TORITENトリテン

今節の見どころ

アグレッシブなスタイルに磨きをかけている水戸。5度目の連勝を期して敵地へ

 

新型コロナウイルスによる“第7波”が全国を襲う中、互いに無傷とは行かない対戦。特に水戸は多くの感染者を出しており、決して万全なチーム状態とは言えないはず。それでも攻守によく整理されてアグレッシブさを貫くスタイルは、前回対戦時と比べても練度を高めている。こちらも負けずにスタイルを表現し、勝点3を積みたい。

 

今回もコロナ禍の影響を受けての対戦

全国的に新型コロナウイルス感染者が増加し、Jリーグをはじめスポーツ界も大きな影響を受けているいま、大分でも水戸でも複数選手の感染を確認。水戸とは第1節がコロナ禍の影響で急遽延期となった経緯もあり、他会場の試合が中止されていることもあって、またなのかと身構えたが、水戸はチームの活動休止も経た上で、リーグ規定に沿って13名以上のエントリー可能メンバーを確保できることが確定しており、現在のところ今節は予定どおり開催される運びとなっている。
 
リスケジュールされての第1節、水戸との前回対戦は11連戦の4戦目。水戸は3連戦の2戦目だった。大分も水戸も出鼻を挫かれた感じになり、大分はリーグ戦1分1敗、水戸は2連敗で対戦した。激しい守備でボールを奪い素早く攻めたい水戸と、その背後を突きながらボールを運びたい大分、互いにスタイルを表現し合う中で、セカンドボールを拾われたところから7分に失点。1点を追って激しい攻防を続けていた36分、町田也真人のグラウンダーパスに抜け出した呉屋大翔がGKの頭上を抜くテクニカルなゴールで同点としたが、好機を多く築きながら仕留めたのはその1点のみ。アタッキングサードに持ち込んで以降が課題となった試合で、結果は1-1の引き分けだった。
 
そのとき水戸の先制点を決めた村田航一は現在、腰椎椎間板ヘルニアで離脱中。津久見市出身で大分戦を楽しみにしながら第1節はメンバー外だった安藤瑞季は第25節の町田戦で右腓腹筋肉離れを負った。その他コロナの影響で今節は水戸のメンバーがまったく読めないが、いまはとにかく感染した両軍の選手たちの一日も早い回復を願うばかりだ。
 

こちらもスタイルを徹底して挑む

前回対戦当時の4-3-3とは異なり、現在の大分は3バックシステムを採用。チームはその後、負傷者も多発しての連戦をこなしながら多彩なフォーメーションや戦法を試してきた。連戦中に下平隆宏監督が感じていた違和感の正体を突き止め、一旦、戦術的な準備を最小限に縮小して、チームに強く一体感を求めたのが長期連戦明け。メンタル面からチームの意識改革を図り、まずはチームのベース部分を整えてから、再び戦術浸透を進めている。
 
システムが変わっても、基本的にプレシーズンから落とし込んできた方向性は変わらない。それを体現するために必要な一体感や積極性を引き出すためには少し寄り道が必要だったが、様々にフォーメーションが変わっても両サイドがWG的な立ち位置を取って攻めるポゼッションスタイルは一貫しており、紆余曲折しているようであっても軸のブレなさが見えるようだ。
 
それをさらに明確にするために、今週のオフ明けには1時間に及ぶミーティングを実施。映像を使いながら、あらためて下平監督の考えるサッカーの原理原則をより具体的に落とし込んだ。連戦中には徹底できなかった細部についても詰め、このチームのゲームモデルを共有したという。
 
今節はそれを体現する最初の公式戦。負傷の長沢駿をはじめ複数名の戦力を欠いての戦いになるが、連戦中の負傷から復帰してきたメンバーも加わり、選手層は厚みを増している。残り15試合、じりじりと調子を上げながら右肩上がりに持っていくためにも、ますますポジション争いが激化するような一戦に期待したい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
水戸さんは前回対戦時に比べ、さらによくなっている感じがある。多分真っ向勝負になるので、どちらの攻撃がクオリティーが高いかが勝負の分かれ目になる。水戸さんは守備も粘り強いので、本当に厄介な相手。でも上に行くためにはここは落とせない。こちらはそういうギリギリのところでやっている。
 
目指す展開としてはボールを持ちたい。この夏場、試合が続いていく中で、ボールを握れるチームのほうが絶対に強いと思う。守備を固めてカウンターを狙ったり、どっちつかずのボールでは体力的にも消耗するし、精神的にもボールを持ったほうが強いので、しっかりボールを持てるようにしたいと考えている。
 
■FW 33 呉屋大翔
 
水戸は非常に整理されたサッカーをするチームという印象。こちらは最近2トップでやっているが、しっかり攻撃で違いを見せて、守備も無失点で抑えたい。形はなんでもいいので1点でも多く取れればと思っている。クロスが増えればボールの来る数が増えると思うので、やりながら合わせていきたい。
 
チームはシーズン後半戦に負けなしなので、それを継続するために個人でもしっかり役割を果たしたい。チームには一体感が出てきているが、やはり最後に重要になってくるのはサッカーの本質やクオリティーの部分。そこもまだまだ、有耶無耶にすることなく、しっかりと目を向けて頑張らなくてはならない。勝つことでしか上との差を縮められないので、そこに向けてチーム全員でやっていく。
 
■DF 4 坂圭祐
 
水戸のキャプテンの新里は大学の同期なのだが、彼も攻撃で特長を発揮する選手。水戸は若い選手が多い中で、自信と躍動感を持ってやれているときは、いいサッカーをしている印象がある。そういう部分でこちらも負けないのが第一。自分たちのサッカーを信じて精度高くやることが大事になる。
 
後半戦はいまのところ負けなしだが、それは最低限の結果。やはり僕らには、サポーターが横断幕で出してくれているとおり、昇格への道は勝利しかないと思っている。負けていないというのも評価できるのかもしれないが、勝ち星をどれだけ挙げているかというところに、もっとフォーカスしていきたい。