積み上げが結実して4試合ぶりの白星。竹中監督体制2勝目はダービーで

今季ラストの九州ダービー。大分からも2500人のサポーターが駆けつけたえがお健康スタジアムで、互いの狙いをぶつけあった熱戦は、大分の4試合ぶりの勝利で幕を下ろした。
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互いの守備が際立つ展開に
大分は出場停止のグレイソンの位置に、伊佐耕平が11試合ぶりに先発。熊本は2トップの一角に半代将都が入って、ともに前節からFW1人を代えてのスタートとなった。
ミドルブロックを構えながら連動して球際へも寄せる大分と、しつこいまでのマンツーマンディフェンスで相手に自由を与えない熊本。それぞれに特徴的な守備を攻略しようと、大分は相手のマークを剥がすためにあの手この手を凝らし、熊本は得意のスピーディーなパスワークを繰り出すが、どちらも守備のほうが上回るゲーム展開となる。
立ち上がりに相手陣に攻め込んでCKを獲得し、好機を多く築いたのは熊本。14分には左CKの流れから最後はエリア内で袴田裕太郎が右足を振って、ディフレクションの末に枠の上へ。17分には大本祐槻の突破を起点に藤井皓也が関わって半代がクロスを送ると、これはムン・キョンゴンがパンチングでしのいだ。

前半からセットプレーが分水嶺となる予感
熊本は25分、李泰河が負傷して大西遼太郎と交代するアクシデント。その後も熊本のチャンスが続く。大分は熊本のマンツーマンディフェンスに遮断されてなかなか攻撃の形を作れずにいたが、前線からの連動したプレッシングにより相手陣で茂平のロングスローを獲得すると、さらに右CKのチャンスを得て、それが最初のビッグチャンスへと繋がる。
35分、三竿雄斗の右CKはデザインに忠実にファーの伊佐に渡ったが、その折り返しがデルランに深く入り、左腿で押し込もうとしたが半代と佐藤史騎に掻き出される。その1分後には熊本も絶好機。右に流れていた藤井のアーリークロスをゴール前で胸トラップした塩浜遼がすかさず右足で狙ったが、弾道はわずかに上に逸れた。45分には天笠泰輝のスルーパスに抜け出した池田廉が自ら持ち込んでシュートを放ち、枠の右へ。45+3分の榊原彗悟のFKは枠の左へ。
互いに潰し合いの要素が強く、セットプレーでの得点がカギになりそうな堅い展開の中でも、回数は少ないながらそれぞれにチャンスを築いて試合は0-0で折り返した。

右サイドのユニット交代で変化をつけた
熊本は古長谷千博を豊田歩に代えて後半をスタート。49分には熊本が野嶽惇也から3人がかりでボールを奪うと塩浜が持ち込んでシュートも枠の左へ。
53分、榊原が倒れ、脳震盪疑いで野村直輝と交代に。天笠が左ボランチに落ち、野村が右シャドーに入った。竹中穣監督は58分には茂を宇津元伸弥にチェンジ。結果的に榊原のアクシデントがきっかけにはなったが、野村と宇津元を後半の早い時間帯に投入することはあらかじめ準備されていたプランだったという。
そこからもしばらく熊本ペースが続き、62分には藤井の左CKのクリアボールに反応した豊田にシュートされるが池田がブロック。クロスやCK、ゴール前への浮き球と攻められる中でムン・キョンゴンが落ち着いてハイボールを処理し、岡本拓也がカバーリングして、あまり危なげなシーンは作らせない。

元湘南ホットラインで破った均衡
69分、熊本が半代に代えて大﨑舜を投入すると、大分は池田を有働夢叶、伊佐を鮎川峻に2枚替え。これにより熊本は長身ターゲットを設定し、大分は背後を狙う意識を強めて試合は終盤へと傾れ込む。
野村と宇津元、ペレイラの絡む右サイドのコンビネーションで宇津元がスピードを生かしラインブレイクする場面を作ると、それによって得た右CKが、この試合唯一の得点へと繋がった。ゴール前の密集へ向かって放たれた三竿のキックが佐藤に触られたところを、ファーから入って頭で捩じ込んだのは岡本。夏に加入した元湘南コンビのホットラインが、ついに堅い試合の均衡を破った。
その後も右サイドを起点に好機を多く生む大分。有働や鮎川もアグレッシブに前線を活性化させる。77分にはペレイラが足を痛めて戸根一誓と交代した。

湧き上がるように攻めた終盤
79分にはデルランの持ち上がりから三竿のクロスを宇津元が折り返し、有働が頭で流し込もうとするも小林慶太の素晴らしいカバーリングに阻まれる。82分には相手のFKの流れから天笠が浮き球を送って鮎川がカウンターで持ち上がるが、ゴール前に走り込んだ宇津元が倒されるもホイッスルは鳴らず。
85分には鮎川のプレスバックでボールを奪い、天笠が繋いで野村が溜め、野嶽のドライブから右の宇津元に展開。ハーフスペースを駆け上がった戸根のクロスへと走り込んだ鮎川がわずかに合わず、その流れからの戸根のシュートは枠の上。追加点には繋がらないものの、不調だった頃とは見違えるような攻撃が次々に繰り出される終盤となった。
一方の熊本はビハインドになってから焦りが出たのか、ひとつひとつのプレーが雑な印象に。90+1分には藤井と大本を竹本雄飛と飯星明良に2枚替えするが、追撃は精度不足で、大分に落ち着いて対応される。7分のアディショナルタイムを乗り切って、榊原の脳震盪疑いによる交代枠+1はともに残したまま、残留争い中のダービーは大分の勝利で幕を下ろした。勝点3を積んだ大分は藤枝を抜いて15位に浮上。富山との直接対決を制して18位となった山口との勝点差を9に広げた。





