる難しいコンディションに。本降りになったり止んだりと雨の降り方も時間帯によってまちまちで、選手たちにとってはタフなゲームになったことと思う。
 
それでも立ち上がりからお互いにチャンスを築いた。4分、ロングスローの流れから伊佐耕平が左足を振って枠の右へ。6分には右に流れてボールを収めた小松蓮のシュートを、濵田太郎が掻き出した。そこから徐々に、試合はセカンドボールを収める大分のペースとなっていく。ボールを持てば秋田のボールサイドに圧縮する守備方法を逆手に取って逆サイドに展開し、サイドのコンビネーションを駆使。中川寛斗や池田廉が運動量豊富に顔を出し、コンパクトな距離感で選手同士が繋がりつつボールを動かすとチャンスを量産した。
 
11分には伊佐とパス交換したデルランのパスが𠮷田真那斗へと渡り、𠮷田はスライディングしてきた相手を落ち着いてかわしてからシュートしたが山田元気の正面。16分には宇津元伸弥の右CKのこぼれ球から池田が狙って枠上へ。

 

伊佐の会心弾で先制に成功

先制は23分。ペレイラが大きく前へと送ったボールを伊佐が落として有馬幸太郎がフリーの池田に出し、池田が再び伊佐に渡すと伊佐は左へと展開。それを受けた宇津元がカットインして送ったクロスに飛び込んで、伊佐の頭がピンポイントで仕留めた。
 
伊佐の今季リーグ戦初ゴールで勢いづく大分。35分にはスローインの流れから伊佐のパスを受けてエリア内に進入した宇津元が相手に倒されたが、中井敏博主審の笛は鳴らず。39分には中川の守備からショートカウンターが発動したが、伊佐の攻め上がりは長井一真に阻まれた。
 
秋田は長いボールを前線へと送るが、大分の守備陣が球際激しく対応して2トップに収めさせず。41分には負傷した水谷拓磨がプレー続行不可能となるアクシデントに見舞われ、吉田謙監督は急遽、長井をボランチに上げてCBに井上竜太を投入した。
 
43分には吉岡雅和のFKを濵田がパンチングでクリアしたところから長谷川巧にミドルシュートを許したが、ポストに弾かれてセーフ。前半アディショナルタイムには野嶽惇也にプレスをかけてボールを奪った佐藤大樹にもシュートされ、これは濵田と野嶽の連係で掻き出した。

 

様相反転の後半、またも重心が低くなる

アクシデントにより前半のうちに交代カードを切った秋田だったが、大分にも負傷者が出ていた。有馬と野嶽がハーフタイムを境にピッチを去り、代わって榊原彗悟と藤原優大が送り込まれて後半をスタート。藤原が3バックの中央に陣取り、ペレイラが右に移った。
 
だが、ボール保持時のポジショニングが得意な野嶽と伊佐をサポートする有馬がいなくなったことで、戦況は秋田へと傾く。秋田のロングボールに押し下げられたところから、しっかりボールを繋いで相手を剥がしつつ前進することが出来なくなり、ボールを奪っても前線へと蹴り出しては相手に奪い返されまた攻められるというループに陥った。
 
53分、吉岡の右CKに合わせた小松のヘディングシュートは濵田がファインセーブ。そこからの2次攻撃はオフサイドでしのげた。大分は𠮷田のクロスや左サイドの崩しから獲得したCKのチャンスもものに出来ず、疲労で徐々に足も動かなくなっていく。

 

一瞬の隙を突かれ許した同点弾

秋田は67分、180cmの鈴木翔大に代えて187cmの佐川洸介。11日の天皇杯2回戦・いわき戦で2得点を挙げたストライカーが小松とツインタワーを組み、前線の強度がさらに上がった。72分には吉岡のFKを佐川にヘディングで合わせられ、濵田が弾いたこぼれ球を深港壮一郎にシュートされたが枠の上。
 
押し込まれる苦しい時間が続く中で、73分、宇津元のクリアが吉岡に当たってこぼれたところで藤山智史にクロスを送られ、佐藤のダイナミックなヘディングシュートで同点とされる。
 
秋田に攻められ自陣に押し込まれたままの状況をなんとか打開しようと、片野坂知宏監督も動いた。中川を小酒井新大、伊佐を屋敷優成、宇津元を茂平に3枚替えして戦力をフレッシュにし、屋敷の裏抜けなどでラインを押し上げようと狙ったが、後ろからの配球のクオリティーも足りず、なかなかその狙いを体現できない。

 

負傷者多発で3連戦の残りをどう戦うか

83分には中盤のボールの奪い合いから佐川が佐藤へとスルーパス。その抜け出しに対応した𠮷田が、倒されたか自ら倒れたか。笛は鳴らず、そのまま独走した佐藤に角度のないところから足を振り抜かれ、逆転を許した。
 
秋田は89分、小松を中村亮太、吉岡を石田凌太郎に交代。大分はペレイラを前線に上げてパワープレーで追撃体制を取った。90分、𠮷田のクロスを屋敷が逸らし、池田が左足で合わせるが山田にキャッチされる。
 
アディショナルタイムは4分。だが、90+3分に、相手のスローインの対応にあたった榊原が接触プレーでピッチに倒れ込んだ。榊原は脳震盪疑いで救急搬送され、ピッチには戸根一誓が入ってペレイラとともに前線で得点に備えたが、チャンスは生まれず、試合は1-2のまま終了。大分は前半戦ラストの試合を白星で飾ることは出来なかった。
 
前節の今治戦に続いて押し込まれた状況から挽回できなかった課題が重くのしかかるが、それ以上に、ここから中2日で天皇杯2回戦・札幌戦、さらに中2日でJ2第20節・徳島戦と敵地での連戦が続く中、主力に負傷者が多発したことが痛い。覚悟していた以上に厳しい1週間となりそうだが、これまで出場機会の少なかった面々の中から、ニューヒーローの登場に期待するばかりだ。