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今節の見どころ

同じ源流から枝分かれした師弟が初対決。極上のエンターテイメントとなるか

 

6日に行われる明治安田J1第6節、チームはアウェイで札幌戦に臨む。片野坂知宏監督にとっては、広島でコーチ時代にともに仕事をしたミハイロ・ペトロヴィッチ監督との初の師弟対決になる。

 

攻撃サッカーの面白さを追求する師弟対決

 
片野坂監督の下で大分が築いてきたスタイルは、ペトロヴィッチ監督が広島時代につくりあげた“ミシャ式”を元ネタとする。片野坂監督は就任直後からGKを使ったビルドアップにチャレンジし、2017年からは3-4-2-1のフォーメーションを器にした可変システムを採用して、いよいよ本格的に“ミシャ式”に基づいた戦術構築に着手した。
 
その後は実戦を重ねる中で、守備のやり方にはじまりボールの動かし方や別のシステムとのハイブリッドなど独自の進化を続け、さらにはポジショナルプレーの概念をより色濃く取り入れながら、根本の考え方を進化させて現在に至る。
 
一方のペトロヴィッチ監督も、2013年に広島から浦和へと采配の場を移し、従来の“ミシャ式”に柔軟性を加えると、その次の札幌ではこれまでは起用したことのないタイプのプレーヤーを使ったりもして、やはりかつての戦い方とは変化している部分が目につく。
 
今節は、その両者がぶつかり合う師弟対決だ。ペトロヴィッチ監督も「カタの仕事ぶりはいつも見てきた」と対戦を楽しみにし、片野坂監督も「僕はサッカー、特に攻撃に関してはミシャさんに大きな影響を受けてきた。サッカーの面白さを教えてくれた人」とあらためてリスペクトを表明する。攻撃的スタイルを標榜する同士、「見ていて楽しい、面白いゲームになるといい」と展望した。
 

前節は名古屋に大敗している札幌

 
札幌は前節、名古屋に0-4と大敗している。「すべてにおいて名古屋が上回っていた」とペトロヴィッチ監督も完敗を認めた。名古屋に先手を取られて猛攻を仕掛けられ、それを受けて守りきれなかった印象だ。もともと攻撃に重点を置くミシャサッカーには、守備の課題がつきまとっていた。広島でプロデビューした当初からペトロヴィッチ監督の指導を受けた丸谷拓也は言う。
 
「ミシャさんはすごい人。あの人が考えていることはそんなに簡単には理解し尽くせない。ミシャさんのほうが攻撃的で、片さんは守備も教えてくれる」
 
大敗直後であっても本来の攻撃志向を貫いてくるのがペトロヴィッチ監督らしい姿だが、片野坂監督は「札幌は守備もタイトで激しい」と油断を見せない。今節もミラーゲーム。今季2敗した松本戦と広島戦はいずれも堅守型のチームとのミラーゲームだ。札幌はその2チームとは違って攻撃的だが、個々で高い力を持つ攻撃陣が揃っており、マッチアップしたときにそれを上回れるかがカギとなる。
 
大敗後、また連戦スタートの試合ということもあり、メンバーが読みづらいのも難しいところだ。ミラーゲームにおいてより問われる質的優位性を保つために、片野坂監督が今節に向けてチョイスする戦力は、前節の広島戦とは異なってくるのではないか。
 
片野坂監督によると勝利のポイントは「対札幌の狙いを攻守で合わせ、それをピッチで表現すること」。互い譲らぬ好ゲームになることを期待したい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
ミシャさんには広島時代に監督とコーチとしてお世話になり、サッカー面、特に攻撃の部分で影響を受けた。しっかりとボールをつなぐところ、攻撃のアイデアのところなどを参考にさせていただいた。ミシャさんにも対戦を楽しみにしてもらえていると思う。こうしてまたJ1のハイレベルな舞台でしのぎを削り、切磋琢磨してJリーグを盛り上げることができるのは喜ばしい。見ていて面白いゲームになればいいなと思う。
 
おそらくミラーゲームになるだろうが、前節の広島戦とは違うゲームになると思う。札幌さんは攻撃のところでスピードや決定力のある個の能力の高い選手がいる。守備でもアグレッシブにチャレンジされているので、自分たちもいい準備をしなくてはならない。攻守に狙いを合わせて戦いたい。アウェイで厳しい試合になると思うが、遠いところまで来て力を貸してくださるサポーターの方々に喜んでもらえるようなゲームができるよう、全員でいい準備をしたい。
 
札幌は前節、名古屋に大敗しているが、負けた原因もはっきりしているし、修正してわれわれに対してもチャレンジしてくると予想している。もしかしたら大敗したことでフレッシュな選手を使ってくる可能性もあるかもしれない。コンディション、状態、チームとしてやってほしいことを合わせてやれるような選手を見極めなくてはならない。
 
■MF 7 松本怜
 
前節も悪くはなかったのだが、最後の精度、決め切れる力が自分たちには足りなかった。昨季からずっと言っていることだが、そこを逃すとJ1では特にああいう失点を食らって難しい展開になる。クロスやスルーパスでチャンスは作れていたので、そこの精度を高めたい。もうちょっとサイドの前にボールを入れられればよかった。WBがマッチアップで膠着していたので、そこでの動かし方をもう少し工夫できればよかったのだが、それもチャレンジした結果だった。決めさせることのできるクロスを上げたい。
 
札幌戦もやることは変わらない。ベースをブレさせずにチャレンジすることが大事。故郷での試合になるが、僕よりも家族が楽しみにしている。応援に来てくれると思う。北海道はまだ春が来ていなくて寒いが、ドームなのでプレーには関係ないと思う。ドームは独特な雰囲気だが、やりにくいという感じではない。
 
大枠で言うと同じようなサッカーだが、細かい部分では上をいけると思うので、相手を上回っていきたい。今節はどういう展開になるかわからないが、サイドで負けてはダメ。もっと僕が高い位置で受けてどんどん仕掛ける回数を増やさなくてはならない。あとはクロスの精度。フジ(藤本憲明)だけでなく他のところもしっかり見れるよう視野を確保していきたい。
 

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