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今節の見どころ

迎えるは復調を期す仙台。混戦のJ2で上位戦線にしがみつけ

 

混戦きわめるJ2。いまは上位にいても連敗すれば下位に転落する可能性があり、連勝すれば大きく浮上できる、先の読めない状況となっている。今節は、上位に食い下がりたい大分と、下位に巻き込まれたくない仙台とののっぴきならないマッチアップだ。

 

シーズン序盤の一体感と勢いをもう一度

残り11試合という時期になっても、今季のJ2は例年以上に行方の見えない様相が続いている。頭ひとつ抜けた首位の町田を、磐田、清水と地力の高いチームが着々と追い上げ、東京Vがそれに続く。大分は自動昇格圏まで勝点8差。一方で、6位に並ぶ山形・長崎には勝点2差に詰められ、前節、落雷の影響で一試合未消化の7位・群馬とも勝点2差。9位・甲府とも勝点2差で、毎節、結果次第で順位がめまぐるしく入れ替わる状況だ。
 
下位は下位で熾烈をきわめる。大宮は最下位だが、積極補強も奏功してか第26節以降は上向き。一方で21位の山口は、監督交代直後の好調さが影を潜め、6戦未勝利となっている。粘り強く勝点を積む20位・金沢と勝点1差で下位から脱出したい徳島は、吉田達磨氏を新監督に迎えた。いわき、熊本、水戸、栃木、仙台、藤枝とボトムハーフの勝点も接近しており、少しの連勝や連敗でジャンプアップや大きな転落の可能性が否めない。
 
ここからのリーグ終盤はこれまで以上に一試合の重みが増してくる。そんな時期に、キャプテン梅崎司が負傷から復帰してきたことは心強い。「リハビリ中にはフラストレーションもあったし不安もあったけど、ここを見据えてやってこれていたので、ここで自分がチームに対して何が出来るのか、どういう影響をもたらすことが出来るのか。今日ももっともっと選手たちに対して言わなくてはならないと思うし、そういう空気をみんなで作っていけたらと思う」と話す精神的支柱が、シーズン序盤の一体感と勢いをもう一度チームにもたらしてくれることに期待したい。

12試合ぶり白星の前節を糸口にしたい仙台

前述のとおり、仙台は現在9勝9分13敗の勝点36で14位。自動降格圏まで勝点4差という切迫した状況にある。前節は調子を上げている大宮に1-0で勝利したものの、実に12試合ぶりの白星。第26節からは堀孝史監督体制となり、起用選手も変化したが、なかなか結果を出せずに来た。前節の勝利を起点に上昇気流に乗って、少しでも早く安全圏へと浮上したいはずだ。
 
基本システムは4-1-4-1だが、2列目の立ち位置次第で4-2-3-1になったり4-4-2になったりと攻守で細かく変化してくる。長澤和輝、齋藤学、松崎快と今夏の補強で3人の実力派を補強しており、特に長澤は戦術遂行のカギを握る役割を担う。守備はこれまでミドルゾーンでブロックを構える傾向が強く見られていたが、大分に対してはどう来るか。アンカーを務めるエヴェルトンの出場停止によりどう変化するかも気になるところだ。
 
大分としてはチャンスの数を増やし、仕留めるべきを仕留めることが課題となる。今週のトレーニングではフィニッシュの質向上などに取り組んだ。ここ2週ほど、コーチ陣はより自発性を促すトレーニングメニューへとアプローチを変化させている。個々が次の準備の出来ている状態を維持することで、スピードとスムーズさをアップすることが目的だ。保田堅心は「最初の頃はがむしゃらにやろうとし過ぎて空回ったりもしていたのだが、最近はちょっと余裕も出てきた。つねにいろいろ考えながら予測も含めて自分のプレーに手ごたえを感じている」と、自らの変化を口にした。
 
戦法をこまめに変化させてきた今季のチームが、ペレイラが出場停止の今節はどう戦うか。結果が出れば「変幻自在」と言われ、出なければ「ブレブレ」という評価に晒される。勝利で意地を見せたい。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■下平隆宏監督
 
今節はエヴェルトンがいないが、鎌田くんが出てくるかリャンが出てくるか。仙台は監督が代わってだいぶメンバーが変わっている。…まあ、うちもよく変わっているが(笑)。今節もしっかりボールを持って攻撃していくことが大事になる。
 
■FW 20 長沢駿
 
一時は体調を崩していたが、ようやくコンディションが上がってきた。前節の岡山戦ではあまりビルドアップが上手くいかず、なかなか攻撃に転じることが出来なかったので、ちょっと組み立てを助けるところなどにも気を使った。でも前線が受けに下がると前にボールが進まなくなって攻撃できないので、そこが課題だと思っている。個人的には作りに入るより仕留めに力を注ぎたい。チームとしても中に仕留め役がいないと点が取れない。いまなかなかFW陣が点を取れていないのは、そういう影響も少なからずあるのではないかと思う。離脱中にスタンドから試合を見ていて、なかなか攻撃が上手くいっていないというのは感じていた。ゴールの数が今季は少ないので、戻ったときには点を取らなくてはならないと思っていた。いまはそこをいちばんに考えている。
 
■MF 26 保田堅心
 
仙台は中盤に鎌田選手や長澤選手たち上手い選手がいるので、そこで彼らに仕事をさせないのが自分のプレーの見せどころ。球際やセカンドボール対応を含め、試合の入りで流れを掴めば試合の流れもこちらに傾いてくると思う。こちらも立ち位置を工夫しながらやるつもりなので、相手と上手くミスマッチを作っていきたい。
 
残り試合が少なくなり、トランジションもバチバチ感も増してきた。これまで以上に勝負にこだわっていかなくてはならない。熱いプレーでチームの士気を高め、勝利につなげるために自分のよさを出しながらチームに貢献したい。