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試合レポート

アグレッシブさ回復を期すも新体制の初陣飾れず。今季最多失点で敗れる

 

キックオフ直後から攻守にアグレッシブさと前への矢印を表現していったが、次第に相手の強度に押されてトーンダウン。その後もセットプレーで失点を重ね、今季最多の4失点で敗れた。

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明確に見えた変革の意思

指揮官交代という苦渋の決断に踏み切り、竹中穣新監督の下、一丸となって残り12試合で全力を尽くすと誓ったチーム。その初陣となる今節、竹中監督は前節の甲府戦から、メンバーとその配置を変更して挑んだ。
 
ペレイラと出場停止明けのデルランに挟まれて、今季初めて3バックのセンターを任されたのは戸根一誓。ボランチで出場を重ねてきた天笠泰輝が左シャドーに入り、今季初先発の小酒井新大が、榊原彗悟とダブルボランチを組んだ。
 
勝てていない現状を変えたい、好転させたいという意思は、立ち上がりから明確に見えた。システムは3-4-2-1のまま。ただ、これまではミドルブロックを構える守備でリスクを抑えていたが、今節は果敢に球際へとプレスに行く。はっきりしたマンツーマンディフェンスと縦方向へと勢いよく繰り出す攻撃を強みとするいわきに対し、真っ向勝負を挑んだかたちだ。

 

序盤の好調も失点でトーンダウン

攻撃はこれまでと同様に1トップのグレイソンに当てていたが、前節までのように高い位置での空中戦ではなく、やや低く鋭い弾道。グレイソンはそれを頭で逸らすようなかたちで、自身の背後のスペースへと流す。これにより天笠や有馬幸太郎が勢いをもって前向きにゴール前に入っていける形を作ろうとしていた。グレイソンをぴったりとケアする堂鼻起暉とともに、いわきの守備陣も人数をかけて潰しに来るが、何度か天笠が裏抜けするうち、7分にはグレイソンの逸らしに宇津元伸弥が抜け出してクロス。相手にマークされたまま芝に足を取られ難しい体勢からアウトサイドで送ったボールは、有馬が相手の間で収めたが、こちらもいい体勢では打てず、シュートは枠を捉えきれない。
 
それでも天笠や宇津元の走力を生かしてチャンスを築いていきたい時間帯。だが、自陣での対応が後手に回って与えた右CKから、13分、先制点を奪われる。デザインされたCKは山下優人が送った低いマイナスのボールを中央から柴田壮介がシュート。最も近くにいた榊原は五十嵐聖己にブロックされて柴田に寄せることが出来ず。それでも人数は揃っていたのだが、弾道はその隙間をすり抜けてゴールネットを揺らした。
 
勢いづくいわきに押されながらも23分には天笠がセカンドボールをダイレクトで送ったスルーパスに宇津元が抜け出して折り返し。ニアで有馬が詰めたが、スライディングした堂鼻に掻き出された。

 

徐々に相手に上回られ2失点目

徐々にいわきの出足やマンツーマンの球際に上回られながら、攻撃の形が作れなくなっていく大分。29分には中盤でルーズボールを奪った榊原が中央を駆け上がる。有馬が右に開きながら相手をつり出してコースを開けたが、勢いに乗って放ったシュートは佐々木雅士に押さえられた。榊原は36分にも有馬と協力してボールを奪いミドルシュートを放ったが、これも佐々木に横っ跳びで掻き出される。
 
39分には五十嵐のクロスのこぼれ球に石渡ネルソンが走り込むが、濵田太郎が飛び出して対応。そこから続いたいわきの3本の右CKにも粘り強く対応していたのだが、前半アディショナルタイムに2失点目を喫する。ゴール前で熊田直紀のパスを受けた山下が右の五十嵐に出すと、五十嵐の右足弾はゴールニア上へと突き刺さった。大分の守備は緩く、奪いきれないばかりか相手の精度を削ぐことも出来ず。45+2分に2-0に突き放されて折り返すこととなった。

 

システム変更も守備の甘さから3失点目

55分、竹中監督は天笠を落合陸、宇津元を茂平に2枚替え。相手に攻め込まれながら水際でペレイラが体を張ってしのぐ展開が続いた。63分には田村雄三監督が山中惇希を加瀬直樹、山口大輝を田中幹大にチェンジする。
 
65分には榊原のクロスのこぼれ球を有馬がシュート体勢へと強引に持ち込むが、五十嵐に素早く寄せられて打てず。67分には相手の左CKから大ピンチ。山下のクロスに熊田が飛び込んで頭で叩きつけたが、バウンドしたボールはわずかに枠の外へ。
 
竹中監督は69分にグレイソンを伊佐耕平に代え、有馬との2トップに変更。その下には落合と榊原が並び、小酒井がアンカーの位置となった。70分には中盤でのロストから石渡のカウンターが発動。ペレイラが対応して辛くもことなきを得た。
 
だが、71分には左CKの流れから加瀬のスルーパスを五十嵐が低いクロス。小酒井の堂鼻への寄せが甘く、ファーで簡単に押し込まれて3点目を奪われてしまった。

 

90+2分に喫した4失点目

74分には堂鼻を山田裕翔、深港壮一郎を白井陽貴といわきがCB2枚をチェンジ。77分には落合が倒されて得たFKを榊原が蹴り、伊佐が合わせたが枠の上に逸れた。79分には小酒井が見定めて送ったクロスに有馬が飛び込むが、加瀬のマークにより阻まれてしまう。
 
85分には疲労したデルランとペレイラを三竿雄斗と藤原優大に代え、最終ラインは藤原が中央、戸根が右の並びに。あきらめずに攻める大分だが、いわきは90+1分、山下を大西悠介に代えて時間を使う。そして90+2分、大西のFKに山田が頭で合わせていわき4点目。熊田と有馬の競り合いの背後で死角になったのか戸根の山田への対応が遅れ、フリーで打たせてしまった。
 
指揮官交代というカンフル剤で流れを変えたかったところだが、終わってみれば今季最多の4失点で黒星。ベース部分でじわじわと相手に上回られ、力負けした試合を終えて、竹中監督は「完敗です」と唇を噛んだ。
 
前への勢いやアグレッシブさを前面に打ち出し攻撃的な選手起用と配置を敢行したことで、得られたものもある一方で、守備に緩みが出て失点を重ねた。この内容と結果を受けて、次節、チームはどのような戦い方を選択するのか。今季残りは11試合だ。

イメージ変わりつつ元気でした