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勝利へのカギ

【アカデミー通信】先輩・江頭一輝にアドバイスを仰いだ。弓場将輝、大分U-18から23人目のトップチーム昇格

 

2020年10月5日、大分東明高校において、大分U-18所属のボランチ・弓場将輝のトップチーム昇格会見が行われた。出席者は弓場の他に大分FCから榎徹社長と西山哲平GM、大分東明高校の平塚正明校長、平松学園法人事務局青井龍一氏。大分U-18からのトップチーム昇格は高畑奎汰以来2年ぶりとなる。

 

「豊富な運動量で攻守に広範囲で関われる献身性が持ち味」(西山GM)

最初に榎社長が「大分のクラブとして、サッカーやいろいろな活動を通じて大分の人たちに元気になってもらうことがわれわれの存在意義。下部組織から育った選手がトップチームに上がってくることは地域の人たちを元気にすると思っている」と、大分市戸次出身の弓場に期待を寄せ、続いて平塚校長が「彼がJリーグで活躍することを心からうれしく思う」と挨拶。
 
「アカデミー出身選手の代表格である岩田智輝のような存在を目指してほしい」と投げかけた西山GMによる弓場評は「いちばんに、豊富な運動量で攻守に広範囲で関われる献身性。われわれのチームコンセプトである『アグレッシブ、ハードワーク、あきらめない、一体感をベースに見る人に感動を与える躍動感のあるサッカー』を体現する要素を兼ね備えている」。弓場はすでに8月12日、ルヴァンカップ第3節・柏戦でトップチームデビューを果たしているが、「トップチームでスタメンに定着したり中心選手になったりするにはまだまだ長い道のりがあると思う。みなさまに温かい目で見守っていただきたい」と、育成型クラブのGMらしい“親心”も覗かせた。
 

目指すボランチ像はデ・ブライネ。得点力にも刮目せよ

弓場は「小さい頃から目標にしてきたプロサッカー選手になることが出来てとてもうれしく思う。でもいまがゴールではないという自覚もあり、これからが本当の勝負。感謝の気持ちと謙虚さを忘れず頑張っていきたい」と挨拶。
 
小学生の頃はFWで中3から本格的にボランチに挑戦。レフティーの強みを生かして左SBと掛け持ちしていたが、高2からはボランチに定着した。もともと攻撃的ポジションだったこともあってか、「ボランチでありながら決定力の高さにも注目してもらいたい」とアピールする。
 
プレーの参考にしているのはケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスターC)。ボランチというポジションについては「フォーメーションの中心、チームの中心として、つねに攻守に関わり続けなくてはならない」と捉えている。
 

さんぺーに強制的にあおられてタナタツをいじった話

トップチームの練習に参加したりルヴァンカップに出場したりしての感触は「難しいけれど、トップチームの選手はそれを簡単にこなしているので、自分もそういう対応力を身につけていきたい」。
 
ロッカールームでも温かい洗礼を受けているそうで、特に「さんぺーさん(三平和司)がよく絡んでくれて、強制的に先輩いじりに参加させられる」とのこと。右利きの田中達也が敢えて左足でクロスを上げたシーンについて三平に「バカだよな?」と同意を求められ、田中を目の前にしながらも否定できない雰囲気の中で「はい…」と答えざるを得なかったという爆笑エピソードも明かしてくれた。
 
ルヴァンカップでの出場を通じては「緊張したが、プレースピードや強度を体感し、自分の中では全然やれていると思った」と手応えを感じた様子。スカパー!解説の水沼貴史さんに「ベテランみたいな動き」と言われたのを録画で見て「とってもうれしかった」と顔をほころばせた。
 

江頭一輝先輩に進路についてアドバイスを求めた

トップチーム昇格が決まる前、進路のことで悩んでいた時期に、山崎哲也コーチからアカデミーOBの先輩・江頭一輝を紹介されて電話でアドバイスを求めたことがある。江頭は岩田智輝、吉平翼とともに2016年にトップチーム昇格した大型ボランチだ。大分では出場機会を得られず2017年は鈴鹿アンリミテッド(東海リーグ1部)へ、2018年はグルージャ盛岡へと育成型期限付移籍し、昨季かぎりで盛岡と大分の両方で契約満了、今年1月に現役引退を発表して、現在は株式会社GA technologiesの社員として働いている。
 
プロサッカー選手としての生活を「失敗した」と振り返る江頭から、リアリティーあふれる厳しい話をたくさん聞かせてもらったという。「トリニータを離れることもつらかったし、離れた先でも苦しいことが多かったと話していました。一日一日が勝負で、強い覚悟がないとダメだと江頭くんから言われたので、厳しい世界に入るという覚悟をもって励みたいと思います」と、先輩の言葉をあらためて噛み締めた。
 
弓場は、ともにルヴァンカップ・柏戦に出場した1学年下の屋敷優成にも言及。「代表を経験しているいい選手で、負けたくない。再来年はトップチームに上がってくるよう是非頑張って欲しい」と後輩にエールを送る。
 
「世界で戦える選手になるのが夢。まずは大分トリニータで結果を残し、ファンの皆様に愛される選手を目指していきたい」。大分アカデミー出身23人目のJリーガーの成長と躍動が楽しみだ。

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