8試合ぶりのクリーンシートで最低限のノルマは達成。今後は勝点3へと繋げたい
高い攻撃力を誇る大宮を組織的守備で無失点に抑えたが、得点は出来ずスコアレスドロー。連敗ストップという最低限の結果に終わったが、新たな選手起用もあり、これも積み上げのひとつとして今後は勝点3へと繋げたい。
試合情報はこちら
堅実vs堅実。塩試合必至のミラーゲーム
大分は守護神・濵田太郎が出場停止でゴールマウスに立ったのは天皇杯2回戦・札幌戦で好プレーを披露したムン・キョンゴン。3バックの中央には第8節・アウェイ大宮戦以来の先発となる藤原優大が入り、右にペレイラ、左にデルランという並び。1トップには伊佐耕平、シャドーには有馬幸太郎と、その相方に今節は鮎川峻で、FW3枚が前線に配置された。
大宮は右CBのガブリエウが出場停止で、これまで左で出ていた下口稚葉が右に回り、先日広島から加入したイヨハ・理・ヘンリーが左CBに入る並び。オリオラ・サンデーの欠場を受けて1トップには杉本健勇、シャドーにはカプリーニと豊川雄太が並んだ。
ここ最近は失点が続きリーグ戦連敗中の大分は、高い攻撃力を誇る大宮を迎え、今節はとにかく無失点で最低でも勝点1を取り連敗を止めることが目標となった。片野坂知宏監督は守備戦術を再度徹底し、堅守復活を期して臨む。一方の大宮は、長澤徹監督が大分のソリッドさにフォーカス。序盤は自分たちも堅実性を損ねずに隙を窺いながら、選手交代でギアを上げて勝ちに持ち込むプランだったと試合後に明かした。そんな両者が3-4-2-1同士で激突するミラーゲーム。互いに相手の隙を突き、相手にそれを許さないガチガチのバトルで、ロースコアの勝負になることは想定内だった。
じわりと大宮ペースながら大分も集中
キックオフ早々に笠原昂史のキックを高い位置で伊佐が奪って左に流れ、宇津元伸弥のクロスを鮎川が落として中川寛斗がシュートするシーンを作ったものの、その後は個々の局面で上回る大宮がセカンドボールを収めつつ、試合を優勢に運んでいく。
7分には天笠泰輝へとプレスバックした石川俊輝にボールを奪われ、杉本とカプリーニを経由して最後は杉本にシュートを許したが藤原がブロック。15分には石川とのワンツーからカプリーニの放ったシュートが枠上へ。
大分は5-4-1のブロックを構えてそれらに対応しながら、17分にはデルランのインターセプトから天笠のクロスのこぼれ球を𠮷田真那斗が狙って枠を捉えきれず。19分には藤原のフィードに抜け出した𠮷田の折り返しに伊佐が詰めるが、笠原に素早く対応された。
手堅さを崩さず好機を窺い合う両軍
25分には大分のスローインを奪われたところから豊川がスピード満点で持ち上がり、カプリーニが繋いで茂木力也がクロス。迫力のカウンターだったが𠮷田が体当たりで阻んだ。31分には茂木のシュートをムンがキャッチする。
大分のボール保持時には大宮も同様にミドルブロックを構え、大分がその隙を窺う構図。34分には藤原のクサビを茂木と競り合った宇津元が収め、自ら右足を振り抜いたが笠原に触られて枠の左へ。38分には左サイドの攻防からボールを奪って抜け出した天笠が持ち上がってシュートを放ち、これも笠原に押さえられた。
大宮は43分、ロングスローの流れから茂木のクロスに合わせた下口のヘディングシュートが枠の左に逸れ、45分、カプリーニのFKからの分厚い攻撃の中で放った小島幹敏のシュートは伊佐に跳ね返されて、試合はスコアレスで折り返す。
それぞれのストロングを生かす選手交代
後半は徐々にオープンな展開となり大分もチャンスを増やす中、両軍ベンチは選手交代でそれぞれのチームのストロングポイントを生かす戦いへと舵を切った。
大分は60分に鮎川を小酒井新大へ、68分に中川を野嶽惇也、伊佐を池田廉へと巧みにボールを持てる選手を投入。いずれもポジションはそのままで、池田が1トップに入った。野嶽が中盤の底でセカンドボールを収めてクレバーに攻撃へと切り替えるのを起点に、大分の築くチャンスがより濃厚になる。
大宮は64分にカプリーニをファビアン・ゴンザレス、豊川を藤井一志へとシフトして前線の強度を高めた。79分には茂木を泉柊椰 に代え、津久井匠海が右に移って泉が左WBに入った。
駆け引きしながらの激しい攻防が続くが、62分にはイヨハのヘディングシュートが枠を外れ、63分には小酒井のクロスが笠原に触られて、74分の杉本のシュートはデルランがブロック。81分にはファビアン・ゴンザレスがシュートモーションに入ったところで藤原がすかさず対応し、どちらも好機を得点に結びつけられない。
最後までせめぎ合いながらの痛み分け
85分、大分は疲労した有馬を屋敷優成、足をつらせた藤原を香川勇気に交代。池田を右シャドーに移し屋敷が1トップ、最終ラインは右からペレイラ、デルラン、香川の並びとなる。87分には大宮が石川を谷内田哲平、津久井を関口凱心に代えて布陣の強度を保ち、采配合戦は最終盤まで続いた。
88分には自陣でボールを奪った野嶽がカウンターで持ち上がり、小島に倒されたがホイッスルは鳴らず。逆にそこからカウンターを受け、藤井のクロスが泉に届いたところでムンと𠮷田が体を張りペレイラがカバーしてピンチをしのいだ。アディショナルタイムには𠮷田に対して主審の大橋侑祐が熱くなるシーンもありつつ、90+2分には池田が送った浮き球に抜け出した屋敷が市原吏音のマークに遭いながらシュートを放ったがわずかに枠の左。ついに両ゴールネットは揺れないままタイムアップを迎えた。
優勝争いに絡み続けたい大宮の5戦連続引き分けと、上位へと浮上したい大分の8戦ぶりのクリーンシート＆連敗ストップ。痛み分けとは言いながら、大分のほうがやや手応えを得たスコアレスドローだったかもしれない。小酒井や池田の調子が上がってきたことも含めて新たな選手起用のオプションも見出しながら、この一戦を次こそ勝利へと繋げていきたい。
