勝点3が欲しかった試合。セットプレーで2失点し1点返すも届かず

1節でも早くJ2残留を確定させるためにも、勝点3を積みたい試合だった。精彩を欠く山形に対し多くの時間を優位に進めながら、セットプレーで2失点。追撃もFKから1点を返すにとどまった。
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前節から3人が入れ替わってのスタート
熊本と対戦する山口が負けという結果次第では最低勝点1でもJ2残留を確定させることが出来たシチュエーション。勝点3を積めれば山口が引き分けでも、その目標には手が届いていた。だが、終わってみれば山形に1-2で敗れ、山口は熊本に1-0で勝利。今節は12位から17位までの6チームが全敗で、順位は15位のままながら、降格圏との勝点差は再び6へと狭まった。
前節に続きグレイソンが出場停止なのに加えて榊原彗悟、ペレイラ、伊佐耕平が欠場した今節。前節までのようやく安定してきた戦いぶりをメンバーが代わっても継続できるか否かが、今節のひとつのポイントでもあった。
スタートから互いのスタイルをぶつけ合うかに見えた試合。5-4-1のブロックを構える大分を山形が攻略する図式になるかと思われたが、まもなく大分がシステムのミスマッチを生かしながらボールを動かして前進する様相が見えはじめた。

優勢に進めながらセットプレーで2失点
山形は9分、出場停止の國分伸太郎に代わって先発していた坂本亘基が足を痛め、早くも榎本啓吾との交代を余儀なくされるアクシデント。大分は山形のハイプレスをかわしつつ、サイドチェンジも織り交ぜてテンポよくボールを動かして攻め、セットプレーを含めて複数のチャンスを築くが、山形のゴール前の守備も堅く、なかなかこじ開けることが出来ない。11分には野村直輝のクロスをエリア内に進入していた茂平が打ちきれず、鮎川峻もそのこぼれ球に詰めきれなかった。
そこからのカウンターに帰陣中の戸根一誓が対応するなど守備もそれほど危なげなく進めていたのだが、15分にセットプレーから先制点を奪われる。岡本一真のロングスローを城和隼颯が逸らし、最後は土居聖真に頭でゴールへと押し込まれた。
23分には茂がボールを収め天笠泰輝がクロスを送るが三竿雄斗にわずかに合わず。34分には相手陣中央でこぼれ球を拾った戸根がミドルシュートを放ったが、クロスバーに弾かれた。39分には三竿からのパスを鮎川が落としいい形を作るもデルランのクロスは大きく枠外へ。もどかしい時間が続いていた前半終了間際、野嶽寛也のFKのクリアボールを氣田亮真がゴール前に送ってディサロがシュート。その強い弾道を一度はムン・キョンゴンが防いだが、こぼれ球を寺山翼にゴールへと蹴り込まれて追加点を奪われた。

三竿から戸根の美ゴールで1点を返すも…
2点のビハインドを背負ったチームはハーフタイムにもっと相手のポケットを取りにいこうと示し合わせ、天笠と池田廉のポジションを入れ替えて後半をスタート。一方の山形も、リードはしているものの上手く攻めきれずにいる課題を修正するために、榎本を吉尾海夏に代えると吉尾を右に、氣田を左に配置転換して仕切り直した。
52分、野村が倒されて得たFKを三竿が蹴り、回転を加えられたボールは弧を描きながらゴールの枠を捉えた。前に飛び込んだ戸根が頭で軽く触れて1点を返す。
竹中穣監督は56分、茂に代えて負傷から復帰した𠮷田真那斗を投入。展開としては優勢ながらいまひとつ迫力を醸し出せない大分と、リードはしていても攻めきれない山形。66分にはセカンドボールを拾ったディサロ燦シルヴァーノに足を振り抜かれたが、弾道は枠の右に外れた。

押し込みながらも最後を崩せない
66分には天笠と三竿を有働夢叶と薩川淳貴に2枚替え。再び池田がボランチに戻り、有働が右シャドーに入った。途中出場の選手たちはそれぞれに負傷から復帰して調子を上げつつあるメンバーだが、やはり全体での積み上げが乏しいせいか、戦い方にそれまでほどの一体感は感じられなくなる。
一方の山形は再び吉尾と氣田の左右を入れ替え、79分にはディサロと土居を堀金峻明とベカ・ミケルタゼに2枚替え。前線のフレッシュさを保ったが、その後も追撃する大分のペースが続く。だが、CKは掻き出され、デルランのヘディングシュートは渋谷飛翔にキャッチされ、クロスも合わない。87分には疲労していた鮎川を宇津元伸弥に、池田を落合陸にチェンジしたが、その交代も後手に回っていたか。
出場直後に宇津元が相手のミスからカウンターチャンスを迎えたが、エリア内にまで進入するもののパスは通らず。宇津元が仕掛けて得た野村のFKも精度不足で、山形を攻め立てながら大分はゴールを脅かすことが出来ない。

不完全燃焼感の強い一戦に
結局、90+1分に氣田を下げて川井歩を入れ、守備を固めた山形を前に、薩川のFKも𠮷田のロングスローも得点に結実することはなく、2-1で逃げ切られるかたちとなった。
試合後には横内昭展監督もセカンドボールを大分に拾われて速攻を繰り出せず、遅攻になれば大分のブロックを攻略できずに「ゲームの構図的には大分のペースだった」と振り返ったが、大分もいまひとつ攻めきれない印象で、最終的にはセットプレーでの得点/失点が勝敗を分けるという、ともに不完全燃焼感の強い一戦となった。勝点を積めなかった大分にとっては、より痛い結果だ。
ここ数試合でぐっと安定感の増していたチームだったが、やはり選手が入れ替わると、それぞれの長所は以前に比べれば強く輝くようになってはいるのだが、細部における呼吸や意思疎通に関しては、どうしてもまだ様子を見ながらという感じが残っているようだ。戦い方が定まるまでに時間を要したシーズンに立ちはだかる現実的な側面ということだろう。全体のスタイルとしてはブレずに戦えたので、細部を継続的に高めながらの残り3試合で、確かな結果を求めていきたい。



