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今節の見どころ

リーグ戦ラスト。“プレーオフ第0節”をいいかたちで終えてその先へ

 

その結果如何でJ1参入プレーオフ1回戦の立ち位置が決まる、リーグ戦最終節。大分はアウェイで琉球と対戦する。

 

いろいろなことが決まるリーグ最終節

4シーズンぶりのJ2で過ごした2022年シーズンが、怒涛のように過ぎた。今節はいよいよリーグ戦最終節だ。ただ、来週からスタートするJ1参入プレーオフに臨むチームにとっては“プレーオフ第0節”とでも呼びたい試合。今節の結果如何でプレーオフ1回戦の状況が変わってくる。
 
現在、大分は17勝15分9敗の勝点66で5位。18勝13分10敗で4位につける熊本を勝点1差で追う。今節、大分が勝利し、熊本が引き分け以下ならば順位が転覆。すでに両者の対戦が決まっているJ1参入プレーオフ1回戦をどちらのホームで開催するかという瀬戸際だ。開催会場のみならず、上位チームは引き分けで勝ち抜けというレギュレーションもある。4位が優位であることは間違いない。
 
一方で、このレギュレーションが心理的に及ぼす影響からか、勝利が必須の下位チームが引き分けOKの上位チームを勢いで上回ったケースも、過去のプレーオフで何度も見られている。大分と熊本、隣県同士のマッチアップということもあり、スタジアムにはビジター側のサポーターも大挙して押し寄せることだろう。どういう状況になっても落ち着いてプレーし、今季積み上げてきたものを発揮できたチームが、その先へと歩を進める権利を勝ち取ることになる。
 
熊本は前節、仙台の90+2分の劇的決勝弾により1-2で黒星。ホーム最終戦で山形に0-3と敗れた大分とともに、今節は仕切り直しを期す。前節の結果をもってJ1自動昇格が決まった横浜FCをホームに迎える熊本と、21位以下が確定した琉球のホームへと乗り込む大分。その明暗はどう転ぶかという関心度の高い一戦だ。
 
ちなみに大分がひやごんスタジアムで戦うのは2016年J3第4節以来。快晴だった試合前にスコールが降り、再び晴れた試合開始時刻には芝に含まれた水滴が勢いよく蒸発する高温多湿のピッチでの試合となった。あのときは0-1で敗れたが、今節はすっきりと勝利したい。
 

ホームで最後に意地を見せたい琉球

前半戦の出遅れをハイペースで巻き返してきた後半戦の、前節は2敗目となった。ホーム最終戦にして0-3黒星と、スコア上は衝撃的な結果になったが、悪い時間帯に事故的要素の強い失点が重なり、試合の流れを相手に引き寄せられて点差が開いたゲームでもあった。
 
さらに試合後にチーム内でフィードバックを進めた結果、手応えが感じられた部分もあったことが明らかに。前半、山形の守備に対して劣勢を修正できずにいたように見えていたのは、実はゲームメーカー・下田北斗の駆け引きであったことを、下平隆宏監督が明かした。前半途中で立ち位置を変える選択肢も持ちながら、ハーフタイムに相手に修正されないよう、前半はそのままの形でしのぎ切ろうとしたという。前半アディショナルタイムと後半立ち上がりの失点でプランが狂ってしまったが、クレバーなキャプテンの駆け引きが思惑どおりに進んでいれば、試合結果も違うものになっていたかもしれなかった。
 
ただ、後半に修正して追撃しながら、ゴール前を固める相手から得点できなかったことは大きな課題だ。惜しい決定機がいくつかあり、途中交代でピッチに入った選手たちの特長を生かしきれていなかった面もあった。それを踏まえて今週のトレーニングでは、立ち位置の確認が繰り返されていた。
 
前節、琉球は先制しながら千葉に逆転負けを喫し、21位以下が確定。19日には今年6月から指揮を執ったナチョ・フェルナンデス監督の今季かぎりでの退任が発表された。現在最下位の岩手とは勝点で並んでおり、今節の結果次第では琉球が最下位となる。苦しんだ今季の最後にホームで意地を見せたいはずだ。第25節の岩手戦で右頬骨を骨折した大分アカデミーOBの清武功暉は第37節の山口戦で途中出場。その後の出場はないが、彼の離脱はチームにとって痛かったはず。パワフルな攻撃陣を操る存在としても効いていただけに、今節はどうなるかも気になるところだ。
 
そういう対戦相手の事情もありながら、大分としてはそれに関わらず自チームの完成度を確かめることが重要になる。苦しかった今季の集大成に向け、万全の準備を施して臨みたい。