今季の課題が揃って噴出した前半。残留争いは厳しい状況に

前半は今季の課題のオンパレードといった内容で2点ビハインドに。1点を返したところで流れを引き寄せたかったが再び相手にペースを持って行かれた。残留争いは依然、厳しい状況にある。
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復活したミシャ式に翻弄された立ち上がり
今節が1日目に開催された大分にとって、2日目の他会場の結果がこれほどまでに気になる状況に陥ってしまったことを、まずは反省したい。
2試合出場停止明けのグレイソンの復帰をはじめ前節欠場のペレイラや負傷明けの中川寛斗のベンチ入りなど、期待感をもって入った試合だったが、立ち上がりの様相は大きくそれを裏切るものになってしまった。
前節、ブロックを構えた状態で重心が低くなりすぎたこと受け、その改善を期して臨んだものの、GKを含めたビルドアップから数的優位を作り出す相手を捕まえることが出来ず、最初から勢いを受けっぱなしで、9分にいきなり失点を喫する。高嶺朋樹のクサビを受けた荒野拓馬がスパチョークとのワンツーで抜け出して悠々とゴール。大分はすべての局面で後手に回り、手出しできなかった。
かつては自分たちもミシャ式を源流とするカタノサッカーというポゼッションスタイルで一時代を築いた大分だが、時が移りスタイルが変わって、よく知っていたはずのミシャ式に対応できない。選手たちはすぐにピッチに集まり、まずはプレスを控えてスペースを与えない安全策で前半を乗り切ろうと話しあった。

同じ課題を繰り返してしまった前半
だが、そうすると今度は押し込まれて防戦一方になる。ボールを奪っても相手の守備への切り替えが早く、1本目のパスが味方に通らない。シャドーが後ろに引っ張られて孤立したグレイソンはボールを収めきれず、ただ相手の攻撃をしのぐだけの苦境。今季、多くの試合で何度も見てきた光景が、最近は改善されたはずと思っていたのに、またもピッチに描き出された。
個々の局面で相手のほうがスピードやテクニックで上回っており、地力の差が重くのしかかった。中央のスペースを消してサイドへ追い出そうとするのだが、サイドはサイドで相手のローテーションに振り回されてしまう。対人守備では高い強度で貢献するデルランやペレイラだが、その特性からどうしても相手に引っ張られてしまうところが、この試合では相手の得意とするところを引き出してしまうことになった。結果、左サイドでは気持ちよく攻め上がってくる近藤友喜 に三竿雄斗が必死で対応する場面が続く。
それでもなんとか1点ビハインドで乗り切れていればよかった。22分にはスパチョークとのワンツーからのアマドゥ・バカヨコのシュートをムン・キョンゴンが掻き出してしのぐ。35分には高嶺が直接狙ったFKを、またもムンが横っ跳びでセーブ。だが、39分、ムンのパスを受けた天笠泰輝のトラップが大きくなったところに高嶺がタックル。後ろから倒された天笠だったが笛は鳴らず、イージーミスからの2失点目となった。

3枚替えからの廉ゴールで流れを掴みたかったが…
後半スタートに際し、竹中穣監督はグレイソンを伊佐耕平、野村直輝を有働夢叶、茂平を𠮷田真那斗へと3枚替えを敢行。伊佐の走力で相手のビルドアップを限定しつつ、シンプルに前への推進力を出せる構成へと変更した。
それが奏功して54分には1点を返す。右サイドで有働がボールを収め、伊佐が落として天笠が中央へと浮き球を送ると、飛び込んできた池田が流れるような早業のトラップからのシュートでゴールネットを揺らした。
そこからやや大分へと流れが傾いた、その時間帯に同点に追いつければよかったのだが、精度不足のうちに今度は札幌が62分、長谷川竜也を宮澤裕樹に交代。荒野が一列上がり宮澤がボランチに入ったことで札幌のボール保持に落ち着きが生まれ、大分の前への勢いが削がれることになった。

ムンのファインセーブに救われつつも…
72分にはバカヨコの浮き球に反応した荒野のシュートにムンが必死で手を伸ばしポストへと逃れる。その直後のスローインの流れから近藤のパスを受けた荒野のシュートにもムンが対応。
再び攻勢を強めた札幌は74分、スパチョークを青木亮太、荒野を白井陽斗に2枚替え。そして77分、右CKからの西野奨太のシュートのクリアボールが高嶺の元へとこぼれ、ダイナミックに振り切った足から放たれた弾道が札幌の3点目へと結実する。またも2点差となったことで、以後は大分の勢いが落ちた。
大分は79分に野嶽惇也を落合陸に代えるが、大勢は変化せず。87分に近藤を中村桐耶、高嶺を大﨑玲央に代えた札幌に最後まで振り回され、90+5分にはバカヨコのシュートにムンが体を張って岡本拓也が蹴り出すなどしながら、なんとか2点差で試合を終えた。
翌日、山口が先制しながら土壇場で磐田に逆転負けを喫したため、残り2試合にして降格圏と勝点6差という状況になったことは、大分にとっては不幸中の幸いだったと言える。なんとしても残り2試合で勝点を積んで、下位を突き放して残留を掴み取りたい。




