TORITENトリテン

闘う言葉

片野坂知宏監督「金沢は徹底されていた。勝ち点1が取れたという感じ」

 

【記者会見】

今日はこれまでのナイターと違って午後3時キックオフということで、入りがわれわれにとって良くないゲームになった。金沢さんが前節の名古屋戦、ホームで良い勝ち方をして、またホームで迎える今節、われわれに対してどういう形で来るかということを考えた中で、予想は、前からプレッシャーをかけてくるのではないかということで準備をしていた。だが、意外としっかりブロックを作って構えて来られて、少し難しさがあった。

その中で、球際、一瞬のところ、入りが悪いところで失点してしまって、本当に難しいゲームになった。ボールは自分たちが保持して動かすことはできたが、ただ後ろで回しているだけで、相手にとっては見やすく怖さのない回し方だった。やはり引いて守る相手を崩すのは難しいと感じた。そういう相手を上回れるようにしていかないと、勝ち点3を取るのはなかなか難しい。

午後のキックオフ、前半の失点といった展開の中で、前半は若干、重さがあった。後半はもう少しギアを上げて、もっと自分たちらしい戦いをしようと選手たちを送り出したのだが、やはりクオリティー、判断、いろいろな面で、今日は勝ち点3に値しないゲームだった。伊佐の素晴らしいシュートで1点こじ開けることができて、勝ち点1を取れたのが、われわれにとっては本当に良かった。

アウェイで勝ち点3を取れればいちばん良いのだが、いまの状況、今日の展開では、勝ち点1でも悪くなかったのではないかと思う。金沢までファンやサポーターの方々がたくさん来られて、なんとか勝ち点1を得ることが出来た。本当は3をプレゼントしたかったのだが、また次節、アウェイで岡山戦があるので、そこでの勝利を目指してしっかり準備したい。

——難しい展開の中、選手やシステムを変えて修正を図っていた。どういう意図だったのか。

金沢さんがどういう形で守備をしてくるか、メンバー表では4-4-2の形だったが、ゲームの中ではおそらくわれわれに対して5バック気味で来るのではないかと予想していた。その中でも、ある程度、前からプレッシャーをかけてくるだろうと。そのために山崎くんを先発にしたのかなと思っていた。

だが、意外と、ハーフウェイラインあたりまで引いて、しっかりとオーガナイズされてきて、われわれに対して良い準備をされてきたなという、柳下監督らしい戦い方だった。

ある程度そうやって守られたときにも、マッチアップしたときにも、個人で駆け引きしたり相手の逆を突いたりといった判断と質のところで上回るしかないというトレーニングをやっていたのだが、やはり公式戦のプレッシャー、アウェイでのデーゲーム、ピッチコンディションと、いろんな状況の中で難しさがあった。

0-0の状況で後半に入れたのだったらもう少し違うやり方もあったかもしれないのだが、ビハインドになったので、後半は点を取りに行かなくてはならない。金沢さんが少し運動量が落ちたタイミングでこちらもメンバーをスイッチして、伊佐の個人技でのシュートで1点入れたのだが、金沢さんはしっかり守ってカウンター。ある程度構えられていたので、後ろに人数がいるよりは、4バックにしてサイドから数的優位を作ったり、中の枚数を増やしたりして点を取りにいかなくてはならないと考えて4-4-2にした。

それでも、金沢さんは4-4-2に対しての守り方もしっかりされていたので、本当に難しく、なかなか決定機というところまで行かなかった。途中出場の伊佐も得点したし、シキーニョも左サイドから再三仕掛けてクロスを上げてくれるなど、狙いをもってやってくれた。そうやってなんとか勝ち点1を取れたことを、良しとしなくてはならないのかなと思う。


【囲み取材】

——林選手を先発起用した意図は。

コンディションがだいぶ上がってきているし、ひさしぶりの先発で気合いも入ってやってくれるんじゃないかということと、さんぺー(三平和司)・ごっつぁん(後藤優介)との関係が大事になるかと思った。おそらく5バック気味にマッチアップさせてくるだろうと予想する中で、3人は上手くポジションチェンジしたりスペースを見つけてプレーしてくれたりするんじゃないかと。

(林)容平は前線で体を張って起点になってもくれるので、伊佐よりも容平のほうが、相手が構えていても前から来ても、どちらでも対応できるかなと考えた。

——これまでとは違う形で相手に研究されて封じられた。

5-3-2で来ることは予想していたのだが、構えてくるというのは予想しておらず、もっと前からハメてくるんじゃないかと思っていた。うちが幅と深みを使いたいところで幅を消してきて、後ろから入ってくるフィードに対して厳しく来られた。

今日は本当にフク(福森直也)とノリ(鈴木義宜)のところからのフィードがすべてというか、あそこがどういうふうに数的優位を作るか、どういうボールを前線に入れるか、前線の選手がどういう形でそのボールを受けたり動いたり出来るかというところが大事だった。

