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試合レポート

相手の勢いに後手に回った前半。後半は追撃するも精度不足で得点ならず

 

狙いをもって入った試合だったが、出足の早さや球際の強度で相手に上回られた前半。後半は戦い方を変更して好機を築くもゴールは割れず、手痛い3連敗となった。

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前節から8人を入れ替えてスタート

約3週間の中断期間を挟んでの今節、片野坂知宏監督は前節の鳥栖戦から先発8人を入れ替えてスタート。移籍後初先発のグレイソンを頂点に、シャドーには有馬幸太郎と調子を上げている鮎川峻を配置した。天笠泰輝とボランチを組んだのは榊原彗悟。左WBには薩川淳貴が今季初先発。右CBには本職では初先発となる戸根一誓が入った。この起用からは、ハイプレスをかけてくる今治の背後へと早めにボールを送り、グレイソンを軸に有馬と鮎川でゴールに迫る狙いが見えてくる。
 
5人の外国籍選手を擁する今治は、今節はウェズレイ・タンキがメンバー外に。パトリッキ・ヴェロンはベンチスタートで、1トップにはマルクス・ヴィニシウス、2シャドーには横山夢樹と持井響太が並ぶ3-4-2-1の布陣だった。
 
コイントスで勝った今治はエンドを入れ替えてキックオフ。当初の狙いどおり、相手のプレスの背後へと長いボールを送る大分だが、競ったあとのセカンドボールを拾えない。出足の早い今治にボールを収められ、開始早々に中盤まで下りたヴィニシウスにドリブルで前線まで運ばれるとシュートを許した。こちらもサイドの連係からクロスを送るが相手にクリアされてしまう。6分、自陣深くで薩川のパスが新井光にカットされ、ヴィニシウスとのワンツーで抜け出されてゴールネットを揺らされた。

 

前半の狙いを体現できず後半は戦術変更

10分にはサイドから押し込んだところから榊原の縦パスに反応した有馬が右足を振り、相手に当たってサイドネット。手数をかけずに前を目指す矢印は描くのだが、精度不足で相手に奪われ、特に中盤でロストすると、ヴィニシウスが軸となる今治のほうが強く推進力を醸した。18分には榊原の左CKにデルランが合わせたが枠外へ。29分、天笠が自ら長い距離を運んでエリア内にまで進入したが、人数をかけて相手に潰されシュートにまでは至らなかった。
 
鮎川から薩川への展開、有馬のポストプレー、ペレイラのカバーリングなど随所に光るプレーは見えるものの、それが攻撃の一連へと繋がっていかない、もどかしい前半となる。41分にはルーズボールを収めたダニーロにミドルシュートを許し、45分にも崩されて、だが持井のシュートは枠の右へ。
 
早めに前線にボールを送ってもセカンドボールを拾えない現状を踏まえ、片野坂監督は後半から戦い方を変更した。ボランチを縦関係にし、榊原がアンカーに入って天笠が前へ。立ち位置を変更することで相手とのミスマッチを生み出して地上戦でボールを前進させるかたちにすると、前半ほどプレスをかけてこなくなった相手を押し込んでいく。一方の今治は上手く自陣を固めながら前がかりになった大分の背後を突いてカウンターを狙う図式へと移った。

 

地上で動かして好機も築くのだが…

𠮷田真那斗の仕掛けから右CKを獲得すると、47分、榊原のキックをグレイソンが落として鮎川がボレーでゴールネットを揺らしたが、わずかにオフサイドで得点は認められず。49分にはペレイラがヴィニシウス・ディニスへの激しいタックルからボールを奪って有馬がグレイソンに託し、その落としから有馬が狙ったが枠の左へ。
 
56分には今治の左CKからヴィニシウスにファーで合わせられる。サイドネットを揺らすにとどまったが、ついていた天笠が吹き飛ばされる体の強さを見せつけられた。その次のCKの流れからの横山のシュートは濵田太郎が正面でキャッチ。58分には薩川のクロスがゴール前に入ったところでグレイソンが巧みに相手をブロックしたが、素早くクリアされて有馬はシュートを打てない。
 
62分、大分はデルランを2年半ぶり復帰の三竿雄斗に、薩川を宇津元伸弥にと左サイドを刷新。65分には左サイドの連係から三竿のクロスのこぼれ球を𠮷田がもう一度ゴール前に送り、グレイソンが頭で合わせたが枠の左へ。

 

采配合戦も白熱しつつ1点が遠い終盤

67分にはヴィニシウスの浮き球に抜け出した横山に、飛び出した濵田の頭上を越えるループシュートを許したが、弾道はわずかに左に外れて命拾い。68分には相手を押し込んだ状態から戸根の縦パスを受けた榊原のスルーパスを宇津元が収め、だがシュートは打てずに左に展開して三竿のクロスから有馬がヘディングシュート。これも枠外へと逸れた。
 
68分には今治が横山と持井の2シャドーを藤岡浩介と山田貴文にチェンジ。大分は72分、鮎川に代えて伊佐耕平を投入すると、有馬が左に移り伊佐が右シャドー。実質、グレイソンとの3トップ状態で追撃態勢を強めた。74分には今治が梅木怜に代えて笹修大を送り込み、笹は最終ラインに入る。さらに81分には新井に代えて梶浦勇輝。
 
すると84分にビッグチャンス。榊原がゴール前に送ったボールがクリアされたこぼれ球が伊佐の足元に収まり、すかさず持ち直した伊佐はちらりとゴールを確認して右足を振り抜く。シュートは枠を捉えたが、立川小太郎の横っ跳びに掻き出されて、得点ならず。

 

攻撃面の課題はまだ残っている

86分には疲労の見える天笠と榊原を池田廉と小酒井新大に代えて最後の追撃にかかる大分。88分には天笠の浮き球に抜け出した宇津元のマイナスの折り返しに伊佐が詰めてシュートしたが、体を投げ出した相手にブロックされた。
 
5分のアディショナルタイムにはペレイラも上がったパワープレーで1点を追うが、今治もゴール前を固めて簡単にはボールを入れさせてくれず。今節も最後までゴールは割れず、0-1で終了して3連敗となった。
 
失点に繋がった薩川のパスミスも確かに不用意だったが、前半の狙いを上手く遂行できなかった点が気になった。出足で上回る相手にセカンドボールを拾われがちな状況ながら、シンプルに5分のボールを送り続けても流れを引き寄せるのは難しい。結局、ハーフタイムに指揮官からの指示で戦術を変更することになり、そこからは好機も築けたが、クロスの精度とフィニッシュ場面のひと工夫の不足が響いた。
 
周囲の期待に応えられなかった今節。ホーム連戦の次節・富山戦に向け、改善のためのトレーニングは続く。