TORITENトリテン

今節の見どころ

ホーム連戦の1戦目。粘り強さと集中力で岐阜のスペクタクルな攻撃を抑えよ

 

前節、ほとんどの時間帯で主導権を掌握して快勝したチームが、3週間ぶりに大銀ドームへと帰ってくる。明治安田J2第36節、ホームに迎えるのは、流麗なパスワークでスペクタクルな攻撃を繰り出してくる難敵・岐阜だ。

 

前節から切り替え、集中して取り組む

 
ここまで辛抱強く積み上げてきたものを存分に発揮しての勝利に歓喜したのも束の間、チームは次の試合に向けて気持ちを切り替え、集中してトレーニングに臨んだ。
 
試合前々日は大雨により急遽紅白戦を取り止めざるを得ず、ミーティングで入れた相手情報と戦術は、試合前日練習で確認するという若干イレギュラーなスケジュールになったが、選手たちは緊張感のある良い表情をしていた。
 
堅実に目標を設定し、ひとつひとつそれを達成してきた片野坂知宏監督の口から「プレーオフ圏を狙う」という言葉が出たことも、チームの士気を高める一因となっているに違いない。ただし、目標を上方修正したと言っても、目の前の一試合に集中するスタンスは変わらない様子だ。
 
今節の相手は、前節の岡山とはまったく異なる戦術の岐阜。頭の切り替えが求められる。
 

スペクタクルな攻撃で相手を翻弄する岐阜

 
今季から大木武監督が率いる岐阜は、早い時期から大木スタイルを浸透させ、細やかかつスピーディーにショートパスをつないで崩すサッカーをものにして戦ってきた。現在、11勝10分14敗の15位。10試合勝ちなしの時期があったかと思えば3連勝、4連勝も遂げており、順位こそそれほど上ではないが、特徴的なスタイルで今季J2で独特の存在感を発揮している。
 
ここまであまり上位チームには勝利しておらず、前節はホームで名古屋とのダービーに2-6で敗れている。その前の福岡戦に続き、ホーム連敗を喫したかたちだ。今節はアウェイだが、なんとしても連敗をストップするつもりで乗り込んでくるだろう。
 
岐阜スタイルを牽引しているのは、何よりも能力の高い3ボランチの存在だ。4-3-3システムのアンカーを務める庄司悦大、その両脇を固めるシシーニョと小野悠斗。周囲と絡みめまぐるしく流動的なパスワークで相手を翻弄し、ここぞという瞬間に味方の足元や相手の背後へと勝負の縦パスを入れてくる。
 
それを受ける前線にも力量のある選手が並ぶ。為田大貴との仲良し対戦となった第30節の千葉戦でハットトリックと活躍した風間宏矢が、それ以後は1トップを定位置とし、その下に古橋亨梧と田中パウロ淳一が並ぶ形が続いた。前節までの連敗を受けて、この顔ぶれを変えるかどうか。チーム得点王の難波宏明も控えており、その攻撃力の高さは疑いようのないものだ。
 

ボールは持たれても試合は支配したい

 
明確な特徴を持つ岐阜に対し、第12節のアウェイでの前回対戦では、4-4-2のブロックを構えて臨んだ。球際に食いつきすぎずにスペースを消して中を閉め、必要に応じて危険の芽を潰すことで、相手のめまぐるしいパスワークを無効化。2トップを組んだ伊佐耕平と縦関係になった後藤優介がアンカーの庄司をマークしパスコースを制限することで、守備の効率を向上させた。
 
大分が受けることで次第に前がかりになる岐阜の背後を突いてカウンターを仕掛けるのがこちらの狙い。それがハマって勝利したが、今節も同じ手が通用するかどうかはわからない。相手は変わらず岐阜スタイルを貫いているが、前回対戦と同じ轍を踏まないよう、何らかの対策を練ってくると思われる。
 
いずれにしても、集中を切らさず隙を与えずに守るところからスタートすることになりそうだ。前回対戦では実に934本ものパス数を計上した岐阜がポゼッション率でも61%と上回ったが、試合を支配していたのは大分だった。相手にボールを持たれても決して焦ることなく、冷静に試合を運ぶことが、勝利を引き寄せるカギとなる。