前半に失点したので、後ろから駆け上がるとかフィードとかは、右からなら(岸田)翔平のほうがいいのかなと、ノリと翔平を代えようかなとも考えたりした。そうすれば翔平とフクと、どちらかが前に行けるかと。で、中美くんが左サイドにいたので、対峙するのが翔平のほうが、中美くんのスピードに対してはいいのかなと、ちょっと考えていた。

でも、失点していたので、後ろを4枚にしてSHがインサイドを取ってSBが高い位置を取れば、そういうところで数的優位を作ったり、そういうところからブラインドサイドを突いたり背後を取ったり出来る。また、2トップに変えることによって相手がどう変化してくるか。4-4-2で来るんじゃないかと思い、そう来たら、バイタルとか背後とかでの駆け引きにおいて、能力の差が出てくる。それで、シンプルに4-4-2にして、向こうも4-4-2になったときにそれを上回る動かし方をすれば、チャンスになるかなと考えた。

——4-4-2にしてからは距離感も良くなり、セカンドボールも拾えるようになった。

翔太・惇のところと、さんぺー・容平のところでも、容平もしっかりさんぺーとの関係を見て背後を取ったり起点を作ったりしてくれていた。

——予想どおり相手も4-4-2にしてきた。

カウンターで宮崎くんのカットインなどを狙っているんだろうなと。また杉浦くんとかも右SBに入れてくるのかなと思って、スピードに対峙してくるのかなと思っていた。

——相手の攻守の切り替えがすごく早かった。

徹底されていたと思う。しっかり構えて速い攻撃。前から行かずに引く、という。われわれが4-1-4-1で動かしたり幅と深みを持って攻めるということはスカウティングされていて、まずその幅を消す。ノリとフクにはある程度持たせてもいいが、そこからの配球に対しても、必ずここに入ってくるからと指示が出ていて、マッチアップさせて、奪え、行け、と。

そういう中でも自分たちらしくプレーできるよう、背後に入れるボールの質であったり動き出しのタイミングであったりについては、もっと高めていきたい。

——その狙いは見えたのだが、もう少し、何が足りなかったのか。

もっとテンポを出したかった。テンポ良く、相手のプレッシャーが来るまえにマークを外して、外して、外して、というふうに。ただ、ピッチがあまり良くなく、乾いていてボールも走らなかった。

あれだけ構えてくる相手に対して、止めて考えて蹴ったり、狙われているところにパスを出したりするとカウンターの餌食になるので、そうならないように、狙われないような動かし方と受けるタイミングを合わせていかないといけない。ああいう構えた相手をチームとして崩すのはタイミングと判断と質が大事になる。

あとは得点場面のように個人のところで仕掛けて逆を突いたりシュートに強引に持っていったり。シュートレンジでチャンスがあればミドルシュートも打ち切れと言ってあった。伊佐も得点の前に惜しいシュートが1本あった。伊佐は練習を見ていてもパンチ力があるし、結構強引に打ちに行くタイプで、その良さが出たと思う。迫力もスピードもあるので、途中から出るのは相手がイヤがるだろうなと。特に今日のように後半、相手の運動量が落ちているときなどは。

——失点シーンはいくつものミスが重なってしまった。

本当にもったいない。相手は球際で戦ってくるし、そういうところで上回られてはダメだよと重々言ってあったのだが。まず球際で負けてはいけないし、プレーが止まったし、そこで数的優位のような形になって、動かされて後手、後手、後手…。あれは絶対にやってはいけない失点だった。まだフレッシュな状態だったのに…。

ただ、中美くんを左SHで使ってきたのは、本当にイヤなポジションを取ったり、前を向けば仕掛けられるしスピードもあるしといろんなことが出来るのでイヤだった。

——終盤は猛攻したが、この試合は「勝ち点3が取れなかった」のか、「勝ち点1が取れて良かった」のか。

「1が取れた」という感じ。もちろん勝ち点3が取れるようなクロスが入ったりチャンスがあったりもしたのだが、われわれも攻め疲れがあったのか、なかなかクロスに飛び込めないところがあった。人数はいたのだが、どうしても足が止まってクロスに合わせられなかったりしていた。

構えてくる相手に対してはやはりサイドからの攻撃が有効だと思っていて、シキ(シキーニョ)と(松本)怜が左右で相手を上回ってくれていたのだが、最後でなかなかシュートまで持っていけなかった。押し込むことは出来ていても、相手もはっきりと守る姿勢を貫いていたので難しかった。

——ここからどうするか。

おそらく次の岡山もミラーゲームになる。引かれた相手は難しくなるのだが、個人の駆け引きのところなど、細かいところを突き詰めて、自分たちのやり方の中でやれるようにしていかないといけない。チャレンジしないと次につながらないので、リスクを負ってでもやれるようにしたい。